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1.言語学全般

1.言語学全般

基本レベル

千野 栄一『言語学の開かれた扉』(三省堂 1994 \1750)
言語調査や音韻論からはじまって、言語学の各分野がそれぞれ7,8ページで紹介してあり、その分野の最も良い参考文献もあげてある。つまり入門書の入門書、というわけだ。後半には偉大な言語研究者たちの列伝が4ページづつあって、彼らの人生や努力の軌跡が、私たちの心を励ましてくれる。


千野 栄一 編『日本の名随筆 別冊93 言語』(作品社 1998 \1800)
谷川俊太郎や柳田國雄、金田一京助をはじめ、そうそうたる24人のメンバーが書いた言語に関する選りすぐりエッセイ集。「世界で一番長い字」だの、「バイリンガリズムについて」だの、どんな話か思わず読んでみたくなるものばかり。アフリカから台湾の山奥まで、世界のさまざまな地域で言語の現地調査に取り組んだ人たちの話も読める。


町田 健『言語学が好きになる本』(研究者出版 1999 \2000)
気軽に読めることを何よりも第一に考えた本。読むのに面倒くさい外国語の例などは極力減らし、縦書きで書いている。「日本語を言語学する」の章には「は」と「が」の話もあるし、「言語学で語学力アップ」、なんて章もある。巻末に言語学をやりたい人の文献ガイドもついている。


千野 栄一『言語学の散歩』(大修館書店 1975 \1900)
男性名詞や女性名詞なんてなぜあるんだろう? 本当のバイリンガルっているんだろうか? そんな問いに答えを与えてくれたり、もっとすごい例を示してくれたりするのがこの本だ。色の名前が二つしかない言語や二進法の数詞を持つ言語、なんてのも登場する。類型論や比較言語学、日本語系統論など、興味をそそる分野についても教えてくれる。


風間 喜代三・上野 善道・松村 一登・町田 健『言語学』(東京大学出版会 1993 \2575)
いろんな人が書いているので、章によって偏りもあるけれども、さすがに東大出身の諸先生が書いているのでオーソドックスな本格派の入門書、という感じがする。特に後半の類型や歴史、音声・音韻の章は深い問題に触れていて、良い。それでも初心者にはやっぱりちょっと難しいかもしれない。でも本格派の入門書もぜひ一冊読んで欲しい。


本格レベル

町田 健・籾山 洋介『よくわかる言語学入門』(バベルプレス 1995 \2300)
題名もちょっと安易な感じで、中身の作りも受験参考書みたいだが、分かりやすさに重点をおいている本だ。間にコラムもはさんである。言語学の広い範囲をある程度カバーしているので、用語の整理や、自分の理解の確認に便利だ。ただし音声学はなく、統語論も少し偏りが感じられる。


西田 龍雄 編『言語学を学ぶ人のために』(世界思想社 1986 \2233)
特に1章がわかりやすく、社会言語学や言語人類学の章も良い。「文字」についての章があるのも良い。後半には言語学の名著の文献解説もついている。ただ全体的にやや難しい。


宮岡 伯人 編『言語人類学を学ぶ人のために』(世界思想社 1996 \2233)
文化の一側面としての言語を多角的にとらえており、個々の章もバラエティに富んでいる。言語と文化の関係を考えるのもっとも良い入門書。我らが外語の中川先生も「フィールドワークのための音声学」の章を書いている。


小泉 保『教養のための言語学コース』(大修館書店 1984 \2300)
導入が独特のスタイルで、ちょっと冗長な気もするが、図も多くて見やすく、文もくだけていてわかりやすい。筆者が専門としているウラル諸語を中心に多くの言語から例をあげている点もいい。


千野 栄一『言語学のたのしみ』(大修館書店 1980 \2200)
外語大で長く教えられた千野先生が、エッセイ形式で言語の諸側面を楽しく書いている。トピック毎に数ページずつなので、どこからでも読めるし、短い時間にも読める。外語時代のエピソードもいくつも登場する。


千野 栄一『注文の多い言語学』(大修館書店 1986 \1602)
上記の続編。能格言語や「言語のガラパゴス」カフカースの話、文字やなぞなぞに文体のパロディまで、さらに多様な観点から言語を、そして言語学を語っている。


千野 栄一『ことばの樹海』(青土社 1999 \2200)
やはり千野先生の言語及び言語学に関するエッセイ集で、最新のもの。「一番難しい言語」や「バルカン半島の言語接触」、「文字を作った人々」などここでも楽しいテーマがとりあげられている。


田中 春美・樋口 時弘・家村 睦夫・五十嵐 康男・倉又 浩一・中村 完・下宮 忠雄『言語学のすすめ』(大修館書店 1978 \2000)
少し古くなってしまったところもあるが、幅広い領域をカバーしたオーソドックスな言語学の入門書。


西垣 通 編『日本の名随筆 別冊88 文字』(作品社 1998 \1800)
白川静に矢島文夫、中西亮、西田龍雄とくれば、みんな知ってる文字の大家ばかり。その他に安部公房や井上ひさし、中島敦のミニ小説やエッセイもある。まずはこんなところから文字の持つ面白さについて考えてみるのもいいかもしれない。なおこのシリーズにはさらに清水義範編の『別冊66 方言』や、『27 地名』、『45 翻訳』、『74 辞書』なんてのもある。


参照用図書

亀井 孝・河野 六郎・千野 栄一 編『言語学大辞典』
 第1~5巻[世界言語編]、第6巻[術語編](三省堂 1988, 1989, 1992, 1992, 1993, 1996 / \43000, \42000, \38000, \38000, \39000, \49000)
・とにかくまずは一度図書館に行って手にとって広げてみてほしい。どの本も2000ページ近くあり、3200もの言語がとりあげられている。
・まず第1巻には89ページの雄編、「アイヌ語」がある。J科ならこの日本の少数民族言語についてまず読んでみてもらいたい。「アフリカの諸言語」、「インド・ヨーロッパ語族」、「オーストラリア原住民語」などの大作や、「広東語」もこの巻だ。
・2巻にはなんといっても「日本語」がある。日本語の歴史と現代日本語に大きく分かれていて、その中も音韻、文法、・・・と各分野にわたっている。南不二男、河野六郎、亀井孝、寺村秀夫他そうそうたる執筆陣である。何をおいてもまずこれを読む必要があろう。「朝鮮語」と「中国語」もこの巻だ。対照言語学などを目指す留学生諸君は、まず自分の母語について、言語学的にどのようにとらえられているのか知る必要がある。
・3巻では「北米インディアン諸語」の記述がくわしい。
・4巻では「琉球列島の言語」。係り結びやP音など古い特徴を保ち、他方で完全に3母音に移行した与那国方言までをも含む琉球列島の言語は、日本語という言語のしくみを考える上で不可欠である。ただここでの記述は一部の学派の独特の用語が使われていて読みにくい面がある。
・5巻は半分索引だが、ここには「琉球列島の言語(奄美方言)」がある。
・6巻は術語編で、随時参照すると言語学の力がつく。新しい知見も多く、思いがけない項目もある。まずは「FSP」、「格」、「格の触手」、「言語」、「言語学」、「言語人類学」、「言語類型論」、「言語連合」などをお勧めしておく。各国の言語学の伝統・発展状況についても書かれているし、巻末の人名解説も便利だ。


デイヴィッド・クリスタル(風間 喜代三・長谷川 欣佑 監訳)『言語学百科事典』 (大修館書店 1992 \15450[David Crystal, The Cambridge Encyclopedia of Language])
きれいな写真や図表が豊富にあって、言語学のさまざまな分野に触れている。個々の現象の具体例もたくさんのっている。幼児の言語習得、言語と脳の関係、手話や言語外コミニュケーションなどもくわしい。読んでいても眺めていても楽しい本。


世界の文字研究会 編『世界の文字の図典』(吉川弘文館 1993 \17500)
これも読んでも見ても楽しい本で、古今東西世界中の文字を解説している。個々の文字の読み方も書き方もくわしい。世界の文字の豊富さと、その伝播や発展の歴史に深く魅せられる。漢字音もベトナムにわたるまであるなど、網羅的であるのはすごい。


『講座 言語』全6巻(大修館書店)

柴田 武 編『言語の構造』(1980 \2400)
池上 二良 編『言語の変化』(1980 \2500)
南 不二男 編『言語と行動』(1980 \2600)
千野 栄一 編『言語の芸術』(1981 \2500)
西田 龍雄 編『世界の文字』(1981 \3300)
北村 甫 編『世界の言語』(1981 \3800)

それぞれの巻を10名前後のすぐれた研究者が分担して書いていて、充実したシリーズになっている。300~500ページぐらいで、活字も詰まっていなくて読みやすい。


B・コムリー S・マシューズ M・ポリンスキー 編(片田 勇訳) 『世界言語文化図鑑 世界の言語の起源と伝播』(東洋書林 1999 \12000)
全ページカラーで、大きな言語分布地図と写真を満載し、地球上の言語の全体像を描き出そうとしている。分類はややおおざっぱだが、各言語のおもしろいトピックも取り上げている。翻訳に難点があるのが残念だ。

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2007年07月26日 16:30に投稿されたエントリーのページです。

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