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〝アフター・フクシマ〟の情報ブラック・ボックス

 アフター・フクシマ
 地震からすでに3週間が経った。しかし事態は一向に沈静化しない。もちろんそれは福島原発のためだ。最近とうとう政府は、〝安定化〟までに数ヶ月を要することを認めるにいたった。

 ただしその後にも炉心冷却を続けなければならず、それを取り出すことができるまではにさらに多くの年月がかかる。それで終わりではない。取り出した核燃料は廃棄できず、半永久的に封じ込めておく策を練らねばならない。要するに、起こった事故に解決はないということだ。それが核事故の後でも「ザ・デイ・アフター」を語らねばならない理由である。

 政府は今度の事故の検証のために第三者委員会を立ち上げることを発表した。そして今度は、国の原子力政策をチェックするはずの原子力安全委員会も検証の対象になるという。12日の朝、菅の福島視察に同行して、ヘリの中で〝爆発は起きない〟と言い続けていたという斑目委員長の委員会だ(その日の午後、最初の水素爆発が起こった)。当然のことだろう。

 これで、これまでの国(経産省主導)の原発推進政策は全面的な見直しを受けることになるだろうが、それが適切に行われるかどうかをつねにチェックして行かねばならない。

 情報のブラック・ボックス
 それと、現在、情報のブラックボックスになっているところがいくつかある。ひとつは原発から20~30キロ圏内の退避地域。そこにはメディアも入れない。たとえばNHKは報道局長名で入域禁止の指令が出ているという(民放も当然そうした措置がとられているだろう)。危険だからというのがその理由だろうが、それによってこの地域の現場の情報がいっさい取れないことになる。言いかえれば、原発とその周辺地域に何が起こっているかに関しては、政府系発表その他にもとづく二次情報しかないということだ。

 原発の状況を写すテレビの映像には、いつも〝30キロ離れた地点から撮影しています〟という断りが入っている。これは〝安全に撮っています〟ということなのだろうか。ということは、ニュースはすべて〝安全〟に作られています、とはいったいどういうことなのか?

 実際、事故処理にあたるスタッフはもっとも危険な現場で作業している。そこに作業の阻害にならないかぎり、その意志のあるジャーナリストを入れるべきだろう。そうでなければ、イラクやアフガニスタンの戦場と同じく一方的な、つまり経産省安全保安院や東電発表の情報しか出なくなる。

 そのなかで、昨日(4月3日)夜、NHKのETV特集で初めて〝ゾーン〟(立入禁止区)周辺部を取材した番組『原発災害の地にて』が放映された。こういう取材をNHKこそ行うべきだろう。放射能の危険や社内圧力とたたかいつつ取材する記者たちに拍手を送りたい。

 それと、フォローすべきは、誰も入ってはいけないはずの高汚染環境で作業する人たちが、どういう状況に置かれているかということだ。すでに現場で負傷したり汚染を受けたりした人たちが、発表されているだけでも30人近くいる。この人たちの状況も、メディアはフォローする必要がある。

 第二の〝占領〟
 今、原発対策はアメリカ・フランスが入り、ほとんど〝国際管理下〟に置かれている。とくにアメリカは放射能専門部隊を送り込んでいるだけでなく、政府の対策本部(首相官邸)や東電にもエネルギー省職員や米軍関係者を送り込み、要所をコントロールしているだけでなく、震災救援の全般にわたっても、米軍と自衛隊が統合本部を組織している。

 まさに〝日本有事〟の場合の実地訓練(いや、これは訓練ではない)が、〝核戦争(核テロ?)〟のシミュレーション(いや、これはシミュレーションではない)のもとに行われていると言っていい。

 日本の歴代政府の原発推進政策とその無能無策ぶりが、この〝第二の占領〟状況を生み出したのである。広島や長崎の(そしてついでに想起するなら731石井部隊の)あらゆるデータ、とりわけ放射能の人体に対する影響のあらゆるデータを持ち帰って(日本では公表せず)、アメリカはそれを核戦略立案に役立てたというが、こうして今日本は、とりわけ日本国民は、アメリカのまたとない〝実験場〟と化している。

 福島の一号機はGE(ジェネラル・エレクトリック)社製で、二号、三号機もそのモデルに従っているという。まさにその耐用試験ではないか。とりあえず、本家の介入が事態の沈静化に役立ち、周辺住民と日本国民の救済への貢献になることを願わざるをえないが、そのためだろうか、「思いやり予算」はドサクサのなかであっさり国会を通った。


★気になる〝情報コントロール〟ですが、このような報告があるのでぜひご参照を。
 「福島原発に関する報道規制及び言論統制状態まとめ」
★また「ジャーナリズムと原子力産業」というたいへん重要な文書もぜひご覧ください。

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2011年4月 4日 11:45に投稿されたエントリーのページです。

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