• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

サヘル地域の洪水被害

2020/09/19/Sat

 2020年はサヘル全域で降雨量が多く、各国で水害が報告されている。特に都市での被害が深刻で、ダカール、アビジャン、ヌアクショット、ワガドゥグ、アクラ、コトヌ、ニアメ、ドゥアラ、ハルツームなどでの被害が伝えられている。ナイル川の水位上昇については既にこの欄でもお伝えしたが、ニジェール川の水位も1929年に統計を取り始めてから最高の水準にあるという。ニジェールでは洪水のため65人が死亡し、32万人が被害を受けた。首都ニアメでは、34,000の家屋が破壊され、6000haの耕作地が水没し、448の穀倉、713の井戸が使えなくなった(9月18日付ルモンド)。東アフリカなど、これから雨期に入る地域では、新たな水害が懸念されている。
 2020年の多雨について、地球規模気候変動の影響と言えるかどうか、専門家は慎重である。サヘル地域はもともと、年によって気候の変化が激しい。水害については、気候以外の要因も重要で、都市が水害に弱い構造になっていることも問題悪化に拍車をかけている。無秩序な家屋建設や、インフラの老朽化や不適切な管理などが被害を大きくした側面は否めず、専門家は都市政策の見直しが必要だと指摘している。
 ナイル川、ニジェール川、コンゴ川など、アフリカでは河川が社会経済に重要な役割を果たしてきた。河川とどのようにうまく付き合っていくか、政策的な検討が求められている。