ETV特集「テレビが見つめた沖縄...」
5月13日(日)の夜、NHK教育テレビで「ETV特集、テレビが見つめた沖縄・アーカイヴ映像からたどる本土復帰40年」が放映された。
4月25日にアップした「40年後、若い世代の"I'm Okinawan"」は、じつはこの番組の収録過程での所感である。実際にそう言ったのは、この番組でわたしと共にナビゲーターを務めた知花くららさんだった。できあがった番組では終りの方、辺野古での場面にこの発言が出てくる。
自分も出演した番組で、事前に告知するのは気が引けたが、この番組の制作スタッフの重ねた労と工夫、出来上がった番組の内実を見ると、やはり多くの人に見てほしいと思う。ダイレクトに「復帰40年」を扱ったドキュメンタリーではない。半ば眠っているテレビ・アーカイブを掘り起こして、テレビは沖縄をどう伝えてきたかを振り返りながら、「復帰40年」を問い直すという作りだ。
NHK放送文化研究所の『放送メディア研究』第8号(2011年3月)に発表された七沢潔論文「記録された沖縄の"本土復帰"―「同化」と「異化」のはざまで―」がベースになっており、同じ号に「現代史ドキュメンタリーの展開―「戦争責任」をめぐる番組の分析から―」を発表している東野真も製作スタッフに加わっている。その意味で放送文化研究所発の番組だといってよい。
だから、40年にわたる「復帰後」の出来事をじかにたどるというのではなく、テレビ・メディアについての自己批評が入っている。番組が沖縄報道の草分けともいうべき森口豁さんのインタヴューに始まり、最後も森口さんのコメントで終わるのも、その反映だといえる。当初のプランはそうではなかったが、まとめあげてゆく結果そうなったということだ。番組では『沖縄の18歳』が使われたが、「復帰」ということで言えば、『激突死』というきわめつけの作品もある(これについては仲里効『オキナワ、イメージの縁』未来社刊に詳しい)。
わたしも外大での授業の収録から始まって、森口さんへのインタヴュー、5日間にわたる沖縄ロケ、最後にナレーションの収録と、製作過程につきあった。那覇では、40年前の「沖縄返還」をめぐる番組で平和通りの街頭討論に参加していた二人の人物に、40年ぶりに同じ場所に来てもらいその感想を聞くという場面も収録した。この場面は40年の時をダイレクトに凝集してたいへん興味深いものがあったが、この二人が共に、来月に予定されている沖縄県議選に関係していることがわかり、公正さに配慮して残念ながら使えないということになった。
使われなかった部分を言えば、かつてコンディション・グリーンというハードなロック・バンドで鳴らした「オキナワン原人」カッチャンと、コザの夜の街をヤンキーを振り向かせながら大声で歌って歩いた幻のシーンは、個人的には忘れがたい。
ともかく、扱うドキュメンタリーも精選し、収録した場面も厳しく取捨選択し、長い会話や座談もポイントを拾って、すべてを1時間半にまとめあげる。4、5人の製作スタッフが連休返上で1秒1秒のカットを入れ替え差し替えしながら凝縮したものである。そこにあらゆるたぐいの目配りと繊細な配慮が込められている。
5月20日の日曜日、午前0時50分(つまり土曜の夜中過ぎ)から再放送がある。
番組ホームページはこちら⇒
[追記]
昨日の「復帰40年」の記念式典には、元県知事の太田昌秀さんたちは欠席したという。元沖縄開発庁長官の上原康介さんは式典でこの日の雨を「悔し涙」と言ったそうだ。『沖縄返還』という72年のドキュメンタリーは、元全軍労委員長で当時沖縄選出の国会議員だった上原さんが、5月15日、降りしきる雨の中で「復帰」の欺瞞を訴える怒りの演説で始まるが、昨日も沖縄は雨。そんな思いがたぎるなかで、もはや「本土」にどんな期待も幻想ももたない世代が育っているように見える。