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今日のアフリカ

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スーダンで権力分有合意に署名

2019/08/05/Mon

8月3日、スーダンで軍と市民側の間に立って和平仲介を進めていたアフリカ連合(AU)のルバット(Mohamed El Hacen Lebatt)特使は、両者が市民への権力移行を含む憲法上の合意に署名したと発表した。内容は7月17日の合意に沿ったもので、主権評議会を設立して3年間の移行期間の政権運営を行い、選挙を実施すること、主権評議会は11人から構成され5人は軍側から、5人は市民側から、1名は双方の合意で選出されること、最初の21か月は軍側が主権評議会議長を務め、その後は市民側が務めること、などが主な点である。
 スーダンでは、食料価格引き上げをきっかけとして昨年12月から政権に対する抗議が強まり、4月には30年間政権を担ったアル・バシールがクーデタで倒された。しかし、6月3日には、軍側No.2のMohamed Hamdan Dagalo(「ヘメティ」)が率いる治安部隊「緊急支援部隊」(RSF)がデモ隊を鎮圧して100名以上を殺害するなど、行方が見通せない状況が続いていた。そうしたなかでもAUとエチオピアが中心になって仲介を続け、権力分有合意を成立させたことは、高く評価できる。
 8月5日付ファイナンシャルタイムズは、「安心できる状況ではないが、重要な一歩前進だ」という駐スーダン英国大使のコメントを載せている。市民側の運動の中心を担ったスーダン専門家協会(Sudanese Professionals Association)の指導者も、「移行期は大変だろうが、一生懸命頑張って成功させることが自分達の責務だ」と述べている。バシール政権期の遺産の清算は容易ではないだろうが、新たに生まれた民主的な政権が丈夫に育ってほしい。