• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

ケニアにおけるLGBT映画の上映禁止

2021/09/25/Sat

ケニア映画審査委員会は、ゲイカップルの生活を描いたドキュメンタリー映画を国内で上映禁止にした(BBC 9月23日)。対象となったのはピーター・ムリミ監督により昨年公開された「I am Samuel」で、内容が同性婚を促進するために法律に反するとしている。ケニアには同性愛禁止法があり、同性愛は14年以下の懲役を含む犯罪として罰せられる。法律が継続する背景には、同性愛を悪魔・悪霊のせいとするケニアの多数派のキリスト教徒の価値観がある。

5年間にわたって撮影されたこの映画は、暴力と差別を背景に、サムと彼のボーイフレンドであるアレックスの関係を描いていたものだ。「I Am Samuel」は、2018年にケニア映画として初めてカンヌ映画祭でプレミア上映されたレズビアンラブストーリー 「ラフィキーふたりの夢ー」(日本ではAmazon Prime等で有料視聴可)の映画館での上映禁止を決定したのに続き、ケニアで禁止された2つ目のLGBTをテーマにした映画である。ムリミ監督は建設的な対話を呼びかけ、この映画を南アフリカを基盤にする映画プラットフォームAfriDocsでアフリカ大陸向けに10月から無料配信予定だとする。ケニアのLGBT運動では他にミュージックビデオ(The Citizen 2016年4月28日)や、ゲイを認めるキリスト教会の運動に関するドキュメンタリー映画製作(University of Leeds 7月9日)なども行われているが、このような映像や運動が対話の可能性を開いていくことを期待したい。