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2008年05月17日

potch2.gif 教員活動報告 一覧

日本課程教員の活動報告について、2006年度分を掲載します。
(以下のリンクをクリックしてください)

風間 伸次郎
川村 大
工藤 浩
柴田 勝二
早津 惠美子
村尾 誠一
吉田 ゆり子

2008年05月16日

potch2.gif 活動報告: 風間伸次郎

<論文>
『ウルチャ口承文芸原文集3』,ツングース言語文化論集30,平成17年度科学研究費補助金基盤研究(B)(1)(一般)「北方諸言語の類型的比較研究(代表:津曲敏郎)」研究成果報告書 140pp., 2006年3月
『ウデヘ語テキスト2』,ツングース言語文化論集31、平成17年度科学研究費補助金(B)(2)(一般)「複統合性をめぐる北東シベリア・北アメリカ先住民言語の比較研究(代表:呉人徳司)」研究成果報告書 188pp., 2006年3月
『ナーナイの民話と伝説8』,ツングース言語文化論集32、平成17年度科学研究費補助金(B)「アムールランド文化とアイヌ物質文化形成に関する言語・生態人類学的研究(代表:荻原真子)」研究成果報告書 千葉大学文学部202pp.,2006年3月
「ナーナイ語コンドン方言テキスト」,『環北太平洋の言語』第13号、津曲敏郎編、北海道大学大学院文学研究科 pp.83-126,2006年3月
「ナーナイ語の形動詞について」,『言語情報学研究報告 11 言語研究におけるコーパス分析と理論の接点』 敦賀陽一郎、三宅登之、川口裕司、高垣敏博編、21世紀COEプログラム「言語運用を基盤とする言語情報学拠点」東京外国語大学大学院地域文化研究科 pp.95-108,2006年7月

<出版物>
『くらべてみよう、言葉と発音』(風間伸次郎監修・著、「世界のなかの日本語」,4),小峰書店,2006年4月
『くらべてみよう、文のしくみ』(風間伸次郎監修・著、「世界のなかの日本語」,5),小峰書店,2006年4月

<フィールドワーク及び研究発表等の活動>
2006年3月10日から27日まで、ロシアにて3週間の現地調査。クラースヌイ・ヤール村にてウデヘ語、マガダン市においてエウェン語、ナイヒン村にてナーナイ語を調査。
7月31日より8月14日まで、クラースヌイ・ヤール村にてウデヘ語、ナイヒン村にてナーナイ語を調査。
8月21日より26日まで、日本言語学会主催の夏期講座2006を実行委員長として運営する。
9月11日より21日まで、ブラバ村にてウルチャ語、コンドン村にてナーナイ語コンドン方言の調査を行う。
10月1日、札幌の北大文学研究科公開シンポジウム「北方的―北方研究の構築と展開」の分科会にて、「ツングース諸語における複数表示」という題で発表する。
10月21日、AA研の「言語の構造的多様性と言語理論―「語」の内部構造と統語機能を中心に」第2回研究会にて、「ナーナイ語とウデヘ語の付属語についての予備的研究」という題で発表する。
11月18日、札幌学院大学で行われた日本言語学会の第133回大会のシンポジウムにて、「極東に いろいろいるぜ ツングース諸語」という題で講演を行う。
今年度より、東京外国語大学記述言語学研究室紀要『思言』の刊行を開始した(創刊号は2006年3月に刊行、第2号も2006年12月に刊行した)。

potch2.gif 活動報告: 川村大

(活動報告原稿)

川村 大

1 授業関係
 主専攻語科目は、昨年度に引き続き学内の河路由佳先生・趙義成先生の御協力を仰いでいるほか、非常勤の先生方をお願いして従来の体制を維持しました。しかし、専任教員は今後減ることはあっても増えることはありません。次年度は本格的にカリキュラムの見直しをすることとなりましょう。
 私個人の担当コマは、学部に関しては昨年度と同様です。大学院は本年度より新カリキュラムが実施されたことに伴い、「表現演習」が無くなりました。

本年度の担当科目
学部:総合科目「日本語学入門」(工藤先生とリレー)主専攻語科目「日本語」(古文入門・基礎講読)専修専門科目「日本語学研究」(講義・演習・卒論演習・卒研演習)
大学院博士前期課程:「日本語学研究」「日本語学演習」

2 指導学生関係
 学部:4年生が2名卒業論文を提出、うち1名卒業。3年生の新ゼミ生なし。
 大学院(博士前期):入学者1名の主任指導を引き受け。2年生1名が修士論文を提出、無事修了。

3 全盲の学生のサポート
 当該学生は無事卒業、本学大学院の「平和構築・紛争予防(PCS)専修コース」に進学することになりました。この間指導に当たられた地域・国際コースの舩田クラーセンさやか先生や、テキストの電子化など快くサポートに当たってくれたゼミ生の皆さんに感謝申し上げます。
 なお、同学生に対しては、今年度も学部予算による手当てがなされており、学期中は点訳者を雇用しています。また、教務課・留学生課から全面的な御協力を戴いていることを申し添えます。

4 COE関係
 文法モジュールはまだ訂正を要するとことは多々あるものの、遂に年貢を納め、公開に踏み切りました。この間、海野先生や教材作成の実務に当たった院生・学部生の皆さんには大変な御苦労をおかけしました。この場でお詫びとともに深く感謝申し上げます。

5 事務関係
 昨年に引き続き留学生委員会を担当しました。外国人留学生向けの奨学金の審査は、従来留学生委員長が単独で決める場合が多かったのですが、今年度委員長の土佐佳子先生は、毎回三名の委員による合議を行ないました。最も当事者に近い教員の一人として、私もその中に加わりました。公平な配分に勤めましたが、透明で機械的な方法の確立にはまだ時間がかかりそうです。
 また今年度より、延長申請をする国費留学生を審査し、順位をつけて文科省に報告するという仕事が新たに増えました。その作業にも加わりましたが、さすがに国費で来日するほどの人達、正直甲乙付け難く、苦慮しました。
 なお、この冬から点検・評価室の委員をお引き受けしました。作業は来年度から本格化します。

6 その他
 思いがけず本年度から科研費をいただくことになりましたが、(例によって?)仕事は思うように進まず、ふと気が付くと本年度は公刊の業績がないまま終わってしまいました。一方、ここ数年の筆債は返さぬままです。昨年度の反省をふたたび繰り返すことになりました。

potch2.gif 活動報告: 工藤浩

 ボケが そろそろ はじまったのか、一週間まえの ことも よく おぼえていませんが、2006年度は 学内行政から 解放されて 無役の 一教員に もどれた こと、雑事に おわれて 指導に てぬかりの あった(らしい) ころの 学生の 修論・卒論の しあげの てつだいに けっこう てこずった こと、自分も とうとう 還暦を むかえてしまった こと、といった ことが おもいだされます。
 
 さて、こしかた ゆくすえを おもい、これからは 好々爺然として たのしく すごすか、はたまた、人生の 残務整理の おに(鬼)[<怨+i]と 化すか ………

potch2.gif 活動報告: 柴田勝二

 06年の研究活動は、この2,3年間集中して論文を書いてきた夏目漱石に関する本を出すことが中心となりましたが、12月に翰林書房より『漱石のなかの〈帝国〉』という表題で上梓することができました。英文学者でもあった漱石は、これまで西洋文化との関連の中で論じられることが多かったですが、その作品には当時日本が帝国主義的な姿勢を示していた、中国・韓国を中心とした東アジアへの眼差しが明確に盛り込まれており、そこから新しい漱石像が捉えられると考えております。この問題は現在その緊張の度合いを高めているものでもありますが、その点でも漱石は「新しい」作家なのだといえるでしょう。

 最近は中国、フランスなどの研究者、院生などとも接触が多くなりましたが、06年からパリのイナルコ(国立東洋学研究所)との共同研究も始めており、日本文学・文化を外から眺めることの重要性を実感しています。また11月にはEUIJの留学生たちに日本文化に関する講義を英語でするという経験もしましたが、思った以上に反応があり、その反応に十分応えるだけの英語力がなかったことが悔やまれた次第です。村上春樹がノーベル賞候補になるなど、日本文学に対する関心が高まっていることは、普段の留学生相手の授業などでも感じますが、その真価を正しく見定め、授業と研究の両方でそれを表現していきたいと思っています。

potch2.gif 活動報告: 早津惠美子

○授業
【学部】
・主専攻語科目 
日本語Ⅰ:日本語学入門(文法)
日本語Ⅱ:基礎購読(語彙・意味)

・専修専門科目 
日本語教育学研究Ⅰ〈講義〉(日本語の動詞 3-主として動詞の形態論的なカテゴリーの概観と日本語教科書での扱いの検討)
日本語教育学研究Ⅰ〈演習〉(語彙と文法-主として感情形容詞の語彙・文法的な性質について)

・卒業論文演習・卒業研究演習
卒論の題目:
「複合動詞の語構造に関する分析」
「アケルとヒラクの多義構造と対応関係」
「もの・ことによる働きかけを受ける受動について」
「逆接の接続詞について」
「日本語の条件表現-条件表現と後件の文の現れ方について」
「条件表現の用法と使い分け」
「形式名詞「の」「こと」「もの」の選択規則に関する考察」
「「から」と「ので」の違いについて」
「青森方言における助動詞-rasaruの用法と意味分析」
「高学年段階シラバス・8級試験・カリキュラムに見る中国の大学日本語専攻教育」

【大学院】
・博士前期課程 
日本語教育学研究(動詞の研究と日本語教育)
日本語教授法演習(修士論文指導)

・博士後期課程
日本言語論(現代日本語文法-結合価文法および語結合論(=連語論))

○その他
 2005年度度の最後(2006年3月)のことになりますが、修士論文以来とりくんでいた日本語の使役についての勉強を私なりに論文としてまとめることができました。とはいえ不充分なところが多く、2006年度はその見直しを行いました-まだ継続中-。

potch2.gif 活動報告: 村尾誠一

 2006年は3月で課程代表の任期を終えました。未来につながる何かを成し得たかと問われれば沈黙しなくてはならないのですが、自分の能力を考えれば精一杯勤めさせていただいたという自負はあります。法人化をはさみ様々な問題がありましたが、なすべき事から逃げないという当初の決意は貫徹できたと思います。
 
卒業式で卒業証書を配った翌々日から中国に出かけました。初めての中国行きでした。厦門大学の創立85周年記念、大学院の卒業生が教える外文学院日本語学科主催シンポジウム「桜と梅の対話」での講演が主目的でした。到着後直ちに北京2泊の旅(日本学研究センターと北京林業大学での講演)に行き、その後3回の講演・講義と式典出席というスケジュールでした。忙しい一週間でしたが、かつての院生達が活躍する姿に触れられた楽しい旅でした。何とか通り抜ける時間を確保した北京の紫禁城と天安門広場は圧倒的な印象でした。特に故宮は、日本の京都御所やその半月前にも見学した韓国宮殿との対比で、いろいろと考える所がありました。
 
 さて、私の勉強ですが、去年ほぼ書き上げた15世紀の歌人正徹の伝記を本の形に整えることから今年は始まりました。3月に完了し、6月には新典社という書肆から「日本の作家」シリーズの一冊として刊行されました。『残照の中の巨樹 正徹』です。その後仕込みの仕事を行い、夏に二つの論文を書く準備を始めました。一つは正徹関連で、彼の参加した歌合というその場で批評が行われる歌会を切口に、その歌風に迫ろうとする論です。「正徹和歌の特質―『前摂政家歌合』を視座に―」(『東京外国語大学論集』73号・2007年3月)として公にされました。もう一つは後鳥羽院に関するものですが、まとまらないまま秋となり、結局中断しました。あらたに想を練り直そうと思います。冬には会津八一の論文を書き、かなり楽しみました。総合文化研究所の雑誌に投稿した「会津八一ノート―近代古寺巡礼の東と西―」(『総合文化研究』10号・2007年3月)です。数研出版という会社の高等学校国語教科書の仕事も続いていますが、『国語総合』はいよいよ来年から実際に学校で使われ、『古典』も検定を終え大詰めです。その他勉強したいことは多々あるのですが、時間が思うようにならないのが悩みです。

potch2.gif 活動報告: 吉田ゆり子

 2006年には、3月と12月の2回、計6週間ほどパリに滞在し、いろいろな面で充実した日々を過ごしました。フランスの大学生の生活や、日本研究の中でも歴史学の分野で日本近世史を専門としている研究者が学生がとても少ないこともわかりました。それでも、3回行った授業では、学生や市民の人も含めて参加し、とても熱心に話をきいてくれたことが印象的でした。また、2006年をもって21世紀COE「史資料ハブ地域文化研究拠点」も終了し、何とか4年半途絶えることなく編集・刊行してきた『史資料ハブ 地域文化研究』という雑誌も9号で終えることになりました。この編集には、旧日本語学科卒業生の土屋知子さんが手伝ってくれ、有能な事務能力を発揮して大活躍してくれたこと、とても感謝しています。ところで、メディアでも取り上げられていますが、大学も外部評価や競争的経費の獲得ということに教員自身が振り回され、本来の研究・教育にじっくり取り組むことができない現状になっています。「武士の商法」ではないですが、教員も別の才能が求められているのだと実感させられてしまいます。何とも嘆かわしい事態です。

 そのような嘆きの中で、2006年度には『史料を読み解く2 近世の村と町』(山川出版社)を共同執筆で世に出すことができました。これは近世の古文書を読み解くための大学生・一般者向けテキストとすることを企図したもので、史料大好きな私としては、多くの史料や時間を使って執筆しました。また、フランス滞在の大きな成果の一つですが、幕末に日本に滞在したフランス人宣教師ルイ・フュレの回顧録の一部を翻訳監修する仕事をしました(「幕末フランス人村に滞在した宣教師の記録-ルイ・フュレ『回顧録』」『市史研究 横須賀』6号)。その他、はじめて韓国語で「日本の村落―東アジアにおける近世村落の比較史的考察のために―」(韓国古文書学会編『東アジア近世社会の比較―身分・村落・土地所有関係―』図書出版慧眼)が出版されました。