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今日のアフリカ

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新型コロナウイルス感染症の打撃と国際支援

2020/04/05/Sun

4日付ファイナンシャルタイムズ紙は特集記事で、発展途上国がCovid-19から受ける打撃について分析している。経済的ダメージは、ウイルスより先にやってきた。1バレル70ドル程度だった石油価格が30ドル前後まで下落したことで、産油国を既に深刻な影響を受けている。先進国の経済封鎖により、移民からの送金が顕著に縮小している。ケニアのヨーロッパに対する花卉輸出はストップした。観光業は崩壊状態にある。経済封鎖によって、食料や医薬品、石鹸、消毒剤などのサプライチェーンが麻痺した国も多い。食料など日用必需品の価格が高騰すれば、社会不安をもたらすだろう。
 発展途上国の状況は、リーマンショック時より悪い。これをどう支援するか、という議論がようやく聞こえてくるようになった。IMFは、新興国支援に2.5兆ドルが必要だと試算している。IMFは既に500億ドルの緊急融資を実施し、これに85か国が要請を出した。
 4日付ルモンド紙によれば、マクロン仏大統領は3日、アフリカの指導者10人とTV会議を行い、新型コロナウイルス感染症対策について議論した。会議に加わったのは、マリのケイタ、エチオピアのアビィ、南アのラマポサ、ルワンダのカガメ、セネガルのサル、コンゴ民主共和国のチセケディ、エジプトのシーシ、ケニアのケニヤッタ、ジンバブウェのムナンガグワという9人の国家元首と、アフリカ連合委員会のムーサ・ファキ委員長である。
 Covid-19がもたらした危機を乗り越えるために、国際協調、国際協力が必要なことは明白だ。しかし、残念ながら、中国と米国が非難の応酬をし、他の国々も途上国支援を十分協議できていない現状で、マルチラテラリズムはほとんど機能していない。
 現下の危機はここにある。