メールマガジン第57号

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【多文化コミュニティ教育支援室メールマガジン】
                       第57号2010年12月28日
      文責:田中
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支援室HP:/blog/ts/g/cemmer_mclsc/ja/

 学生ボランティアの皆さん

あっというまに、今年も残すところ数日となりました。
新しく始めたことや初めての体験の中に発見があった人
昨年から続けていることの中に、自分の成長が感じられた人
嬉しいこともつらいことも全部ふくめて
みなさんの2010年はどんな一年だったでしょうか。

支援室でも6月からの全3回にわたるはるひ野小中学校での
実践や、冬の一大イベントである高校生のための国際理解
セミナー、学習支援活動の各拠点での「お楽しみ会」が無事成功に
終わりました。
ぜひあなたの一年を思い返しながら、読んでみてください。

****冬期閉室のお知らせ****
多文化コミュニティ教育支援室は、以下の期間閉室いたします。
体に気を付けて、よい年末年始をお過ごしください。

12月28日(火)~1月3日(月)

1月4日(火)以降は平常通り11時から開室いたします。
*何か急用などがありましたら多言語・多文化教育研究センターまでご連絡ください。
多言語・多文化教育研究センター:
/blog/ts/g/cemmer/index.html


■□■学習支援活動■□■
子どもたちと交流しながら勉強をサポートする学習支援活動。
新たなボランティアを随時募集しています。

======!募集中!===============
▼調布市国際交流協会 調布市立学校 日本語指導教室

調布市内に在住する日本語を母語としない子どもたちに日本語と教科学習の支援を
してくれる仲間を募集中です。

場所:調布市教育会館(調布駅より徒歩5分)
日時:毎週水曜日15時~17時
    土曜日10時~12時(どちらかのみの参加でもokです)

教室の詳細はこちら:
http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1220323788521/index.html

上記の募集に関する応募および問い合わせは、
多文化コミュニティ教育支援室  
鈴木(月~金)   奈良部(火・水・木)まで。
t-shien@tufs.ac.jp

======*進行中・予定*============
▼府中市、調布市学習支援ボランティア
  学生たちが府中市および調布市の小中学校に出向き、フィリピンや中国、ロシ
アなど外国につながる子どもたちに日本語を教えたり、学校の勉強のサポートを
継続しています。

▼武蔵野市第四中学校内 学習センター すてっぷルーム 
 武蔵野市帰国外国人教育相談室が主催し、武蔵野市第四中学校内学習セン
ターで 毎週水曜日に行われている「すてっぷルーム」。 ここでは、学芸大学など
複数の大学からの学生ボランティアと日本語の先生が一緒に、外国から来た子どもたちや
帰国生の学習支援、交流を行っています。15日(水)には、お楽しみ会を開催し、○×クイズで
小中学生一緒に盛り上がりました。中には「ムカデ(百足)の足は本当に100本ある。○か×か」
などの難問も。この他にもボランティア学生にまつわるクイズなどで楽しいひと時を過ごしました。


▼調布市国際交流協会 調布市立学校 日本語指導教室
調布国際交流協会が週2日運営する子どものための日本語教室にて、9
名の学生ボランティアらが支援に取り組んでいます。12月11日(土)には学生、
子ども、市民ボランティア間の交流を深める「お楽しみ会」を開催しました。当日
の様子を佐々木さん(ドイツ語専攻)に伺いました。
「教室には小学生と中学生がいて、かつ日本語ができる度合いもばらばらなので
皆が楽しめる企画を考えるのが難しかったですね。学生5人で企画したのですが、実際の
ところ市民ボランティアの皆さんに助けられた部分が本当に大きかったです。子どもたちの
保護者も招いたことで、楽しんでもらうだけでなく子どもの様子を相談できたりもしました」
当日はお菓子のプレゼントやインドのお茶「チャイ」も用意。少ないメンバーながら工夫した
学生メンバーの奮闘ぶりが佐々木さんから伝わりました。


▼府中国際交流サロン 児童日本語教室
毎週金曜日夕方 府中市役所内で行われている府中国際交流サロンの児童日本
語教室。現在は16名の子どもと19名の学生が一緒に学んでいます。17日(金)に、お楽しみ
会を開催しました。会の模様についてコーディネーターの菊地さん(タイ語専攻)にお話を伺いました。
詳しくは支援室インタビューにて。


■□■国際理解教育■□■
========*報告*===========
▼はるひ野小中学校  国際理解教育実践
6月に小学5年生、10月に中学1年生を対象に国際理解教育を実践した
はるひ野小中学校で今度は、小学6年生の「外国語活動」の時間に、「コミュ
ニケーション」をテーマにワークショップを行いました。

場所:川崎市立はるひ野小中学校(小田急線「はるひ野」駅より徒歩5分)
実施日:12月10日(金) 1時間目~6時間目
対象:6年生3クラス (2コマ×3回)

この「難破船ゲーム」、「皆さんは、乗っていた船が嵐に遭ってある島に流れ着きま
した。この島に住む人たちには、日本語も英語も通じません。壊れた帆を直して日
本に帰るためには、島の人たちに助けてもらわなければ…」という状況設定。子ど
もたちは各国のコインや外国語のフレーズが書かれた「辞書」を頼りに、身振り手
振りやアイコンタクトを工夫して体当たりでコミュニケーションに挑戦しました。
今回実践した「難破船ゲーム」は昨年10月に府中市立住吉小学校での実践で作
成したものの改良版です。同実践に参加した学生の中から2名、国際理解教育に
初めて参加する学生4名を含む10名の学生がチームとなり取り組みました。

参加した学生の声:
菅野さん(カンボジア語専攻)
昨年度「難破船ゲーム」を実践した際、ゲーム中に伝えきれず最後にメッセージと
して補足的に伝えたことを、今回はゲームをする過程で子どもたちに伝えられたと
思います。言語を学ぶことが当たり前になっている私たち外大生にとっても「なぜ
自分たちは外国語を学ぶのか?」と自身に問い直すきっかけになったのではない
でしょうか。

中谷さん(スペイン語専攻)
国際理解教育に携わったのは初めてで、当日まではイメージがよく掴めず不安で
した。ですが、子どもの伝えようとする意志、あきらめない粘り強さを感じられたの
が良かったです。

12月14日(火)に開かれた振り返り会では、この他にも「島民と交渉を重ねるご
とに子どもたちの表情が明るく変わっていった」「コミュニケーションに必要な気持
ちの持ち方は伝わったのでは」などの意見が出ました。支援室の一つの財産と
して、この「難破船ゲーム」を引き継いでいきたいですね。


▼高校生のための国際理解セミナー
毎年夏と冬に行われている高校生のための国際理解セミナー(通称グローバルセ
ミナー:グロセミ)を今期も開催しました。「多文化共生」をテーマに外大キャンパ
スを舞台にして、全国から参加する高校生20名を対象とした2日間のセミナー
を実施しました。今回のテーマは「難民」。難民支援協会の事務局長さんをお迎えしての
セミナーや、インタビュー映像をもとに難しいテーマながらも高校生たちは真剣に語り合いました。
また、25日(土)夜の交流会では、先月号でお伝えした多文化バンド“BLANK”によるライブも上演。

「島唄」「風になりたい」といた楽曲を、沖縄方言や各国語を交えて歌うなど、一夜限りのスペシャル
バンドの演奏は高校生を大いに盛り上げました。

実施日:12月25日(土) 26日(日)
場所:東京外国語大学内
対象:高校生20名

今回グロセミに初挑戦した今井さん(カンボジア語専攻)に1日目終了時に感想を伺いました。

「事前に資料などを通して難民について勉強してはいましたが、いざ(難民支援協会の方から)お話を
聞くと、『難民認定をしない日本政府が悪い』とは一概には言えないと考えさせられました。 午前に
担当したアイスブレイキング『地球の食卓』では、最初は『笑顔は裕福だからくる』と捉えていた高校
生たちが、後に自然と『モノが少なくても幸せにはなれる』と気づいてくれたのが良かったです。高校
生にはぜひ自分に引き付けて考えて欲しいですし、私自身は先輩に甘えずもっと自立したいですね!」

2日間を終えての学生並びに参加した高校生の感想は来月のメールマガジンと支援室ホームページ
にも掲載予定です。そちらもぜひチェックしてくださいね。

▼はるひ野小中学校 中学1年生外語祭ツアーの感想
前号のメールマガジンでお伝えした11月22日(月)に外語祭を訪れたはるひ野小中学校の中学1
年生から、外語祭ツアーへの感想が届きました。
料理店や展示を周りながら解決する各班への「ミッション」をこなす中で、外大生の人柄の良さに
触れた姿が伝わってきます。以下で一部を紹介します。

*参加した中学生の感想:
・インドネシアの民族舞踊は、日本にはない雰囲気で特に、最後の鳥の踊りの衣装や蝶の踊りの
衣装などはスカートみたいなところを上手く使っていて興味津々で見入ってしまいました。

・ミャンマーに関するミッションがあり、(講義棟の展示で)色々と教えてもらいました。
ミャンマーのことはあまりよく知らなくて「ぐんじせいけん」なんてことも初めて知りました。この「ぐ
んじせいけん」というものがあるためにミャンマーは怖い感じがあると班の人は言っていたのです
が、学生の人はやさしい人が多いよ、と教えてくれました。このように、ミャンマーのことを知らな
い私でも学生の人達に分かりやすく教えてもらい、知ることができました。

・ぼくたちの班のミッションに「『オラ』というあいさつの国を探せ」というのがありました。どうした
らよいのか分からなかったので、道行く人に「オラ」と声をかけました。するとスペインのサッカー
のユニフォームを着た人が「オラ」と言ってくれました。外大生の人は外国でもこのように、自然
なかたちでみんなと仲良くしているということを知りました。やさしい心で外国の人と接したいです。

▼拓殖大学 学生との意見交換会
本学の留学生日本語教育センター准教授であり、拓殖大学で国際理解教育の講師を務める宮城
先生のゼミ生と、支援室で国際理解教育の活動をしている学生ならびに支援室スタッフと尹 准教
授が事例紹介と意見交換会を実施しました。

日時:12月3日(金) 13時~16時
場所:本学  留学生日本語教育センター

拓殖大学からは、インドネシアと韓国からの留学生を含む4人が来てくれました。
支援室側からは、昨年度「難破船ゲーム」の原型を作った府中市立住吉小学校
実践チームや、今年度のはるひ野小中学校の実践チームから5人の学生が参加。
実践のビデオを交えながら、多言語・多民族のインドネシアでも応用できる企画は
ありそうか、国際理解教育に携わる中で自分が変わったと思うことは何か、など話
し合いは多岐に渡りました。

 ■□■その他の活動■□■
▼うりぬり
朝鮮語専攻の学生と、韓国の留学生が中心となって活動している団体で、主に小
中学校での文化交流や勉強会、日韓の学生間交流を行っています。代表を務める山田さん
(朝鮮語専攻)と丁(ジョン)さん(日本語専攻)、うりぬり一年目の柳川さん(朝鮮語専攻)に今
年一年を振り返って頂きました。

山田さんのコメント:
私たちうりぬりは、日韓の学生の交流を主な目的としており、活動の柱となるのは交流会、
勉強会、すまいるスクールとサムルノリです。交流会は、月に一回のペースで開くことが出来
、そこで知り合った留学生と個人的に交流を深めた学生もおり、とても実りあるものになりました。
勉強会は、それぞれのグループごとに学習内容や学習法を工夫していました。すまいるスクール
では、小学生に韓国の文化をより見近に感じてもらえたのではないかと思います。サムルノリは、
外語祭での公演がとても人気があり大好評でした。
楽しく、そして真剣に活動する事が出来たので、得るものの大きい一年でした。
 
丁さんのコメント:
4月には新しいメンバーを迎えて新歓をし、例年は韓国料理を韓国語科の先輩たちが作り、後輩
との距離を縮める会にしています。例年のメニューは韓国料理のみでしたが、今年は日本の料理
も作り、参加した韓国人留学生とも楽しい時間をすごしました。韓国の旧正月に当たる2月の中旬
には旧正月パーティを開き、韓国の伝統のお正月料理を食べたり、遊びで楽しんだりしています。
毎年やっているこの2つのイベントは韓国語科の学生だけではなく、日本語科の韓国人留学生も
参加することで、その年ごとに新しいことをしようと思っています。去年からは韓国の伝統の遊びを
皆で体験したり、日本の料理を作り、韓国語科の学生だけではなく韓国人留学生も楽しむことがで
きる会になりました。来年の旧正月パーティではまた、何か新しいことができるのか私も楽しみにし
ています。

この春入学した柳川さんも「授業以外で朝鮮語を使う機会を、うりぬりには沢山提供してもらえました。

特に定期的にある勉強会では、流行語などすぐに使える言葉を学べて嬉しかったです。」とのこと。
年明けからの活動もますます盛んになりそうですね。

 ミーティング:毎週金曜日昼休み 講義棟209教室にて
☆うりぬりのHPで写真入りブログを見れます:
http://blogs.yahoo.co.jp/gaidai_urinuri


▼Amigos  
 ポルトガル語専攻の学生が中心となり地域の外国人児童生徒に対しての日本語
による学習支援や、ブラジルに関する文化交流などに取り組んでいる団体です。
代表の平田さん(ポルトガル語専攻)にこの一年を振り返って頂きました。

平田さんのコメント:
今年は新しいメンバーも増えて皆で活動していきました。JICAへの訪問では移民についての
知識を得、6月に開催したお祭りフェスタ・ジュニーナではブラジル文化を体験したほか、高校
で外国籍の生徒に学習支援もしました。活動を通して異文化への理解を深めると同時に貴重
な体験の一つ一つを楽しんでこれたと思います。
1月末で代替わりを迎えるAmigos。平田さん、一年間お疲れ様でした!

Amigosの活動に興味のある方はぜひ、ミーティングを覗いてみてくださいね。
ミーティング: 毎週月曜日昼休み 講義棟207教室にて
☆AmigosのHPで写真入りブログを見れます:
http://www.tufs.ac.jp/st/club/amigos06/

▼ラテンアメリカの会 GIRASOL
 2007年、スペイン語専攻の学生で立ち上げた国際協力系サークル、ラテンアメ
リカの会GIRASOL(ヒラソル)。 今年も6月のチャリティフットサル大会や、10月の横浜国際
フェスタへの参加など活動的な一年になりました。11月の外語祭でも、学習支援、フェアト
レード、メキシコ文化等各テーマでの展示、ワークショップも実施しました。次号メルマガで
は新年の抱負を伺う予定です。

☆GIRASOLのオフィシャルブログはこちら:
 http://ameblo.jp/latinoamerica-girasol

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支援室インタビュー
今回は、府中国際交流サロン 児童日本語教室でコーディネーターを務める菊地さん(タイ語専攻)
にお話を伺いました。お楽しみ会の様子はもちろん、コーディネーターならではの苦労話もでてきました。

田中:菊地さんは去年の10月から教室に関わっているそうですが、そのきっかけは意外なところ
からだったとか。
菊地さん:同じアパートに住んでいる学生同士でご飯をしたのですが、住人の友人としてなぜか
その場に教室に通っている田口さんが来ていて。

田中:朝鮮語専攻の田口さん、ですね。
菊地さん:はい。そこでお話を聞いて興味を持ったのがきっかけでした。

田中:菊地さん自身は、学習支援の担当を持つほかに今年9月からはコーディネーターも務めて
います。
菊池さん:コーディネーターは他2人の学生と、3人でそれぞれ役割分担をしながらやっています。
私は新規で教室に入る学生ボランティアの窓口として、支援室スタッフの鈴木さんと連絡を取ったり、
概要を説明したり。

田中:今回のお楽しみ会ではゲームにプレゼントと1時間余りながら内容盛りだくさんでした。
菊地さん:ジェスチャーゲームにリンゴをスプーンに乗せての競争、サンタに扮した学生からプレ
ゼントもありました。口では「楽しくない」と言いつつなんだかんだ顔は楽しそうにして一生懸命
競争していましたよ。

田中:コーディネーターとして、来年に向けての課題はなんでしょうか。
菊地さん:毎回来れる学生ボランティアの数が不規則で、担当の学生が来ない子どもが出てしまう
ことがあるのが悩みですね。「今日先生来ないの?」って言われると申し訳なくなります。来年は学
生同士連携を取り、出欠管理もきちんとしていきたいですね。

―陸上部に所属し、アルバイトも掛け持ちしているという菊地さん。やわらかい口調からは思いがけ
ないアクティブさの持ち主です。コーディネーター3人を中心に、下級生も巻き込んでより活発な活動
にしていけると良いですね。

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 編集者より

学年が進むにつれて、外語大での1年間はあっという間に過ぎていくように感じます。
就職活動を終えて、支援室の国際理解教育の活動に復帰したものの、1・2年生のパワーや
成長に驚くばかりでした。メールマガジンのインタビューをしていても、みなさんがそれぞれ抱い
ている軸や熱意をとても感じました。
「そろそろ自分は引きどきかなぁ」と迷いつつも、他での経験を活かして下級生のサポートができ
るのでは?と自分の役回りを模索し続けた一年でした。

はるひ野小中学校での「難破船ゲーム」実践をもって、私自身の国際理解教育への参加は最後と
なりました。心寂しくもありますが、卒業までの残り数ヶ月みなさんの活動の様子をメールマガジン
とホームページ上でめいっぱいお伝えしていきます。

今年も一年、ご愛読ありがとうございました。

 ロシア語専攻 田中
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このメールマガジンに関する御意見、もしくは支援室の活動に関連して、学生にと
って有益な情報がございましたら、t-shien@tufs.ac.jp(支援室代表)までメール
にてご連絡いただければ幸いです。


多文化コミュニティ教育支援室は2012年の東京外国語大学の改組にあわせ、 より広いボランティア活動をサポートするためのボランティア活動スペースとなりました。
(本サイトはアーカイブとして公開を続けています)