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2018年6月21日

コンシェルジュおすすめの本<個室閲覧室前のオアシス~愛と生き様編~>

学問疲れのリフレッシュ読書シリーズ第2段。

関東地方も梅雨入りし、本を読むにはうってつけの季節。名作から人生のヒントを得ましょう!ということで今回は愛と生き様編です。

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<おすすめ本その1>

風と共に去りぬ
マーガレット・ミッチェル著; 荒このみ訳
東京, 岩波書店, 2015

請求記号:文庫/13/342-1,2,3,4,5,6 図書ID:0000363987 他

「明日は明日の風が吹く」というラストのセリフと、ビビアン・リー主演の映画が有名なこの本。
奴隷制の下で農園経営が盛んだった米国1860年代。
アイルランド系移民の農園主オハラ氏の長女としてタラに生まれたスカーレット・オハラは、平穏で何不自由ない暮らしを送っていた。
しかし、南北戦争の影がタラにも忍び寄ってくる。近隣の青年達は出征していき、不穏なムードが漂い始める。
といった感じで始まりますが、南北戦争直後の部分が一番面白いかなあと個人的には思います。
人種差別・奴隷制・南北戦争といった観点から読むことも、登場人物其々の生き方に焦点を当てて読むことも、幾通りもの楽しみ方のできる小説です。
スカーレット・オハラの生き方は賛否両論分かれるところですが、非常に強烈で魅力的なキャラクターだというのは間違いありません。
全6巻と少々長めではありますが、面白くてあっという間に読めてしまいます(というか、途中で止めることが難しい)。
ちなみに「明日は明日の風が吹く」と訳されている箇所は、原文では "Tomorrow is another day" です。
原著と訳書と比べつつ読んでみるのも楽しいかもしれません。

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<おすすめ本その2>

大地
パール・バック著; 小野寺健訳
東京, 光文社, 1997.10

請求記号:文庫/13/320-1,2,3,4 図書ID:0000345353 他

初版は1931年。日本では『大地』として1冊の本として出版されることが常ですが、もともとは『大地』"The Good earth"、『息子たち』"Sons"、『分裂せる家』"A house divided"、からなる三部作です。
この作品のテーマはこれだ、と言うことのできない、様々な要素の織り込まれた壮大な作品。繰り返し読むことで一層面白さが増します。
「人として正しい」ことをこれ見よがしに述べる教訓譚ではなく、「そうせざるを得ないこと」「すべきと思うができないこと」「人の手の及ばない運命」といった等身大の人間の人生が克明に描かれています。
前掲の本と比べ、読む時間は長くかかるような気がします。(ところどころ、考えこんでしまい、小休止を入れないと頭が追いつかない)
しかし、読後はそれまでの自分の悩みがひどく小さな、可愛いものに思えてくること請け合いです。

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この2冊を同じ記事で紹介したのは、「土地」の描き方に共通性を感じたことと、対象的な女性の生き様が描かれているところで、併せて読んでほしいな、と思ったためです。女性の生き方を描いた作品というと、『人形の家』や『アンナ・カレーニナ』など、名作がたくさんありますが、『大地』もまた阿蘭の人生に着目すれば、女性の生き方を描いたものと見ることもできるように思います。

(『風と共に去りぬ』のスカーレット、『大地』の阿蘭、『アンナ・カレーニナ』のアンナを同列に並べるのは間違っているかもしれませんが、私はついこの3人を一挙に思い浮かべてしまいます。)

SF小説編、愛と生き様編とお送りしましたが、是非とも読んでほしい本は他にも盛りだくさん。
随時オススメ本ブログを更新していく予定ですので、気が向いたらチェックしていただけると嬉しいです。
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