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今日のアフリカ

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ボンゴ一族によるガボン政治の支配

2019/12/26/Thu

 Africa Confidential(12月19日付)によれば、ガボンで大統領アリ・ボンゴの息子ヌレダン・ボンゴ=ヴァランタン(Noureddin Bongo-Valentin)が「大統領関連業務総コーディネーター」に任命された。アリ・ボンゴが脳溢血で倒れてから1年余を経て、ガボンの政治秩序はボンゴ一族による権力確立へと向かっているようだ。
 アリ・ボンゴは、2009年に父親オマール・ボンゴの死去を受けて大統領に就任した。オマール・ボンゴは1967年以来ガボン大統領の座にあった。2018年10月、アリはサウジアラビア訪問中に脳溢血で倒れ、サウジアラビアとモロッコでの療養生活を送った。国家元首不在の中、2019年1月7日には若手国軍兵士が決起し、一時国営放送局を占拠するというクーデタ未遂事件が起こっている。この事件を受けて、アリ・ボンゴはその一週間後にラバトから帰国した。帰国後も消息不明の状態が続いたが、4月になってようやくツイッターに投稿があり、8月には軍事パレードを謁見して演説するまでに回復した。
 アリ・ボンゴの療養中に頭角を現したのが、大統領府官房長のアリハンガ(Brice Laccruche Alihanga)であった。フランス人との混血であるアリハンガは39歳で、積極的に地方都市を回るなど、政権のプレゼンス浮揚に努め、若手の有力政治家として台頭した。ところが、彼は11月7日に突然解任され、その後汚職容疑で逮捕されてしまう。代わって任命されたオガンダガ(Théophile Ogandaga)は、アリハンガのような積極的な動きを見せていない。加えて、ヌレダンが「総コーディネータ」に任命されたわけで、実質的なNo.2の指名と見られる。アリ・ボンゴは体調の回復とともに政権基盤の再編に着手し、ライバルとなりうるアリハンガを排除して自分の息子を後継者に据えたと解釈できる。
 ヌレダンはまだ30歳。これまでは主としてビジネス業界におり、政治からは距離を置いていた。彼がアリ・ボンゴの後継に座るなら、既に半世紀を超えているボンゴ一族のガボン支配はさらに伸びる。それをガボンの民衆はどう受け止めるだろうか。