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6.古典・その他

6.古典・その他

エドワード・サピア(安藤 貞雄)『言語』(岩波文庫 1998 \760)
専門の者が繰り返し読んでも、そのたびごとに新しい発見がある古典中の古典。それでいて古くならず、多数の言語についての深くて該博な知識に基づいて書かれている。「言語の詩人」といわれるサピアの格調高い英文は、原文で味わうのが良いけれども翻訳でも内容はつかめる。タイプの違う言語を学んでから読むと、さらによくわかるようになる。


オットー・イェスペルセン(半田 一郎 訳)『文法の原理』(岩波書店 1958 品切れ)
イェスペルセンはデンマークの人である。同じゲルマン諸語に属し、英語とよく似ている綿と似ていない面を併せ持つこのデンマーク語を母語としたイェスペルセンはさらに他のたくさんの言語の仕組みに通じ、英語学のみならず言語学に巨大な足跡を残した。この本にはイェスペルセンのアイデアがぎっしり詰まっている。たくさんの言語からの豊富で適切な例と、言語現象に対するきわめて深い考察がここにある。


フェルディナン・ド・ソシュール(小林 英夫 訳)『一般言語学講義』(岩波書店 1940 1972改版 \4000)
言語記号の根本原理である恣意性と線条性、ラングとパロールとランガージュ、連合関係と統合関係、通時態と共時態、み~んな近代言語学の父、ソシュールが広めた概念ばかりである。しかし言語学の入門書で読んでもその本当の意味はわからない。ぜひ一度この原典をみると良い。比較言語学の大家でもあるソシュールのすごさは後半の歴史言語学の類推の部分などにも光っている。しかもこの本はソシュールが自分で書いたのではなく、その講義に感動した弟子たちが講義ノートを集めて作った、という事からすでにそのすごさがわかる。


レナード・ブルームフィールド(三宅 鴻・日野 資純 訳)『言語』(大修館書店 1962 \6000)
「行動主義心理学に基づくブルームフィールドの言語学は古くなった」という人もいるが、それは主にこの本の2章だけの話で、他の章は依然言語学を学ぶものにとってバイブル的存在である。自由形式と拘束形式をはじめ、その形態論は客観的で緻密である。ゲルマン比較言語学の該博な知識は歴史言語学の章に顕われている。そしてさらにフィリッピンの言語や北米インディアン諸語の知識が「言語」そのものに迫る彼の態度の強力な支えとなっている。


ミルカ・イヴィッチ(早田 輝洋・井上 史雄 訳)『言語学の流れ』(みすず書房 1974 品切れ)
言語学史をどれか1冊、ということになればこれがよい。旧ユーゴ出身の筆者はスラブ語の文献に明るく、ソシュールの陰で忘れられがちなクルトネらも十分な紹介がなされている。言語学の歴史を各時代の科学や文化と関連づけ、人類の文化の大きな発展の中でとらえている。


ユアン・レン・チャオ(橋本 萬太郎 訳)『言語学入門―言語と記号システム―』(岩波書店 1980 品切れ[Yuen Ren Chao Language and symbolic systems])
「東洋に生をうけてその英知をうけつぎ、西欧で教育されてその分析精神を身につけて、文字どおり世界市民となった知的巨人にしか書けない論評が、いたるところで平易にしてユーモアにさえ充ちたことばのうらにあたまをのぞかせていて、まことに諸学者にとってはこのうえない楽しい読み物であり、専門家にとっては1頁1頁が再発見でありおどろきである」(訳者の橋本萬太郎氏のあとがきより)


沼野 充義『屋根の上のバイリンガル』(白水Uブックス 1996 \950)
前半にはアメリカでの少数民族(?)であるイディッシュの話し手や、ロシア人、ポーランド人たちに光をあてて、その言語生活を描いている。後半では人称代名詞や、バイリンガル、ボディランゲージについての筆者ならではのエッセイが楽しめる。


河野 六郎・西田 龍雄『文字贔屓』(三省堂 1995 \2900)
河野、西田、という文字に深くかつ該博な知識を有する大先生同士の文字に関する対談集。文字の諸起源や解読にはじまり、文字と音や意味との関係、文字の形や構成・・・、と話は尽きない。


池上 嘉彦『ふしぎなことば ことばのふしぎ』(筑摩書房 1987 \1100)
ことばあそびや詩のことば、こどものことばに擬音語、同音語・・・、身近にあるさまざまなことばがみせる不思議にはじまって、ことばの根本的なしくみについて考えさせる本。


矢島 文夫『解読 古代文字』(ちくま学芸文庫 1999 \950)
線文字Aやイースター島の文字など、世界にはまだまだ未解読の文字がある。その一方でロゼッタストーンを13年かけて解読したシャンポリオンをはじめ、人類には輝かしい解読の歴史がある。本書では解読の歴史を概観しつつ、「解読」について多方面からアプローチしている。


シュリーマン(村田 数之亮 訳)『古代への情熱』(岩波文庫 青420-1 1954 \350)
トロヤ戦争の物語を読んだ少年シュリーマンは、美しい都市が必ず地下に埋もれていると信じその発掘を志す。その後猛勉強し、夢を実現するのだが、たくさんのことばを駆使したシュリーマンのことばを習得していくエピソードがまたなんとも興味深いのだ。


杉田 玄白(緒方 富雄 校註)『蘭学事始』(岩波文庫 青20-1 1959 \398)
辞書もなく文法書もない当時、蘭学創始時代の先人たちの苦闘はなみたいていのものではなかった。その記録は今も感動を呼ぶ。

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2007年07月26日 16:33に投稿されたエントリーのページです。

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