2020年度 活動日誌

3月 活動日誌

2021年3月31日
GJOコーディネーター 原 真咲

【ウクライナの春】

空高くカモメの舞う季節になりました。モリバトやツグミもやってきて、シジュウカラの歌うたいや鶴のような声で啼くカラスが梢で歌を競い合っています。昔、ウクライナでは鳥が渡ってくると春になるので、早く鳥が春を連れてきてくれるよう、鳥の形をしたお菓子を焼く習慣があったそうです。

【今月のリヴィウ大学】

新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が急激に増加したため、大学は閉鎖されすべての授業が遠隔式に移行しました。

28日には、外大生とリヴィウ大学の日本語専攻の学生とのあいだで第2回オンライン交流会を開催しました。本学から2名(新規1名、2回目1名)、リヴィウ大学から6名の学生が参加しました。コロナ禍下での過ごし方(遊びに行けるか、居酒屋や飲食店の状況など)、日本のキリスト教徒についての話、ウクライナの汚職の話、使用言語の話などが意見交換されました。

機会があれば今後また第3回の交流会を実施したいと思いますが、その際は大学を通じて告知を出すと思いますので、興味のある方はときどきチェックして下さい。リピーターの方も、初めての方も歓迎します。

【新型コロナウイルス感染症拡大状況】

1月末日から2月末日の感染者数の増加は全国326,319人(2月128,394人)、その内リヴィウ州24,752人(2月7,732人)でした。1日あたりの平均は、全国約326,319(2月約4,586人)、リヴィウ州約794人(2月約276人)になります。今月の1日の最大感染者数は全国で17,424人(27日)、最小感染者数は3,261人(9日)でした。

リヴィウ市は感染拡大の抑制のためにまだ「橙」区分のうちから強化した検疫措置を導入しましたが、結局厳格なロックダウンが義務付けられている「赤」区分に入りました。

保健省の説明では、イギリス型変異株が全国に蔓延し、感染爆発を引き起こしたとのことです。このため、全国で最も状況の深刻なキーウ市や2番目に深刻なリヴィウ州はじめ、各州が「赤」区分になり、厳しいロックダウンが開始されました。ただ、昨春と異なり、交通機関は今のところ動いています。利用条件は自治体によって異なります。キーウでは許可証なしには交通機関は利用できません。リヴィウでは普通に乗れると言われていますが、実際乗ろうとしてみていないのでよくわかりません(ただし、いずれにしても乗車人数の制限による乗車拒否はあり得る)。

最近実施された調査によると、ウクライナ人の71%が新型コロナウイルスは人為的に造り出されたものであると考えているそうです。その目的としては、「人口を減らすため」(40%)、「学術的実験であった」(31%)、「生物兵器である」(27%)、「経済危機を作るため」(17%)、「ワクチンで儲けるため」(16%)、「人々をコントロールするため」(12%)、「先進国の影響力強化のため」(4%)などとなっています。ここでこれだけのデータで詳細な分析はしませんが、いろいろウクライナ人の世界観が見えるようでおもしろい調査ですね。

【続く事変】

ずっと続いている小競り合いによる死傷者は毎日のように報じられていますが、最近、隣国のロシア連邦が軍部隊をウクライナ国境付近や一時的に占領しているクリミア半島に移動し、黒海艦隊の潜水艦全艦を臨戦態勢で出撃させるなど、軍事的な挑発行動をエスカレートさせています。疫病や災害のような隣の国の「緊急事態」に乗じて他国の島に手を伸ばしてくるような国も世界にはありますし、ロシア政府にとって欧米との交渉カードがなくなってきていることから、不測の事態が起こることが懸念されています。

国連では、ロシア連邦はドンバスにおける紛争の調停者ではなく侵略国であるという決議が、日本を含む47カ国によって宣言されました。賛同国は欧米とオセアニア諸国が中心となっていて、日本の周辺国は一つも賛同していませんが、これ以降も各国はロシアに状況のエスカレートをやめるよう働きかけています。ロシア側は通常の移動であるとしていますが、軍事専門家のなかには泥地が乾き装甲車両が移動可能となる5月後半にロシア軍が軍事行動を開始するとの見方を示している人もいます。

ロシアは最近もアゼルバイジャン領土へ弾道ミサイルを撃ち込んでいたことが明らかにされています。
いろいろ大変ですね……、と言うよりほかありません……。

【参考リンク】
リンクは2021年3月末日現在有効。
ウクライナ国内でイギリス型変異株発見(4日17:34付報道)
リヴィウに強化検疫措置を導入(17日12:29付報道)
サドヴィーイ市長、リヴィウ市へのロックダウン導入に言及(17日13:52付報道)
ウクライナ入国にPCR検査陰性証明書を要求(19日11:13付報道)
ウクライナ、ワクチン接種第二段階へ(19日10:28付報道)
サドヴィーイ市長「ロックダウンはコロナウイルス拡大を断ち切る唯一の手段」(19日10:52付報道)
ダーリヤ・ポペレーチュナ「1300人以上のウクライナ人がCOVID-19に再感染」(18日付報道)
ワクチン接種第二段階開始(22日14:49付報道)
リヴィウ市ロックダウン4月3日まで延長(22日13:07付報道)
サドヴィーイ市長、ロックダウンの新決定を説明(22日15:10付報道)
外国人のウクライナ入国にPCR検査を義務付け(23日10:08付報道)
リヴィウ州「赤」区分へ(23日11:09付報道)
リヴィウ州、イギリス型変異株に直面(23日13:50付報道)
ウクライナ入国とPCR検査の新規則のQ&A(24日付報道)
明日からリヴィウは赤区分。新たな禁止事項(24日10:50付報道)
カテレィーナ・ホロシュチャーク「ウクライナ人71%がコロナウイルスは人為的に造られたと看做す」(25日付報道)
ステパーノウ保健相、検疫措置は年末まで、3週間後には1日の感染者数2万5千人(27日01:31付報道)
ステパーノウ保健相、攻撃的「イギリス」株がウクライナ全国に蔓延(27日18:54付報道)
リヴィウ市、強化検疫措置を延長(30日12:57付報道)
リヴィウ市、強化検疫措置を4月12日まで延長(30日12:23付報道)
国連47カ国、ロシアは侵略国、ドンバスの調停者にあらず(26日22:36付報道)

2月 活動日誌

2021年2月28日
GJOコーディネーター 原 真咲

【今月のリヴィウ大学】

リヴィウ大学は今月から後期学期が始まりました。新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が減少したため、一部の授業が対面式で再開されました。原則として演習科目は対面式、講義科目は遠隔式となっていますが、必ずしも守られていないように思われます。時間割も遠隔授業と対面授業が連続して組まれたりしていて、大学構内はまともなインターネットがないので授業できなかったり、苦労があるようです。

【新型コロナウイルス感染症拡大状況】

1月末日から2月末日の感染者数の増加は全国128394人(1月164408人)、内リヴィウ州7732(1月9918人)でした。1日あたりの平均は、全国約4586人(1月約5303人)、リヴィウ州約276人(1月約320人)になります。今月の1日の最大感染者数は全国で8172人(27日)、最小感染者数は2030人(1日)でした。

お正月休みと1月8~24日のロックダウンの影響でこの2ヶ月は新規感染者数が減少しましたが、徐々に増加傾向にあります。一時期に比べると大幅に減少していますが、検査に行く人が減っているという問題が指摘されています。学生たちでも、冬休み中に重い風邪のような症状が長期間続いたが検査に行かなかったので何だったかわからない、という人もいるようです。

また、今月からワクチン接種が開始されました。ウクライナでは、複数の製薬会社から様々な種類のワクチンが輸入されるようです。

ウクライナ政府は1月のロックダウンを成功であったと評価し、これまでの検疫措置期間を4月30日まで延長しました。同時に、2月24日から新たな措置を導入しました。特に、以前行っていた全国の4色区分を再導入し、感染状況に応じて州ごとに緑・黄・橙・赤の4色に区分することとしました。2月24日の時点では全国を「黄色」に区分し、状況が悪化すれば「橙」、「赤」へ、改善すれば「緑」へ移行させます。色分けごとの規制事項は以前のものから改定されています(私見ですが、教育機関について言えば規制が大幅に弱められ、授業のオンライン化がされにくい条件に修正されたように思われます)。また、以前はなかった規定として、ウクライナの13以上の都市で状況が快方に向かい「緑」への移行の条件を満たした場合は、全国を「緑」に区分することとなりました。

個人的な感想ですが、規制は以前よりだいぶ緩いものになっているように思います(実際に弱まって作用するか、変わらず作用するか、強化して作用するかはまだわかりません)。政府は一見規制が弱まったように見える設定にすることで国民に対して検疫措置の出口の灯明を見せ、モチベーションを維持させようと図ったのか、と思いました。自分は規則を守らずともみんながワクチンを打てば大丈夫と思っている人任せの発想の人がいますが、他人事としないモチベーションの維持はどこの国でも重要ですね。

詳しい内容は在ウクライナ日本国大使館のホームページに日本語で説明がありますので、そちらをご参照下さい([https://www.ua.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consular.html] 2021年2月末日現在有効)。

【記念日】

2月25日はウクライナの最も有名な女流詩人、レーシャ・ウクライーンカ(Леся Українка, 1871–1913)の生誕150周年が祝われました。入手がし難いですが、ウクライーンカ(ウクラインカとも表記)の作品はいくつか日本語にも翻訳されていますので、探して読んでみて下さい(例えば、原田義也訳「レーシャ・ウクラインカ『カタコンベにて』」『ロシア・東欧研究』8、大阪外国語大学ヨーロッパ1講座、2004年、113–154頁)。日本でも、生誕150周年を祝う動画が作成されました(在日ウクライナ大使館 [https://www.facebook.com/ukr.embassy.japan/videos/855632548615679/?__tn__=H-R] 2021年2月末日現在有効)。本学からは名誉教授中澤英彦先生が参加されていますね。

2月26日は「ロシアによる占領へのクリミアの抵抗の日」(День кримського спротиву російській окупації)という記念日になっています。これは、2014年のこの日、ウクライナのクリミア半島にあるクリミア自治共和国の首都シンフェローポリでロシア連邦のクリミア占領行動の一環として招集されるクリミア最高会議臨時議会に反対する集会が行われたことに因む記念日です。現在も東部戦線では停戦協定に違反した戦闘が継続しており、死傷者が絶えません。

この記念日に際し、日本国大使館はウクライナの主権、独立、領土の一体性の支持、そして「クリミアがウクライナ領であること」を再度宣言し、ロシアによるいわゆるクリミア“併合”を認めないことを改めて言明しました。

【参考リンク】
リンクは2021年2月末日現在有効。
インドは2月にウクライナへ5万回分のアストラゼネカ製ワクチンを提供(21日00:26付報道)
最初のワクチン到着(23日11:40付報道)
最初のワクチンが認可(23日付報道)
最初のファイザー製ワクチンが認可(23日付報道)
リヴィウ州、ワクチン42200回分受領(25日11:03付報道)
リヴィウで医師へのワクチン接種開始(25日14:12付報道)
リヴィウで最初のワクチン接種実施(25日17:14付報道)
150年前にレーシャ・ウクライーン生まれる(25日10:15付報道)
レーシャ・ウクライーンカについて教科書に書いていないこと(25日付報道)
日本もクリミアをウクライナ領と看做している(26日15:39付報道)

12月 活動日誌

2020年12月31日
GJOコーディネーター 原 真咲

【今月のリヴィウ大学】

リヴィウ大学は今月2週目まで通常の授業が行われ、3週目から試験が始まりました。ウクライナの大学の試験は、成績によって奨学金の有無が決まるシビアなものです。また、追試などを含め最終的に落第した場合、留年という制度はなく、退学になります。それだけやって受からないというのは向いていないということなので、早くやめた方がよい、という考え方だそうです。別の見方をしますと、追試が何度かありますので、日本の大学より進級しやすいという面もあるかもしれません。いずれにせよたいへんです。

今年は試験も遠隔という史上初めての試みなので、いろいろ試行錯誤があるようです。ウクライナでは伝統的に口頭試問が主だったのですが、オンラインで一人ひとりそれをやるとかなりたいへんらしく、筆記にする先生もいますが、筆記にしてもやり方はいろいろで、ウェブサイトを利用して完全オンラインで行う先生、紙に書かせてそれを写真で撮らせる方法で行う先生など、様々なようです。オンラインの機能を使用して提出期限を設定すると、期限が秒単位で厳密になるので、学生はたいへんなようです。それにウクライナは通信状況が悪いですし、停電やネットの切断は年中ですので、そこで試験に失敗する学生もいるようです。

試験のあと、冬休みになりました。

【新型コロナウイルス感染症拡大状況】

ウクライナにおける新型コロナウイルスの感染者数は引き続き増加中で、24日には累計感染者数100万人を突破しましたが、全体的には11月28日をピークに減少傾向にあります。累計患者数は、11月30日現在で全国1055047人、内リヴィウ州61268人です。11月末日から12月末日の感染者数の増加は全国322422人(先月345144人)、内リヴィウ州15190(先月16250人)でした。したがって、1日あたりの新規感染者数は平均約10401人(先月約11505人)、リヴィウ州490人(先月約542人)となりました。今月の1日の最大感染者数は、全国で15131人(4日)、最小感染者数は4385人(28日)でした。一方、リヴィウ州では5日から新規感染者より回復者の方が多くなったそうです。

先月一杯の予定で導入された「週末ロックダウン」は、所期の目標を達成したとのことで予定通り撤廃されました。感染拡大状況に合わせて地域を色分けし各レベルごとの措置を講ずる「適応検疫措置」も、全国が最も状況の悪い「赤」と2番目の「橙」になってしまったため廃止され、一律で「橙」相当の規制がかけられることとなりました。

キリスト教の行事が重視される(イスラム教徒もいるのですが)ウクライナでは、旧暦(ユリウス暦)でクリスマスとなる1月7日は重要な祝日とみなされています。そこで、政府はこの祝日を避けて1月8日から24日まで、感染拡大阻止のために検疫措置の強化(ロックダウン)を実施することとしました。その内容は、以下のように説明されています(以下は首相のフェイスブックに掲載された一覧からの翻訳。誤訳については一切責任を持ちかねますので、重要な場合は関係機関に問い合わせて下さい)。

〔禁止事項〕
☓教育機関に行くこと(幼稚園・保育園は規制対象外)
☓喫茶店、バー、レストランの営業(配達とテイクアウトは規制対象外)
☓すべての大規模イベント(娯楽、スポーツ、社会的、宣伝目的など)の実施
☓ショッピングセンターの営業(ショッピングセンター中にある下記〔許可事項〕相当のものは規制対象外)
☓文化施設への訪問者の受付および文化行事の実施
☓スポーツセンターやフィットネスクラブへの訪問者の受付およびプールの営業
☓商業および住民日用サービスの経済主体の営業(下記〔許可事項〕相当のものは規制対象外)
☓小売でない市場の営業(小売市場の営業は制限付きで許可)

〔許可事項〕
○公共交通、自動車・航空・鉄道旅客輸送の都市間および国際路線の運行
○小売商品の売買
○医薬品、医療用品、動物用医薬品の売買
○衛生用品、通信機器、飼料(ペットの餌)の売買
○自動車の技術的サービスおよび修理
○ガソリンスタンドの営業(飲食区画を除く)
○金融機関(銀行)の営業
○郵便業務
○床屋(美容院)およびエステの営業(事前予約によってのみ)
○ホテルの営業(食堂の営業は6時から11時まで)
○プロクラブの無観客スポーツイベント

【参考リンク】

リンクは2020年12月末日現在有効。

週末の検疫措置は廃止。橙区分を適用(2日13:44付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/12/2/7275614/

冬休みの検疫措置の規制項目(9日6:55公開、シュメィハーリ首相のフェイスブック)
https://www.facebook.com/dshmyhal/posts/225858355648042?__tn__=%2CO*F

コロナウイルス減少へ。ステパーノウ保健相、ロックダウンを中止しない理由(28日09:52付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/12/28/7278346/

11月 活動日誌

2020年11月30日
GJOコーディネーター 原 真咲

【今月のリヴィウ大学】

紅葉の季節も足早に去りゆき、29日から降り始めた雪霰は、翌日には薄っすらと雪景色を生みました。

リヴィウ大学は先月19日から立ち入りが制限され、授業はオンラインで行われています。それに伴い、従来対面式のみで実施されていた留学生向け授業もオンライン化されたため、日本からでも参加ができるようになりました。

さて、先月お知らせしました通り、29日に外大生とリヴィウ大学の日本語専攻の学生とのあいだでLanguage Exchangeを目的とする交流会を開催しました。本学から5名、リヴィウ大学から9名の学生が申し込んで下さいました。それぞれの現地の様子、ウクライナ(語)とロシア(語)の関係などについて、日本語とウクライナ語を中心に、英語やロシア語も交えつつ会話が行われました。双方に自己紹介を準備していただきましたが、外大生も主専攻語でないながらがんばってウクライナ語で準備をしてくれましたし、リヴィウ大生も自分の町や大学の紹介のスライドを作成してくれて、日本語で自己紹介してくれました。

今回は初めての試みで改善点もありますが、初回としては充実した楽しい会になったようで、実施してよかったと思います。今後もまた機会を見つけて実施したいと思いますが、その際は大学を通じて告知を出すと思いますので、興味のある方はときどきチェックしてみて下さい(12月、1月は双方の大学の試験等があるため、少なくともその期間が終わるまでは実施しない予定です)。

【新型コロナウイルス感染症拡大状況】

ウクライナにおける新型コロナウイルスの感染者数は引き続き増加中です。累計患者数は、11月30日現在で全国732625人、内リヴィウ州46078人です。10月末日から11月末日の感染者数の増加は全国345144人(先月178522人)、内リヴィウ州16250人(先月9478人)でした。したがって、1日あたりの新規感染者数は平均約11505人(先月約5759人)、リヴィウ州約542人(先月約306人)となりました。今月の1日の最大感染者数は、全国で16294人(28日)でした。一方、リヴィウ州では5日から新規感染者より回復者の方が多くなったそうです。

今月は、大統領や保健大臣も新型コロナウイルスに感染したと報じられました。

「週末ロックダウン」が4日にアナウンスされ、14日から11月一杯(3週間)という期限で実施されました。また、全国が「橙」か「赤」の区分に入ってしまったため、「適合検疫措置」は廃止され、全国一律の検疫措置に戻りました。制限内容は、従来の「橙」相当だそうです。マスク非着用者への罰金も改めて強調されました(罰金額を現実的な金額に低減)。また、市民や自治体が規則を守らないなどして「週末ロックダウン」がしかるべき効果を発揮しない場合、平日を含めた完全なロックダウンを実施することになると予告されました。

市長選挙の決選投票を控えたリヴィウのサドヴィーイ市長は、政府の「週末ロックダウン」は「たわごとだ」と述べ、その導入を拒否しました。自らもレストランはじめ多くの観光関連施設を所有している市長は、ビジネスへの影響に最大の配慮を片時も忘れることはなく、ビジネス業界の強い味方であると言えるでしょう。さらに市長は、リヴィウ市では土曜日と日曜日を廃止し「週末」をなくし全部「平日」とすることで「週末ロックダウン」を回避するという奇策に打って出ました(他市でも同様の措置が講ぜられていますが、リヴィウ市がオリジナルと思います)。サドヴィーイ市長はかねてより毎週教会に通っていることで人気のある市長でしたが、今回はその奇策でさらに選挙民の支持を獲得したのか、見事4選を果たしました(1期は5年間)。これからは一休さん市長と呼びましょう。常識に縛られないその奇策で、長年放置してきたゴミ問題、不透明な市の予算の使途の究明、などといった積年の課題も今期こそ4度目の正直で解決することを期待したいですね。(個人的には、市長の友人であるトルコ企業が長年行ってきた道路工事の工法を是正してほしい。)

隣州のテルノーピリ市では、「禿頭」と「レリヴァ」(テルノーピリ市創設者タルノフスキの家紋の名前)というレストランを所有するビジネスマンが、自分のレストランを週末も閉鎖しなくて済むよう店舗を宗教施設として登録したと報じられました。その名も、「禿頭兄弟団」とのこと。まだ髪が生えている人も入店させてもらえるのか、来店前に確認した方がよさそうです。

何か、ウクライナ中でとんち合戦が盛り上がっているようですね。

【参考リンク】

リンクは2020年11月30日現在有効。

今後、公共空間でのマスク非着用は罰金(6日12:47付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/11/6/7272620/

サドヴィーイ市長、リヴィウは「週末ロックダウン」を導入せず(11日19:18付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/11/11/7273228/

政府、適合検疫を廃止、週末ロックダウンを導入(11日15:26付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/11/11/7273181/

サドヴィーイ「週末ロックダウンはたわごと」(11日13:24付報道)
https://galinfo.com.ua/news/sadovyy_karantyn_vyhidnogo_dnya__tse_durnytsya_355038.html

全国で厳格な「週末ロックダウン」実施(11日16:00付報道)
https://galinfo.com.ua/news/v_ukraini_zaprovadyly_zhorstkyy_karantyn_vyhidnogo_dnya_355059.html

テルノーピリ市、週末ロックダウン実施を拒否(13日14:07付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/11/13/7273451/

チェルカーセィ市、週末ロックダウンの無視を決議(13日13:45付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/11/13/7273447/

「うちに週末はない」リヴィウ市、ロックダウン回避のため土日を平日化(13日18:48付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/11/13/7273497/

ジトーメィル市、週末ロックダウン実施せず(13日17:01付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/11/13/7273480/

キーウ市、Київ піде на локдаун вихідного дня – КМДА(13日15:28付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/11/13/7273467/

ソフィーヤ・コチュマール=ティモシェーンコ「テルノーピリ市で週末閉店回避のためビジネスマンが所有するレストランを寺院と宣言」(13日付報道)
https://life.pravda.com.ua/society/2020/11/13/243010/

シュメィハーリ首相、政府の決定は法であると自治体に強調(13日14:24付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/11/13/7273453/

ゼレーンシケィイ大統領、週末検疫措置拒否の市長へ(14日21:36付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/11/14/7273581/

何人のウクライナ人がマスク非着用で罰金を科されたか大統領に報告(23日14:19付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/11/23/7274533/

10月 活動日誌

2020年10月31日
GJOコーディネーター 原 真咲

【今月のリヴィウ大学】

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、ウクライナ政府は教育機関の閉鎖と全授業の遠隔化を要請しました。これを受け、リヴィウ大学では19日から原則として全授業をオンラインに切り替えました。大学への許可のない立ち入りも禁止されています。春夏と同じ状態と言ってよいでしょう。

さて、本学では30日にオンラインで「TUFSオンライン留学フェア2020」留学体験報告会が実施されました。そのときに告知したのですが、今後、本学の学生とリヴィウ大学の日本語専攻の学生とのあいだでLanguage exchangeの交流会を開く計画があります。11月29日18時(日本時間)から開催予定です。ウクライナ語と日本語での交流に関心のある参加希望者がおられましたら、ご連絡下さい。リヴィウ大学からは3年生が参加する予定で、みんな楽しみにしています。

【新型コロナウイルス感染症拡大状況】

ウクライナにおける新型コロナウイルスの感染者数は引き続き増加中です。累計患者数は、9月30日現在で全国387481人、内リヴィウ州29828人です。9月末日から10月末日の感染者数の増加は全国178522人(先月87744人)、内リヴィウ州9478人(先月5840人)でした。したがって、1日あたりの新規感染者数は平均約5759人(先月約2925人)、リヴィウ州約306人(先月約195人)となりました。今月の1日の感染者数の最高は、全国8752人(31日)でした。

WHOの勧告によると、ウクライナの1日の感染者数は9千人程度にまで増加する見込みであるとのことでしたが、もっと増えるのではないかと思います。商業施設の閉鎖など、市民生活にも影響が出ることでしょう。人々は、そうならないようにもう少し対策に真面目に取り組んだらよいのではないかと思うのですが、考え方が違うようです。ワクチンとか、もっと高リスクで手間も費用もかかることには興味があるようですが、日常的な簡単な対策には興味がないようです。お祭り好きタイプですね。幸か不幸か、EU諸国のように特に社会的に強い反対運動が行っているわけでもなく、単に関心がないように見えます。

さて、検疫措置に定められた項目の違反は法律違反であり、罰金等の対象となります。一般市民人に対する取り締まりは今のところ厳しくありませんが、違法に大勢を集めてコンサートなどのイベントを開いたりすると、違法行為として捜査が行われたりしているようです。また、大統領は検疫措置に非協力的な地方自治体の首長に対し、感染拡大の責任を問う批判演説を行っています。

今月は、ウクライナ軍の輸送機が訓練中に墜落して20名以上が殉職したり、キプロス正教会がウクライナ正教会を承認したり、財産隠し等の不正・汚職追放のために定められた確定申告の義務付けを憲法裁判所が違憲として排除する判決を出し、EUから批判されてビザ免除を停止すると言われたり、色々大きなニュースもありましたが、統一地方選挙も注目を集めました。自治体首長や地方議会の選挙は予定通り25日に実施されましたが、当選した市長のなかにも感染者やそれで亡くなる方が現れました。選挙活動で各地を遊説し、不特定多数の人と会ったりするので、感染が拡大したのでしょう。感染症拡大のなかで行われる投票であったため万全の対策が指示されましたが、投票所ではマスクを持っていない係員や(マスクは品薄ということはなく、スーパーでもどこでも買えると思うのですが)、設置が定められている隔壁がないなど、指示に違反した衛生上の問題が指摘されました。リヴィウ市長選は、11月22日に上位2候補による決選投票が行われることになりました。

【参考リンク】

リンクは2020年10月31日現在有効。

カテレィーナ・ホロシュチャーク「WHO、ウクライナでは毎日9千人まで新規患者数が増加する見込み」(1日付報道)
https://life.pravda.com.ua/health/2020/10/1/242523/

シュカールレト教育相、児童に対する2週間の遠隔授業の実施を要請(10日14:16付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/10/10/7269487/

政府、教育機関への推奨事項を公表(14日16:22付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/10/14/7269897/

検疫措置、2020年末まで延長(13日17:10付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/10/13/7269798/

ゼレーンシケィイ大統領、ケールネス市長らのせいで大勢が亡くなったと批判(22日18:21付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/10/22/7270824/

サドヴィーイ・リヴィウ市長の家族が罹患(27日122:41付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/10/27/7271467/

緊急事態を年末まで延長(28日16:09付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/10/28/7271560/

風に落ち葉が舞う
公園の木々
マスクをして検疫措置に協力するフランコー(大学向かいの記念像)

9月 活動日誌

2020年9月30日
GJOコーディネーター 原 真咲

【今月のリヴィウ大学】

9月になった途端、気候が変わり、まったく洗濯物の乾かない季節になりました。

リヴィウ大学では新年度・新学期が始まりました。リヴィウ市における新型コロナウイルス感染症の状況は劇的な悪化も改善もしていないため、授業は予定通り対面式と遠隔の混成で開始されました。クラスに感染者またはその疑いのある者が出た場合、最後にその学生と他の学生が授業で会った日から2週間、すべての授業が遠隔に変更されます(現にそうなったクラスがあります)。また、入試日程のずれ込みの影響で、新入生は学部・大学院とも15日からとなりました。

リヴィウ大学の現在の措置は、目下10月31日までが予定されています。状況が改善しなければ延長されるものと思われます。

【新型コロナウイルス感染症拡大状況】

ウクライナにおける新型コロナウイルスの感染者数は継続的に増加中です。累計患者数は、9月30日現在で全国208959人、内リヴィウ州20350人です。8月末日から9月末日の感染者数の増加は全国87744人(先月51331人、先々月25550人)、内リヴィウ州5840人(先月4984人、先々月4091人)でした。したがって、1日あたりの新規感染者数は平均2924.8人(先月約1956人、先々月約824人)、リヴィウ州約195人(先月約161人、先々月約132人)となりました。今月の最高は全国4027人(30日)でした。

今月は、キーウ総主教や前大統領、議員、地方自治体の首長など、著名人のあいだにも感染者が大きく広まりました。

今月の特徴は、感染拡大の中心が東部・南部に移ったことで、日によって東部のハールキウ州が中部のキーウ市と新規感染者数トップの座を争いました。ハールキウでは市長が感染し、ハールキウ市がトップになったという日に自らはドイツに飛行機で緊急移送してもらいました(ロシアで毒を盛られたナヴァーリヌイ氏を移送した機体だそうです)。ウクライナの医療はよほど信頼できないのですね。ハールキウ市民はウクライナで治療を受けていると思うのですが。

国全体の増加数の多くは東部・南部が占めていのため、全体的な増加速度に比べればリヴィウ州の増加速度は穏やかです(もともと多い)。感染地域の拡大は、夏休みの人の移動が原因ではないかと思いますが、公式な分析はまだ目にしておりません。

検査は無料のものと有料のものがあり、症状が出ている場合は無料の検査を受けられる可能性がありますが、検査を受けた学生の話では、検査を受けてから3週間経ったがまだ結果を知らされていない、と言っていました……。その後どうしたかはまだ聞いていません。夏休み中に検査を受けた別の学生は、割とすぐに陽性の結果が出たようでした。感染が拡大しているためか、検査所も大変なようです。不安や諸々の不便はもちろんですが、学生に関しては感染しているかどうか早くわからないと遠隔以外は授業に出席できなくなるので、ちょっと困りますね。また、勤め人(バイト含む)は陽性の結果をもらうと陰性の結果が出るまで出勤を認められなかったりするようです(ちなみに、無症状になると検査が有料になるので、ウクライナの一般的な給与水準から考えるとかなりの出費がかかります)。

検疫措置について、「赤」区分に入れられた自治体や、春からの様々な制限で「経済的損害を被った」という自治体等が、政府を批判するのみならず法廷に訴える動きに出ました。自治体首長や議会を中心とした検疫措置反対運動は今月25日に実施される統一地方選挙のためのキャンペーンだと大統領は批判していました。検疫措置の厳しさを批判する人と、検疫措置の緩さを批判する人、どちらの票を確保するとより多くの得票に結びつくでしょうか。検疫措置への取り組みは選挙運動の中心的テーマには必ずしもなっていないので、選挙の結果を見てもそのことは判断できないかもしれませんが、何か傾向は見られるかもしれません。

【外国人の入国禁止の解除】

先月28日から突然外国人の入国制限が実施されましたが、予定通り今月28日で解除されました。また、外国人の入国条件が大幅に緩和され、事実上ほぼノーチェックで入国ができるようになりました(新型コロナウイルス感染症に対応した保険の携帯が必須)。

【参考リンク】

リンクは2020年9月30日現在有効。

リヴィウ大学の検疫措置、10月31日まで延長(7日13:14付報道) ​
https://galinfo.com.ua/news/karantynu_u_lnu_imeni_ivana_franka_prodovzheno_do_31_zhovtnya_350434.html

ゼレーンシケィイ大統領、検疫措置に反対する暴動市長は「選挙民のご機嫌取りをしている」(9日16:45付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/09/9/7265847/

数百人のユダヤ教巡礼者、ベラルーシからウクライナへ入国を試みる(14日21:01付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/09/14/7266381/

ハールキウ市長ケールネス氏、治療のためドイツへ空輸(16日23:04付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/09/18/7266877/

ケールネス市長をドイツまで移送した航空機はナヴァーリヌイ氏を救った機材(17日付報道)
https://www.avianews.com/ukraine/2020/09/17/navalny_plane_transported_kernes_to_berlin/

「ハシディズム人民共和国」疫病蔓延下のウーマニのユダヤ教新年(18日05:30付報道)
https://www.pravda.com.ua/articles/2020/09/18/7266780/

ゼレーンシケィイ大統領「地方選挙がなければ新型コロナ感染症は少なかった」(18日17:00付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/09/18/7266877/

ウクライナ、ヨーロッパで新型コロナウイルス感染症による1日の死者数第2位(20日06:16付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/09/20/7267002/

「赤区域」には新しい制限(21日14:43付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/09/21/7267127/

外国人再びウクライナ入国許可(28日付報道)
https://www.avianews.com/ukraine/2020/09/28/foreigners_can_entry_to_ukraine_again/

国家国境庁、ウクライナへの外国人の入国方法を説明(29日11:00)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/09/29/7268072/

ウクライナ国会、代議士のあいだでの新型コロナウイルス感染症感染爆発により検疫措置(30日14:05付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/09/30/7268261/

8月 活動日誌

2020年8月31日
GJOコーディネーター 原 真咲

【今月のリヴィウ大学と教育関係】

リヴィウ大学は夏休みです。

来月1日からは新年度・新学期で、授業は対面式とオンラインの混成で行われることになりました。学生同士や学生教師が相互にやり取りをする授業(外国語など)が対面で、講師が一方的に話す講義はオンラインです(感染防止……?)。また、受験日程がひと月ほど遅れた影響で、新入生(学部・大学院)は9月15日入学にずらされました。

【新型コロナウイルス感染症拡大状況】

ウクライナにおける新型コロナウイルスの感染者数は爆発的に増加中です。累計患者数は、8月31日現在で全国121215人、内リヴィウ州14510人です。7月末日から8月末日の感染者数の増加は全国51331人(先月25550人)、内リヴィウ州4984人(先月4091人)でした。したがって、1日あたり平均約1656人(先月約824人)、リヴィウ州約161人(先月132人)の感染者が出たことになります。毎日のように1日当たりの新規感染者数の記録を更新し、8月の最高は全国2481人(29日)でした。特に、リヴィウ州と首都キーウ市は1日の感染者数トップの座を巡って熾烈な競争を繰り広げました。建前はともかく、実際には人々の多くはほぼ対策は取っていないので、今後とも増えることでしょう。

今月は、政治家や芸能人など、著名人のあいだにも感染者が現れ始めました。

【新型コロナウイルス感染症は陰謀です!?】

ウクライナでは新型コロナウイルス存在しない説の信奉者が一定数いるそうですが、そのなかの一人にお話を伺うことができました。その方の村では感染者がおらず、イタリアやアメリカから帰国した人もいるが誰も感染していない、自分は感染者を見たことがない、したがってウイルスの存在も世界的流行もフェイクだそうです。

肉眼で見えるウイルスとか出現したら、それはそれで気味が悪いですね!

【検疫措置】

8月1日から検疫措置の仕組みが変更され、「緑・黄・橙・赤」の4段階で取り組むことになりました。緑から赤へ段階が上がるごとに、指定された対応が求められます。指定はデータに応じて定期的に見直されます。リヴィウ市は危険度二番目の橙に指定されずっとそのままですが、市としてはすでに対策をしているのでこれ以上は何もしないとのことでした。

「赤」に入ったところでは、しばしば大きな反感が生じているようです。最初に赤くされたテルノーピリ市とルーツィク市は、「赤」で求められる対策(例えば交通機関の停止)を拒否すると発表しました。その後も、「赤」に指定される自治体がしばしば対策の拒否を発表しています(対策を強化した自治体もあります)。差別であるとか、政治的陰謀であるとか、基準がおかしい、といったことを批判しています。

おもしろかったのは(語弊がありますが)最初に拒否したテルノーピリ市で、市長が対策強化拒否の説明のなかで、「このような都市封鎖はタタール時代のことではなかろうか」(«Така блoкада міста була хіба за часів татар.»)と喩えました。

1540年に初めて史料にその名が登場テルノーピリは、王冠領大将軍、クラクフ城代、クラクフ守護のヤン・アモル・タルノフスキ(Jan Amor Tarnowski, 1488–1561)によってクリミア汗国やオスマン帝国の侵略からの防衛拠点として建設されました。秀でた軍略家であったタルノフスキは、1548年、騎馬によって攻め来る敵軍の通行を阻害するため、セレート川を堰き止めて人造湖を作り出した。これがテルノーピリ人造湖で、その畔には今日もタルノフスキの居城が立っています。

市長の発言はこうした町の歴史を踏まえたものであると思われ、そういう意味ではなかなか含蓄があるのですが、ロシアの侵略によるクリミア併合後、ウクライナ国民であるクリミア・タタール人が国内難民としてウクライナ各地に避難しているのが現状です。リヴィウ市にもそうした避難民がいるので、恐らく隣のテルノーピリ市にもいるのではないかと思います。そうした人は、市長の発言をどう感じたでしょうか。歴史上、ウクライナとクリミア汗国は敵対したり協力したりする難しい関係にありましたが、現在ではともに共通の敵に立ち向かっているはずなのですが……。

いずれにせよ、テルノーピリ州ではその後州知事も感染するなど感染拡大は深刻なので、これは全国的にも言えることですが、検疫措置への取り組み方をいささか見直しても罰は当たらないのではないかと思います。経済への悪影響が懸念されているのですが、実は感染拡大に一役買って経済へ打撃を与えているのは、マスクをせず公共交通機関を利用し、密集し大声で唾を飛ばして話し、やたらにパーティーをし、すっかりバカンス気分になって深夜に花火を打ち上げ朝から翌明け方まで阿鼻叫喚のお祭り騒ぎを繰り広げているその辺の人たちなのではないかな、と思った夏休みでした。

【外国人の入国禁止】

8月末になって降って湧いた話なのですが、8月29日から原則として外国人の入国が禁止されることになりました、と発表されたあと、28日から前倒しで禁止になりました。建前では感染症拡大阻止のためとなっていますが、実際にはユダヤ教の新年(ローシュ・ハッシャーナー)の期間にウクライナのウーマニにあるユダヤ教の聖地へ巡礼に訪れるユダヤ教徒の入国を阻止するための措置のようです。イスラエル政府から、自国民の巡礼阻止についての要請があったそうです。感染拡大がひどいウクライナからウイルスを持って帰ることを懸念してのことでしょう。

ウーマニ市は、ハシディズムの一派の開祖ラビ・ナフマン(Нахман із Брацлава, 1772–1810)終焉の地です。その墓所へお参りするため、毎年大勢の信徒が定期便のみならず専用のチャーター便まで使ってこの人口8万3千人ほどの小都市へ押し寄せます。

外国人の入国禁止は30日間とのことです。当初は2日間以内の乗り継ぎの人や短期留学の人も入国が許可されることになっていましたが、そうした目的と偽って入国しウーマニへ行ってしまった人が現れたらしく、すぐに入国禁止されました。そのため、目下入国可能なのは外交官や長期滞在の資格のある人(長期留学含む)、難民など、一部の人に限られます(但しベラルーシ国民は特例で受け入れ)。突然こういうことが起こると、ウクライナの国際的信用が落ちるという批判も出ていましたが、実際、困った人もいることでしょう。もし今年、例年通り本学から短期留学の学生が来ることになっていたら、大変なところでした。

イスラエル政府は自国民にウクライナ渡航を禁ずる力はないが、ウクライナ政府に全世界のあらゆる国民の入国を禁止させる力はあるんですね。

【参考リンク】

リンクは2020年8月31日現在有効。

検疫措置の規則変更(1日00:15付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/1/7261440/

リヴィウ州3地区とリヴィウ市、橙に(1日11:27付報道)
https://galinfo.com.ua/news/try_rayony_oblasti_ta_misto_lviv__u_pomarancheviy_zoni_poshyrennya_koronavirusu_348060.html

リャシュコー保健省副大臣、ルーツィクが赤でキーウとリヴィウが緑の理由を説明(1日12:55付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/1/7261484/

ルーツィク、検疫措置強化を拒否(1日14:18付報道)
https://sos.pravda.com.ua/news/2020/08/1/7151355/

テルノーピリ、検疫措置強化せず(1日15:54付報道)
https://sos.pravda.com.ua/news/2020/08/1/7151356/

保健省、色分け区分に政治的意図なし(1日16:23付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/1/7261499/

リャシュコー副大臣、ウクライナは感染者数世界第34位(1日18:18付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/1/7261507/

テルノーピリ市長、交通機関停止について政府へ:「君たちは君主になることにしたのか? 君たちは、下僕だ」(3日10:10付報道)※与党政党の名称は「人民の下僕」。
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/3/7261608/

テルノーピリは「赤」じゃない」:市民、検疫措置に反対(3日10:53付報道)
https://galinfo.com.ua/news/ternopil_chervonyy_tilky_na_dumku_kyieva_mistyany_proty_obmezhen_348126.html

「暴動を起こした」:禁止に違反し乗客がテルノーピリで列車を停車させる(3日付報道)
https://www.bbc.com/ukrainian/news-53636440

テルノーピリ、厳格な検疫措置を拒否:「こんな封鎖はタタール時代以来」(3日13:20付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/3/7261632/

「橙」のリヴィウ、追加措置は講ぜず(4日12:37付報道)
https://sos.pravda.com.ua/news/2020/08/4/7151385/

テルノーピリ市長、赤になったのは3倍の人数を検査したため(4日18:07付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/4/7261796/

首相、9月1日より「通常の」学年開始(9日13:59付報道)
https://galinfo.com.ua/news/z_1_veresnya_v_ukraini_pochnetsya_normalnyy_navchalnyy_rik__shmygal_348506.html

内閣、色分け基準を変更(12日14:22付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/12/7262663/

シュメィハーリ首相、西ウクライナにおける爆発的感染拡大の原因を説明:結婚式と宗教儀礼(17日14:31付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/17/7263200/

ウージュホロド、検疫措置強化(17日16:57付報道)
https://sos.pravda.com.ua/news/2020/08/17/7151547/

サドヴィーイ・リヴィウ市長、遠隔授業を信頼せず(18日14:34付報道)
https://galinfo.com.ua/news/sadovyy_ya_ne_viryu_v_dystantsiyne_navchannya_349049.html

ウクライナ、新規感染者数世界第15位(20日03:07付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/20/7263550/

ゼレーンシケィイ大統領の息子、コロナウイルスから回復(21日11:28日付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/21/7263724/

カテレィーナ・ホロシュチャーク「保健省、重症患者のみ入院させる方針」(21日論説)
https://life.pravda.com.ua/health/2020/08/21/242043/

大統領夫人、コロナウイルス闘病について語る(21日17:41付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/21/7263787/

ゼレーンシケィイ大統領、ウクライナのコロナウイルス第一波は始まったばかり(22日13:52付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/22/7263878/

テルノーピリ州知事、新型コロナウイルス感染症に罹患(22日15:15付報道)
https://sos.pravda.com.ua/news/2020/08/22/7151617/

ティモシェーンコ元首相、新型コロナウイルス感染症に感染、重症(23日13:25付報道)
https://www.ukrinform.ua/rubric-polytics/3086227-timosenko-zahvorila-na-covid19-stan-ocinuetsa-ak-vazkij.html

「コロナウイルスは冗談ではない、すぐ隣りにいる」フレーイムト氏新型コロナウイルス感染症に感染(23日16:04付報道)
https://tabloid.pravda.com.ua/focus/5f4269481853e/

ティモシェーンコ氏「“存在しないウイルス”はやはりいる」(24日09:24付報道)
https://tabloid.pravda.com.ua/person/5f435944a9542/

チェルニウツィー、「赤」認定に抗議(25日11:13付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/25/7264064/

政府、検疫措置を2ヶ月延長:10月31日まで(26日14:01付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/26/7264247/

ウクライナ、29日から外国人の入国を禁止(26日報道)
https://www.avianews.com/ukraine/2020/08/26/ukraine_to_prohibit_foreigner_entrance_from_28august/

イスラエル政府、シュメィハーリ首相に巡礼者のウーマニ行き阻止を要請(28日15:24付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/28/7264514/

ウクライナ入国可能者について(27日報道)
https://www.bbc.com/ukrainian/news-53929727

ウクライナ、感染者数世界第26位(29日03:33付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/29/7264563/

またも新規感染者数最高値を更新(29日08:44付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/08/29/7264569/

7月 活動日誌

2020年7月31日
GJOコーディネーター 原 真咲

【今月のリヴィウ大学と教育関係】

リヴィウ大学は今月初頭までオンラインで実習科目が行われ、その後夏休みに入りました。新型コロナウイルス感染症対策のため大学施設は引き続き閉鎖中です。

なお、先月任命された教育大臣代行の学位請求論文盗作疑惑ですが、ご自身がこの問題追及を指揮するとともに、共同研究であったので問題ないとするコメントを発表しました。前回の報告の時点ではまだ問題指摘の情報しかありませんでしたので、今月になって出された反論についても平等性確保のため記載しておきます。

【検疫措置】

今のところ、今年のウクライナの夏はあまり暑くないようです(日本人の感覚)。ですが、天気がよいとそのあと突然の滝のような大雨となる、最近の日本のような気候にウクライナもなってしまいました。地元の人の話では、以前はこんなではなかったそうです。山岳部では大洪水も起こりました。

さて、リヴィウはすっかりバカンス気分のようです。昼間は外で激しく音楽を鳴らし、夜は明け方まで大騒ぎをしています。いつもどおりの夏休みで、そうかやはり新型コロナウイルスなんて都市伝説だったんだ! と、蒙に閉ざされた目を開かされます。

ウクライナでは新型コロナウイルスの存在を否定している人が一定数いるとのことですが、それはともかく、政府の感染拡大防止策への市民の協力は極めて消極的になっております。政府の政策や自治体の対応への支持・不支持はあるとは存じますが、大統領閣下以下、国や自治体の偉い人たちが毎日のように協力をお願いしているのだから、もう少し協力してあげようという気になりそうなものを、どうも彼らが気の毒な気持ちになってきました。政府・自治体にも改善点はあるかもしれませんが、政府の対策チームは医師が率いており、諸外国と比較してもそれほど違和感はないように思います。

今月もリヴィウ州は首都キーウ(キエフ)市と感染者数全国トップの座を巡って抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げました。7月の感染者数(7月31日の感染者数から6月30日の感染者数を引いた数)は、全国25550人(内リヴィウ州4091人)で、1日あたり平均約824人(約132人)の感染者が出たことになります(ウクライナ国家統計庁のデータによると、2020年6月1日現在ウクライナの全国人口は4178万5758人、リヴィウ州は250万6733人)。実際の感染者数はずっと多いという意見があります。

一方、感染拡大防止のための検疫措置はどんどん緩和され、現時点でほぼなきに等しいものになったように感じられます(感じ方には個人差があります)。緩和する場合には必ずマスク着用・距離確保・密閉回避が条件として付けられていますが、これはどうも緩和という目的を達成するための《免罪符》であるように思われてなりません(思われ方には個人差があります)。政府や自治体が仮に真面目にそれを要求していたとしても、実際に守っている人・店舗・施設はどのくらいあるでしょうか。立ち入り検査では、多数の違反が指摘されています。

マスクをしている人が外出者の1割未満であることが、すべてを物語っているような気がします。ほかにも、例えば日本では一見密閉空間に見える映画館や交通機関(例えば路線バス)で如何に換気が行われるか実証試験が行われており、その様子が映像や写真で公開されています。ウクライナでも映画館や劇場、交通機関は営業が再開していますが、そのような検証が行われているという情報には接しておりません。非公開で検証しているのでしょうか。検証が公開されればそれ相応の説得力がありますが、非公開ですとそれ相応の説得力しかありません。

昨年の選挙の際、リヴィウ州は現政権を支持しなかった州として知られていますが、政府の対策は非常に軽視されています。政党支持・政治信条と検疫措置への向き合い方の関連性は、例えば米国では調査されているそうですが、ウクライナでも同様の調査には学術的価値があるでしょう。また、男性より女性の方が対策に協力的であるという報告もヨーロッパでは出されていますが、これについてもウクライナで調査をすべきでしょう。ある家族を見かけましたが、お母さんと小さい女の子はマスクをしていて、お父さんと男の子はしていませんでした。年齢差、地域差も気になります。研究者やジャーナリスト等は、研究のための《千載一遇のチャンス》を逃すべきではないでしょう。しかし、どうもウクライナではいろいろな調査はあまり活発ではないようです(予算・研究費がないせいでしょうか)。尤も、マスクをしている人の数が少なすぎて、あまり有意な調査結果が得られないかもしれませんが……。

もう一つ、ウクライナ人のメンタリティーで興味深いのは、SNSにおける「自分の見せ方」です。日本では、芸能人は感染拡大防止に如何に自分が真面目に取り組んでいるか、例えばマスクをしている写真を載せたり、外出せずに自宅で何をしているか動画を投稿したりしています。首相もそういう趣旨の投稿をしていました。自分の社会的立場・影響力について彼らがどのような考え方をしているか、窺い知ることができます。それに対し、ウクライナの芸能人は如何に自分が楽しくヨーロッパや南の島のリゾートでバカンスを楽しんでいるかの写真を投稿することが多いように見受けられます。もちろん、浜辺で裸にマスク、の写真ではありません。マスク写真を投稿している人もいますが、少数派であるように思います(統計をとったわけではなく、飽くまで個人の印象です)。新型コロナウイルス感染症の話題はないものとしている人が少なくないようです。よい悪いについて言うつもりはないのですが、メンタリティーというか、価値観というか、何かだいぶ違うなという印象を受けます。

市民に検疫措置の遵守を求めている政治家・自治体ですが、こちらは少々問題で、例えば、公開されている国会審議の様子を見ますと、あの密閉空間でマスクをしていない人が結構います。州議会の様子を見ても、発言を聞いている人たちがマスクをしていて、発言者がマスクをしていない、などという写真が普通に州議会のホームページで公開されていました。これでは国民の手本にならないでしょう。まあ、民主主義なので、議員が国民の手本なのではなく、国民が議員の手本なのかもしれませんが。

検疫措置では店舗の閉鎖や交通機関利用禁止など非常に不便がありましたし、また経済的な問題から、検疫措置を緩和すべきだという意見があるのはもっともなのですが、緩和できるよう市民が感染防止策に協力する、という発想はあまりないようです。

一方で、病院では、同僚の医師たちが感染を恐れて休職・離職するなか(実際、多くの医師が感染し、殉職者も出ています)、一人で全患者を引き受けて診察している医師もいます。

ところで、検疫措置緩和なのですが、リヴィウ州ではずっと緩和基準を満たすことができない状況が続いていました。それが、6日にようやくゴーサインが出され、可及的速やかに緩和が実施されました。が、緩和実施日にはもう基準オーバーになって緩和できない状態になりました。皮肉なことに、ニュースサイトで「リヴィウ州緩和実施」の見出しと「リヴィウ州緩和基準満たさず」の見出しが上下に並んでいたのを覚えています。素人考えで不思議に感じるのですが、緩和は10日間のデータを基に、1日でも基準を満たすことができれば翌日には実施されます。翌日、状況が元の緩和できなかった頃と同様に悪化しても、緩和実施は変更されません。その後、状況が悪いまま続いても、一度緩和された措置は元に戻されることはありません。緩和措置は、まるでウイルスのすきを突くように今だっとばかりに行うものなのですね!(感じ方には個人差があります)。

なお、検疫措置は8月31日まで延長となりました。政府は少なくとも秋まで事態は収まらないと考えているようですが、大統領の意見で、1ヶ月以上の延長は避けるべきだとの考えのようです(日本もたいてい長くても1ヶ月単位での延長ですね)。また、8月1日から検疫措置の仕組みが変更され、「緑・黄・橙・赤」の4段階で取り組むことになりました。緑から赤へ段階が上がるごとに、指定された対応が求められます。リヴィウ市は危険度二番目の橙に指定されました。ですが、市としては特に何もしないとのことです。

【参考リンク】

●大学・入試・教育関連

首相、シュカールレト教育相代行自ら盗作疑惑の情報を追及(3日12:24付報道)
https://www.unian.ua/politics/shkarlet-prem-yer-vislovivsya-pro-plagiat-u-naukovih-robotah-shkarleta-novini-ukrajina-11060789.html

シュカールレト教育相代行、論文盗作を説明(4日12:22付報道)
https://www.unian.ua/politics/shkarlet-skandalniy-shkarlet-poyasniv-plagiat-u-svojih-naukovih-robotah-novini-ukrajina-11062028.html

シュメィハーリ首相「大学は新年度の教育課程をいつどのような形式で開始するか、各々決めてよい」(30日19:40付告知)
https://www.kmu.gov.ua/news/denis-shmigal-universiteti-mozhut-sami-viznachati-koli-i-v-yakij-formi-yim-pochinati-osvitnij-proces-u-novomu-navchalnomu-roci

ナターリヤ・ブシュコーウシカ「9月1日から勉強はどうなるか。教育相の推奨」(30日付論説)
https://life.pravda.com.ua/health/2020/07/30/241802/

●新型コロナウイルス全般

検疫措置について
https://covid19.gov.ua/karantynni-zakhody

検疫措置の緩和条件について(5月14日10:00付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/05/14/7251572/

8月1日から諸外国に関する赤・緑の基準を変更(29日09:54付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/07/29/7261057/

検疫措置の新たな4段階区分について(31日19:43付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/07/31/7261414/

●新型コロナウイルス関連ニュース

内閣、公共の場におけるマスク非着用に罰金を主導(1日13:58付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/07/1/7257771/

保健相、マスク非着用者に提案される罰金について説明(2日09:36付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/07/2/7257864/

リヴィウ州、感染者数トップを独走(3日09:16付報道)
https://sos.pravda.com.ua/news/2020/07/3/7150978/

リヴィウ市の医療機関の病床ほぼ95%埋まる(3日18:07付報道)
https://sos.pravda.com.ua/news/2020/07/3/7150988/

保健省、リヴィウ州は検疫措置緩和に該当(6日11:54付報道)
https://galinfo.com.ua/news/moz_lvivska_oblast_gotova_do_poslablennya_karantynu_346613.html

リヴィウ州、検疫措置を緩和、ホテル、レストラン、スポーツセンター開業へ(6日18:58付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/07/6/7258384/

リヴィウ州、検疫措置を若干緩和、その内容(7日08:44付報道)
https://galinfo.com.ua/news/na_lvivshchyni_trohy_poslabyly_karantyn_shcho_dozvolyly_346662.html

新型コロナウイルス感染症、リヴィウ州新規感染者144人(7日09:01付報道)
https://galinfo.com.ua/news/covid19_na_lvivshchyni_pidtverdyly_shche_144_vypadky_zahvoryuvannya_346663.html

リヴィウ州、再び検疫措置緩和不可(8日11:46付報道)
https://sos.pravda.com.ua/news/2020/07/8/7151046/

リヴィウ市、一連の施設今日から営業再開(8日10:58付報道)
https://galinfo.com.ua/news/sogodni_u_lvovi_nyzka_zakladiv_vidnovlyuie_robotu_u_povnomu_obsyazi_346737.html

ウクライナ人はコロナウイルスに関する公式情報を信用せず(14日13:32付報道)
https://gazeta.ua/articles/life/_ukrayinci-ne-viryat-oficijnij-informaciyi-pro-koronavirus/974456

У Львові відкриються дитсадки та готелі(14日19:15付報道)
https://sos.pravda.com.ua/news/2020/07/14/7151133/

ナターリヤ・ブシュコーウシカ「37.2度以上で登校不可、保健省、教育機関の再開条件を発表」(15日付論説)
https://life.pravda.com.ua/health/2020/07/15/241641/

テテャーナ・プリャーツォク「新型コロナウイルス感染症に二度罹ったリヴィウ市民」(16日06:00付記事)
https://sos.pravda.com.ua/articles/2020/07/16/7151152/

リヴィウ空港、コロナウイルス検査所を開設(16日付報道)
https://www.avianews.com/ukraine/2020/07/16/airport_lviv_launched_covid19_testing/

ゼレーンシケィイ大統領、検疫措置の長期的延長の回避を要請、「みんなもう疲れた」(16日13:09付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/07/16/7259584/

リヴィウ州、197人の感染者(16日09:01付報道)
https://galinfo.com.ua/news/covid19_na_lvivshchyni_dodalos_shche_197_hvoryh_347175.html

リヴィウ市、すべての文化施設が営業再開へ(17日17:21付報道)
https://galinfo.com.ua/news/u_lvovi_vidnovlyuyut_robotu_vsi_zaklady_kultury_347302.html

政府、検疫措置を夏の終りまで延長(22日14:14付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/07/22/7260285/

リヴィウ市、大規模イベントを許可(22日11:32付報道)
https://sos.pravda.com.ua/news/2020/07/22/7151225/

内閣、検疫措置各段階での禁止事項を公表(25日11:19付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/07/25/7260661/

保健省、PCR法の陰性判定の大半が誤判定の可能性(26日15:30付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/07/26/7260737/

ウクライナにおける新型コロナウイルス感染症、1ヶ月で3倍に(29日13:37付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/07/29/7261099/

6月 活動日誌

2020年6月30日
GJOコーディネーター 原 真咲

【今月のリヴィウ大学と教育関係】

新型コロナウイルス対策のため、今月も引き続き閉鎖中です。9月に新学年の始まるウクライナでは、卒業試験・学年末試験は6月に行われます。今年は、大学施設が閉鎖されているため、試験もオンラインで行われました。月末から来月始めにかけて実習科目があり、その後、実質的に夏休みとなります。そのため、大学施設は夏中閉鎖が続けられるでしょう。

大学関連で言うと、今月26日から来月にかけて、学校(小中高相当)の卒業試験と大学入試を兼ねた「外部独立評価」(Зовнішнє незалежне оцінювання, ЗНО)が、当初の計画より約1ヶ月遅れで実施されました。これは、かつては大学ごと実施されていた主に口頭試問の入試が、ソ連時代からの伝統である不公平な評価や賄賂(裏口入学)等の不正の温床となりがちであったため、それに代わるものとして導入された全国共通のセンター試験のようなもので、ユーシチェンコ政権時代に本格的に導入されました。この試験によって学校の卒業が認可されると同時に、点数に応じて大学の奨学金(学費免除)の対象者が決まります。大学受験者は、この試験の結果が出たあと(今年の場合は8月1日以降)、志望大学に出願します。

さて、受験生にとっては極めて重要な試験なのですが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で日程がなかなか決まらず、あまつさえ、実施されないのではないかという声が最後まで聞かれました。今月15日に実施が予定された模試は、13日になって急遽中止が発表されました。大勢が室内に集まる状況は危険だからです。かねてより現政権ではこの試験制度を廃止して再び元の大学ごとの方式に戻そうと考えていると思われているため、この機会に廃止されるのではないかと、本試験の数日前まで不安視される事態が続きました(そのため政府は、実施は不可欠と繰り返し宣言)。結局、受験生や試験監督の先生たちの健康検査やマスク着用などの対策を行って、試験が開始されました。

さて、今月でウクライナの現政権が発足して1周年となりましたが、実はまだ教育大臣が決まっていません。先程、ようやく教育大臣代行が任命されました。大学の監督省庁ですので関係があると思います。ところが、教育関係者とマスコミとで大きな批判が起こっています。まず、彼がヤヌコーヴィチ政権の支持者であったことが批判されています(その後離党)。また、彼の学位論文は完全な盗作(他人の論文の丸々コピペ)であるとも指摘されています(本人は剽窃を否定)。そのため、任命責任者である首相は正当性を説明したのですが、それによると、「よくて明るいビジョンがあり、マネージャー経験があることが任命理由だそうです。素晴らしい経営手腕について言えば経済関係のポストの方がもっと国に貢献できるのではないかという気もしないでもないですが、ここはぜひ素晴らしい経営手腕によって、なぜか最低賃金に甘んじるのが当然とされている大学教職員の劇的な待遇改善が実現するとよいですね!

【検疫措置】

新型コロナウイルスの流行拡大阻止策として検疫措置が継続していますが、全国的に爆発的に感染が広まりました。6月半ばから急速な増加が見られ、25日には現時点で最大の1日1109名の新規感染者が判明しました。なかでも、リヴィウ州(なかでもリヴィウ市)は全国一の感染拡大を記録しました。30日までに5435名の感染者が確認されており、人口の多い首都キーウを抜いて全国最多となっております。

全国的に、検疫措置は7月末日まで延長されました。

ところで、全国的な感染拡大の一方で、全国的に検疫措置の段階的な緩和が行われています。緩和の可否を決めるための基準値が設定されているのですが、毎日のように「リヴィウ州は緩和基準を満たしていない」と報道されており、緩和は何度も延期されています。「緩和基準を満たした」という報道は今月一度も目にしておりません。一方、それと同時に、スポーツクラブや飲食店が営業再開許可されたとか、交通機関が運行再開したとか、検疫措置の緩和と思われる措置の実施が報じられています。どういう仕組みなのでしょうか。不思議ですね。4月など、今よりずっとマシな状況であった時期には全部ストップして閉鎖したのですが、何倍も患者数の増加した今は営業再開できるのですね。

国民が感染拡大防止策を拒否したので、政府も民意を汲んだのでは? と思ったりしたのですが、のちに首相が説明したところによると、そうではないそうです。首相によれば、すでにウクライナは新型コロナウイルス感染症対策が整っており、国民のあいだにパニックも起こらないので、4月とは状況が違うのだそうです。確かにそうなのかもしれません。ただ、リヴィウ州の病床はすでに95%が埋まっていると報じられています。

感染の爆発的拡大の原因は、人々が検疫措置の規則を無視しているからで、特に、マスク乃至フェイスガードの非着用、公共交通機関車内の違反、密集が深刻であるとだと政府は指摘しています。所用で外出しますと(あまりしたくないのですが)、道行く人の8~9割がマスクの着用を中止し、自主的に検疫措置を終了しているのが伺えます。日によっては、1人しかマスクをしている人を見なかった日もありました。そうなると、どうしてその人はしているのか、聞いてみたくなりますね。

検疫措置に対する意識の高い人はそもそも滅多に外出しないので遭遇率が低く、大した用もなく密集隊形でぶらついている人たちはそもそもそういう人たちなので、総じて街角のマスク着用率が下がっているということもあるかと思いますが、政府の指摘は正しいと思われます。ぎゅうぎゅう詰めの路面電車の車窓にマスクを外している人達の姿も散見されます。

ところで、こうしたなか、大統領も喫茶店でマスクを外して飲食していた咎で送検され、同席者とともに多額の罰金を課せられたという報道がありました。マスクをしてどうやって飲食するのか、さすがの大統領もわからなかったようです。その2日後には、大統領夫人が新型コロナウイルスに感染したという報道がありました(30日付報道では、回復過程にあるとのことです)。マスクをしていれば感染せず、していなければ絶対感染するというわけでもないとは思うのですが、やはり気を付けた方がよいのではないでしょうか。

【交通機関の運行状況と入国制限の緩和について】

リヴィウ空港では、16日から運航再開予定であった航空便は感染状況悪化のため運航許可が出ず、遅れて20日から運航を再開しました。リヴィウ州内は運休または通過となっていた鉄道も、普通列車は25日から、優等列車は26日から運行再開しました。バスも運行しています。市内交通も、許可証なしで普通に乗車できるようになりました。

ただ、本数は少なくて利用法は限られます。特に普通列車のダイヤは、リヴィウから乗るのですと、夕方近郊の市町村に向かう列車で出発し、どこかの村で徹夜パーティーをやって、翌明け方のリヴィウ行き列車で帰る、というスケジュールにぴったりです。

なお、このような状況ですが、ウクライナ政府の定めた基準を満たした諸外国からの入国者は、新型コロナウイルス対応の健康保険を携行することなどを条件に、入国が認められるようになりました。日本は、発表時点で入国可能国に含まれています。特に重要な用がなければ、今は来訪はおすすめしません。渡航の必要がある方は、日本の外務省の注意情報なども参考に、今後の経過をよくよく見て下さい。

【参考リンク】

●大学・入試・教育関連

政府、模試を中止(13日10:34付報道)
https://www.ukrinform.ua/rubric-society/3044714-urad-skasuvav-probne-zno-stepanov.html

シュメィハーリ首相、外部独立評価は中止せず(16日20:33付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/06/16/7255956/

セルヒーイ・シュカルレート著「学術論文」ほほいのほいでできた!(4日付記事)
http://false-science.ucoz.ua/news/naukova_stattja_sergija_shkarleta_tjap_ljap_i_gotovo/2020-06-04-87

ヤヌコーヴィチ支持者、教育省長官に(25日14:52付報道)
https://gazeta.ua/articles/politics/_prihilnika-anukovicha-zrobili-kerivnikom-mon/971740

カテレィーナ・ホロシュチャーク「剽窃者にして国庫で買う高級車の愛好者シュカルレート、教育科学大臣代行に」(25日付論説)
https://life.pravda.com.ua/society/2020/06/25/241372/

シュメィハーリ首相、シュカルレート任命理由とキーウ地下鉄運休の有無を語る(26日付報道)
https://www.bbc.com/ukrainian/news-53198243?at_custom1=%5bpost%20type%5d&at_custom4=53098A12-B7D1-11EA-9369-66B8FCA12A29&at_custom2=facebook_page&at_medium=custom7&at_custom3=BBC%20News%20Ukraine&at_campaign=64&fbclid=IwAR1oqRBsmNwivatURvs281s-gcwzmQyqFOztKMT0mGzkIbz6AOtwnxNiDPI

●新型コロナウイルス関連

リヴィウ州、再び検疫措置を延長。新規感染者多数(5日15:29付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/06/5/7254656/

ゼレーンシケィイと仲間たち、フメリネィーツィケィイ市でコーヒーを飲んで送検(10日13:59付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/06/10/7255142/

ウクライナ大統領夫人、コロナウイルス検出(12日14:02付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/06/12/7255444/

リヴィウ州、検疫措置をさらに1週間延長(13日10:45付報道)
https://galinfo.com.ua/news/na_lvivshchyni_karantyn_prodovzhyly_shche_na_tyzhden_345395.html

外国人のウクライナ入国には保険が必要(13日11:36付報道)
https://www.ukrinform.ua/rubric-society/3044741-inozemci-zmozut-vihati-v-ukrainu-lise-z-polisom-strahuvanna-stepanov.html

ウィンドローズ航空、リヴィウ就航を延期(15日付報道)
http://www.wing.com.ua/content/view/25931/37/

キーウ空港とリヴィウ空港、検疫措置のため国際便運航再開せず(16日付報道)
https://www.avianews.com/ukraine/2020/06/16/airports_kiev_and_lviv_not_open_for_international_flights/

ステパーノウ保健相、新型コロナウイルス感染症増加の原因を説明(16日12:34付報道)
https://galinfo.com.ua/news/stepanov_nazvav_prychyny_zrostannya_novyh_vypadkiv_covid19_345535.html

検疫措置7月末まで延長(17日15:20付報道)
https://galinfo.com.ua/news/karantyn_v_ukraini_prodovzhyly_do_kintsya_lypnya_345618.html

リヴィウ州、さらに171件の新型コロナウイルス感染症を確認(18日09:01付報道)
https://galinfo.com.ua/news/shche_177_vypadkiv_covid19_pidtverdyly_na_lvivshchyni_345638.html

フメリネィーツィケィイ市のコーヒーに対するゼレーンシケィイへの罰金について、最高裁へ(19日12:06付報道)
https://zik.ua/news/ludyna/shtraf_zelenskomu_za_kavu_u_khmelnytskomu_spravu_peredaly_do_verkhovnoho_sudu_972182

カテレィーナ・レシュチューク「コロナウイルスがないかのように暮らすウクライナ人。なぜ新型コロナウイルス感染症は一層恐ろしいか」(22日05:30付論説)
https://www.pravda.com.ua/articles/2020/06/22/7256552/

リヴィウ州、検疫措置をさらに延長、但し交通機関は運行再開(22日19:07付報道)
http://tvoemisto.tv/news/karantyn_na_lvivshchyni_vkotre_prodovzhyly_ale_dozvolyly_robotu_transportu_110703.html

リヴィウ州、7月31日まで検疫措置延長。してよいこととダメなこと(23日11:55付報道)
https://galinfo.com.ua/news/na_lvivshchyni_karantyn_prodovzhyly_do_31_lypnya_dozvoly_ta_zaborony_cherez_covid19_345931.html

リヴィウ市、喫茶店、レストラン、スポーツクラブを再開(24日15:01付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/06/24/7256965/

ウクライナ鉄道、6月25日からリヴィウ州で近郊列車の運行再開(24日13:02付報道)
http://railway.lviv.ua/info/press-center/news/article/2020/june/2098/

ウクライナ鉄道、6月26日からリヴィウとの運行を再開(24日付報道)
https://uz.gov.ua/press_center/up_to_date_topic/520856/

ほぼ1000人の感染者。感染者数の推移グラフ(25日08:56付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/06/25/7257052/

罰金を増額、交通機関は問題。ゼレーンシケィイに新型コロナウイルス感染症の状況を説明(25日14:03付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/06/25/7257122/

ナターリヤ・ブシュコーウシカ「リヴィウでコロナウイルスに何が起こっているか? 保健省が答えるべき問題」(25日付論説)
https://life.pravda.com.ua/health/2020/06/25/241471/

リヴィウ市とリヴィウ州、ほぼ5200人の新型コロナウイルス感染症患者、うち137人は重篤(28日10:36付報道)
https://galinfo.com.ua/news/u_lvovi_ta_na_lvivshchyni_mayzhe_52_tys_infikrvanyh_covid19_137__letalni_346208.html

シュメィハーリ首相、なぜウクライナは厳しい検疫措置に戻らないか説明(30日11:38付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/06/30/7257599/

リヴィウ州、10日連続でコロナウイルス患者数トップ(30日12:51付報道)
https://galinfo.com.ua/news/lvivshchyna_desyatyy_den_lidyruie_za_kilkistyu_hvoryh_na_koronavirus__shmygal_346292.html

リヴィウ州、7月7日まで検疫措置を延長、状況は深刻化(30日19:08付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/06/30/7257678/

●ウクライナへ渡航可能な国について

世界のコロナウイルス。ウクライナ、安全な国のリストを作成(15日15:35付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/06/15/7255756/

人口10万人当たりの新型コロナウイルス感染症患者数の情報、6月14日時点(政府発表)
http://beta.moz.gov.ua/uploads/ckeditor/Інформація_по_активних_на_100_тис._на_14_червня.pdf

5月 活動日誌

2020年5月31日
GJOコーディネーター 原 真咲

【大学の様子】

リヴィウ大学は、5月現在も引き続き閉鎖中です。試験や教授会等も、原則として遠隔で実施されています。事務関係等、一部の必要な業務は職員が決められた日時に出勤して行われている模様です。

授業期間はすでに終わり、6月に「実習」と呼ばれる科目(6月後半に授業、9月に課題提出)が遠隔で行われたのち、実質的に夏休みとなります。したがって、特に大学を今開く必要性は低いので、6月以降も当面、このまま閉鎖が継続されるものと推測されます。

9月からの新年度の授業については、まだ教育省から正式な通達もなく、不透明な状況のままです。ただ、大人数の授業については遠隔での実施が決定しています。それ以外の授業については未定です。また、留学生受け入れの可否も、現在教育省が検討中で、リヴィウ大学も国の決定に従って方針を決めることになっています。

【新緑のリヴィウ】

5月はライラックの季節です。街角や家々の庭先で、紫丁香花(ムラサキハシドイ)の和名の通り、薄紫色の花を咲かせています。先月末頃からひと月ほど目を楽しませくれました。

リヴィウ市では、一戸建ての家よりも集合住宅に住んでいる人の方が多いように思われます。そうなりますと個人の庭がないことが多いのですが、人々は家の前の歩道の植え込みなど近所の土のあるところに花壇を作って楽しんでいるようです。今の季節は、アヤメ(ジャーマンアイリス)やスズランが人気のようです。シダを植えているところもありました。

木立のあるところでは、鳥たちが集まってきます。求愛の時期らしく、毎日クロウタドリが張りがあってよく通る歌声を聞かせてくれます。ツグミの仲間で、ヒヨドリぐらいの大きさです。公園の樹の下では、くちばしと目の周りが黄色く全身が真っ黒なオスが、灰色がかった羽色のメスをちょんちょんと追いかけています。

オオガラス、ニシコクマルガラス、ミヤマガラス、カササギやイエスズメ、コキジバト、カワラバトなどは1年中いますが、冬の羽根もみすぼらしくいかにも元気のない姿とは見違えます。こちらのカラスたちは静かです。タンポポの綿毛の残る草叢では、まだ小さい雀の子が遊んでいます。シジュウカラの仲間やメジロ(もしくはウグイス)の仲間も綺麗な歌声を聞かせてくれます。

モリバトの姿も見られます。ウクライナでは近年留鳥となったとされますが、リヴィウでは冬は見ない気がします。ほっそりとした体格のやや大型のハトで、頭部が青磁色をしていて首に白い模様があり、どことなくほかの街角のハトたちと違うのがわかります。

夕方になると巣に帰るらしいツバメが賑やかに飛び回りますが、よく見るとユリカモメも飛んでいます。リヴィウ市にカモメがいることは、どれほど知られたことでしょうか。地上に降りたところは、リヴィウ市内では見たことがありません。

ときどき聞こえる木を叩く音の正体は、なんのキツツキかと思いましたが、アカゲラを見かけました。

ライラック
歌を歌うクロウタドリ
庭に遊びに来たアカゲラ

【検疫措置】

新型コロナウイルスの流行拡大阻止策としての検疫措置は、5月11日までの予定が22日までに、さらに6月22日までに延長されました。同時に、段階的に規制事項が緩和されました。しかし、リヴィウ州は、主にリヴィウ市内の感染者数増加が原因で規制緩和基準を満たせなかったため、緩和はそれぞれ15日および18日、29日に延長されました。その日に実際に緩和基準を満たしたかどうかは存じませんが、いずれにせよ規制は緩和されてレストランや喫茶店(ともに店外のテラス席など、店舗入口で受け渡しするお持ち帰り、配達などのみ)、美容院・床屋やエステ、ショッピングモールなどの営業が再開されました。

おもしろいのは、それらの場所ではマスク着用が義務とされていることで、マスクを着用したまま飲食したり、散髪してマスクが髪の毛だらけになったりしているところを想像すると、いささかシュールな気がします。どういう状況を想定した緩和なのでしょうか。

現実には、リヴィウ市民は4月末から「自主的に」検疫措置を終了している人が多いので、そういうジレンマに陥る人は少数派なのかもしれません。場所や日によりますが、道行く人の約9割は義務であるマスク着用を自主的に中止しています。人とのあいだに距離を保ちましょうというのも、多くの人は気にせず接近してきます。自分は感染しない自信があるのか、自分が他人にうつしても関係ないと考えているのかわかりませんが、気にはなるが対応すべきは政府や他人であり、自分では何もしたくないということなのかもしれません。

リヴィウ州が全国で1日の新規感染者数トップを記録するなどして、検疫措置の緩和基準を満たすことができない状態が続いているのは、特に不思議ではありません。

病院は一般的な診察を行う外科は一部受け付けていますが、専門医は皆休業しているので、何かあると困ることになります。交通機関の停止は、車のない住民にとって問題です。

なお、大学入試はひと月ずらされると発表がありました。

【国際協力】

今月もウクライナの航空機は国際的に活躍しており、特に大型輸送機An-225「ムリーヤ」、An-124「ルスラーン」、An-22「アンテーイ」が中国からウクライナ、アメリカ合衆国、カナダなどへの輸送で活躍しました。なかでも、北米大陸へ医療品を輸送しているAn-225は、中国からアンカレッジ経由でモンレアル(モントリオール)やトロントへ飛行するに際し、テクニカルランディング(給油のための寄港)で中部国際空港(セントレア)へ立ち寄ることがしばしばあるようです。日本の皆さんもお目にかかった人がいるかもしれません。

今月、リヴィウ国際空港ではAn-26による航空郵便がフランクフルト空港へ就航し、これによりウクライナ郵便は「日本への国際郵便がスムーズになる」と発表しています。ウクライナ郵便は検疫措置の下、新しいネットワーク構築を進めているそうです。今のところ日本とウクライナ間の郵便(航空便とEMS)は停止したままですが、今後はキーウ経由でなくフランクフルトからリヴィウへ直接送られるようになるのでしょうか。もしそうなれば、配達日数が短縮されるかもしれません。

【参考リンク】

●新型コロナウイルス関係

散髪店と喫茶店は営業再開へ(3日09:14付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/05/3/7250259/

教育省、大学および専門学校受験期間を1ヶ月後ろ倒し(8日付報道)
https://life.pravda.com.ua/society/2020/05/8/240935/

リヴィウ州政府、感染者数増加との関係で緩和措置なしでの検疫措置継続を義務付け(10日付発表)
https://loda.gov.ua/news?id=51339

閣僚会議、8人での外出と4名までの着席を許可(13日15:28付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/05/13/7251490/

リヴィウ、新たな検疫措置緩和としてショッピングモールと外来診療所の再開を準備(14日13:35付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/05/14/7251622/

リヴィウ州、検疫措置を緩和(15日13:43付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/05/15/7251776/

閣僚会議、適正化検疫措置を6月22日まで延長(20日14:59付報道)
https://www.ukrinform.ua/rubric-society/3029359-kabmin-zaprovadzue-adaptivnij-karantin-do-22-cervna.html

州間旅客輸送は6月1日から、地下鉄は5月25日から運行再開(20日15:50付報道)
https://www.ukrinform.ua/rubric-society/3029438-kriklij-perevezenna-miz-oblastami-ponovlatsa-z-1-cervna-metro-z-25.html

5月22日から検疫措置緩和(20日15:52付報道)
https://galinfo.com.ua/news/z_22_travnya_v_ukraini_poslablyuyut_karantyn_344124.html

リヴィウ州、5月29日まで検疫措置延長(22日15:47付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/05/22/7252783/

●国際協力関係

「ムリーヤ」、中国からカナダへ記録的量の医療品を空輸(2日付報道)
http://www.wing.com.ua/content/view/25420/37/

「アンテーイ」、ウクライナへ医療品を空輸(4日21:01付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/05/4/7250433/

「ムリーヤ」の日本着陸(23日付報道)
http://www.wing.com.ua/content/view/25636/82/

「ムリーヤ」、再びカナダへ医療品を空輸(24日20:39付報道)
https://www.ukrinform.ua/rubric-world/3032028-mria-vdruge-dopravila-partiu-medzasobiv-do-kanadi.html

ウクライナ外務省、NATOの戦略物資輸送の100%を「アントーノウ」社の航空機が実施(25日15:28付報道)
https://www.epravda.com.ua/news/2020/05/25/660931/

COVID-19と戦う「ムリーヤ」と「ルスラーン」たち(27日付報道)
http://www.wing.com.ua/content/view/25683/82/

リヴィウ空港からフランクフルトへ貨物便が就航(28日付報道)
http://www.wing.com.ua/content/view/25705/37/

「ムリーヤ」、三度カナダへ医療品を空輸(31日付報道)
http://www.wing.com.ua/content/view/25738/37/

4月 活動日誌

2020年4月30日
GJOコーディネーター 原 真咲

【春のリヴィウ】

暖かくなり元気になった野鳥がたくさん現れました。渡り鳥のアマツバメが空高く舞っています。翼の形からウクライナ語では「鎌翼鳥」と呼ばれます。木立では、数種のハト、カササギ、サヨナキドリ、ツグミやムクドリ、シジュウカラやウグイスの仲間、種類を知らない鳥たちで賑わっています。ちなみに、ハトの鳴き方も日本と違います。どうも、「オカーサン! オカーサン!」とか「オトーサンガー!」と鳴いているようです。

普段人がいると木の上の方にいてなかなか姿が見えないのが、外出自粛で人が少ないので、下の枝や地面にも降りてくるようになりました。

【リヴィウ大学】

4月4日、尊敬されたリヴィウ大学前学長イワーン・ワカルチューク教授(Іван Вакарчук, 1947–2020)が永眠されました。ワカルチューク先生は、東洋学科に日本語専攻を設置する際にも前向きに取り組んで下さった先生で、本学とリヴィウ大学の協定もその延長線上にあると言えます。ご冥福をお祈り致します。

【検疫措置】

新型コロナウイルスの流行拡大を阻止するための検疫措置(карантин)の期限は、当初予定された4月3日から24日に延長され、さらに5月11日まで再延長されました。

内容も強化されました。1日付で以下の諸条項が定められました(厳密を期すため日本国外務省の翻訳を引用。出典は [https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMail.html?countryCd=0380] 原稿作成日閲覧)。6日から全国で実施されました。

・マスクを着用せずに公共の場所に滞在すること
・2名を超える人数でまとまって移動すること(2名は可。業務上必要な場合,子供への同伴時を除く)
・16歳未満〔※3日付で「14歳未満」に変更〕の子が成人の同伴なしに公共の場所に滞在すること
・公園,広場,休憩所,森林公園,沿岸地区を訪問すること(1人でペットの散歩をする場合,業務上必要な場合を除く)。
・スポーツ広場,子供用広場を訪問すること
・10名を超える人が参加する大規模行事を開催すること(国家機関や地方自治体等の業務に必要な行事を除く)

その後、一部条項が修正され、罰則も定められました(上記リンク先に記載あり)。

さて、この措置によりリヴィウ市民の生活はどう変わったでしょうか?

【マスクの今どき着用法】

ウクライナではこれまでマスクを着用する習慣はなく、マスクをしているとよほど重症なのかと思われてバスで座席を譲られるほどだったのですが、着用義務化により普通に使用できるようになりました。店舗や乗り物には、マスクなしで入ることはできません。店舗の入り口では人数制限や検温があります(並んでいても割とすぐ入れます)。

当初、マスクは品薄になりましたが、しばらくするとどこでも手に入るようになりました。これまで薬局で売っていましたが、スーパーのレジでも売られるようになりました。マスクが枯渇しないのは、供給量の増加だけでなく、着用しない人がいるのと、こまめに替えないのとが理由ではないかという気もしますが、さて実際はどうでしょうか。今流行りのマスクの着用法を見てみましょう。

其の一、マスクで口を塞ぐので、呼吸に支障を来さないよう鼻は出しておく。

其の二、マスクは顎に装着し、何かとぶつけやすい顎を保護する。しっかり呼吸ができるよう、鼻と口は外に出しておく。

其の三、マスクと言えば風邪予防。マスクは喉に装着し、扁桃腺が腫れるのを防止する。鼻と口は外に出して、新鮮な酸素を十分に吸入できるようにしておく。

其の四、何も悪いことはしていないのだから、マスクで顔を隠す必要などない。顔を出して堂々と歩けばよい。

鼻と口を塞ぐクラシックな着用方法は、流行遅れのようです。

(※着用方法の理由と目的は個人の憶測です。)

【自宅で復活祭】

今年は4月にキリスト教の大祭日である復活祭がありました(西方教会は12日、東方教会は19日)。通常ですと教会堂などで多くの宗教行事が行われます。しかし、今年は大統領も懸念したように、礼拝堂のような狭い空間に大勢の人が集まることは避けるべきことなので、ウクライナ政府は各宗教団体に検疫措置への協力を働き掛けました。

それに対し、ウクライナの二大宗派であるウクライナ正教会とウクライナ・グレコ(ギリシャ)=カトリック教会、ほかの少数派教会(ローマ=カトリック教会やプロテスタント等)は、信徒に各自が儀式を行うことを許可し、聖堂内での儀式の様子をネット配信して、信徒に自宅待機を呼び掛けました。

一方、一定の勢力を保持しているモスクワ総主教庁ウクライナ正教会(実質的にロシア正教会のウクライナ支部であると看做されています)は、教会へ集まるよう信徒に繰り返し呼び掛けました。実際、新型コロナウイルス感染拡大が最も深刻な地域であるチェルニウツィーをはじめ各地で聖堂に大勢の人が集結するという事態が生じました。特に、この宗派がレンタルしているキーウ洞窟大修道院とポチャーイウ大修道院では感染の爆発が発生し、前者では全聖職者が感染したという情報まで現れました(それは誤報で、というのも、その後も同施設での感染者は増加し続けていますので、その時点ではまだ「全員」ではなかったようです)。高位聖職者の感染も相次ぎ、教会トップも感染したという報道も出ました(今のところ否定)。モスクワ総主教庁ウクライナ正教会は、ウクライナとロシア及びその支援を受ける親露派テロリストとの戦いにおいてもロシア側を支援するなど、これまでウクライナに対する敵対的な姿勢で知られてきましたが、今回の行動は誰の利益なのでしょうか?

なお、問題が報ぜられていない施設の方が多いですから、皆が皆同じではないと思います。

【取り締まり】

市中でマスクの非着用(4月半ばの時点で1割程度、その後増加)、大人数の集合など、明らかな違反行為が見られます。取り締まりは行われているようですが、人々のルールの独自解釈は止めどないので、追いつかないようです。

ただ、厳重に取り締まりを行うのがよいのか、もう少し市民の自主性に任せて放置した方がよいのか、そこは難しいと思われます。警察による強権的な取り締まりは、ウクライナの場合、かつてのソ連の警察を思い起こさせます。ウクライナの警察は、ソ連時代からの悪弊から脱却する目的で近年(前政権時代)、新体制に移行したばかりです。ソ連時代への逆行は、国民に嫌な印象を引き起こすでしょう。

ところで、4月も半ばを過ぎると、徐々に検疫措置の解除に向けた談話が出始めました。4月末には大統領や政府からもそうした話題が明言されるようになりましたが、日本では新規感染者が25人も見つかった、これは緊急事態だ、と記者会見が北海道で開かれている頃でした(都知事もしばしば会見を開いていました)。ウクライナでは毎日報道も減った増えたと一喜一憂しているのですが、だいたい3~600人以上の新規感染者が見つかっています(ウクライナの全国人口は関東地方とほぼ同じ)。安定してきたのでそろそろ検疫措置の緩和を検討する時期になったそうです。他の欧州諸国もこんな感じの状況で検疫措置の弱化を進めていますが、やはり国が違うと物事の感じ方もだいぶ違うのかなと思いました。

【国際協力】

日本政府は、臨床結果の共有を条件に、ウクライナを含む20ヶ国への「アビガン」の無償提供を決定しました。ウクライナ外相が感謝のコメントを出しています。

一方、ウクライナも輸送や資金援助(対アルバニア)、医療従事者の派遣(対イタリア)など、可能な分野で国際貢献を行っています。特に、輸送分野での貢献は絶大と言えるでしょう。ウクライナは世界最大の航空機An-225「ムリーヤ」を保有することで知られますが、今月から同機をはじめとする大型輸送機を総動員して、長距離大量輸送を開始しました。この輸送の一部はNATOとの協力活動である戦略的空輸国際ソリューション(SALIS)プログラムの一環で行われていて、ウクライナとNATOとの関係強化という目標もあります。

ウクライナの貨物航空会社であるアントーノウ航空の保有する大型輸送機An-225「ムリーヤ」、An-124-100/-100M「ルスラーン」、An-22A「アンテーイ」が、中国とヨーロッパ、北米大陸とのあいだを飛行し、各国へ医療物資の輸送を行っています。おもしろいのはポーランドで、今回初めてAn-225がワルシャワ空港に飛来したのですが、「この世界最大の飛行機を見たいお気持はわかりますが、感染拡大防止のため、空港に集まることはやめて下さい」と注意が出たそうです。そのため、見たい人は空港の外に集まっていたようですが……。

An-225はウクライナのO・K・アントーノウ記念航空科学技術複合(現在の国営企業「アントーノウ」)で開発された航空機で、航空機としては比肩するもののない250トンの最大積載量を誇ります。An-225の原型である大型輸送機An-124は150トン、「ジャンボジェット」ことボーイング747-8F貨物機は147.6トン、一般的な長距離旅客機と同サイズの貨物機ボーイング777Fは103.9トン、横田基地にも配備されている米空軍の輸送機C-17は78トンとのことですから、いかに破格かがわかります。最大積載量とは最小限の燃料を搭載して目一杯貨物を積んだ状態のことを言うので、実際には1万キロメートル近い長距離を飛行するため大量の燃料を搭載した上で機体を軽くする必要もあるため、中国から欧米まで一度に運べる現実的な量は100トン程度ではないかと思われますが(途中給油する場合はこの限りでない)、いずれにせよ同じ量を高速で輸送できる輸送手段は世界にほかに存在しません(もちろん、船便はもっとたくさん運べますが、輸送速度で比べ物になりません)。

このほか、ウクライナ空軍の輸送機Il-76MD、国内省の要人輸送機An-74TK-200VIP(医療チームをイタリアへ輸送)、国民親衛隊の哨戒機An-72Pなどが輸送任務に従事しました。また、民間航空会社のウクライナ国際航空やスカイアップ航空、アズール・エア・ウクライナも、保有する旅客機を貨物機として使用し、物資や郵便物の輸送に従事しています。リヴィウ国際空港をハブとして昨年から本格的に営業を始めた貨物航空会社「エレローン」は、小型貨物機An-26BとAn-26を1機ずつ保有しラトヴィアやスウェーデンなど周辺国とのあいだに郵便輸送を始めました。

ウクライナでは現在、通常の航空旅客輸送(定期便)が停止しているため、これまで旅客機に積載していた国際郵便物が滞るという問題が生じています。そのため、日本からウクライナへは郵便は送れないことになっています。ときどき運航されている特別旅客便は、この問題を解決する目的もあると思われます。

個人的に、郵便が機能していないのは少々心細いので、ウクライナと各国の航空貨物輸送を応援したいと思います。とは言っても、気持ちだけですが。

ただ、残念なニュースもあります。ウクライナがポーランドへ空輸した中国製医療用マスクの品質保証書が偽装されたもので、マスクがきちんと効果を発揮するか不明であるという報道がありました。同種の偽装ニュースはほかにもあり、それではウクライナの努力も水の泡になってしまいます。また、欧州委員会でEUの中国への「病的な依存性」の指摘がありましたが、これもウクライナの航空機の活躍に水を差す現実です。今回の件でウクライナが批難される謂れはないにしても、ウクライナには(ロシアを批判しながら)中国には何か妙な幻想を抱いている人たちもいるので、本当にヨーロッパに入るのか、それともロシアの代わりの新しい「大いなる兄」を見つけるだけなのか、注意しなければなりません。

【改革】

ウクライナでは、ソ連時代からの名残で農地の自由な売買が禁止されてきましたが、今月、それを認める新法が成立しました。この法律には賛否両論あるのですが、重要法案の成立により改革が進められようとしています。

【参考リンク】

イワーン・ワカルチューク氏訃報(4日12:32付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/4/7246490/

歴史的瞬間。ゼレーンシケィイ大統領、土地市場法に署名(28日15:02付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/28/7249698/

●新型コロナウイルス関係

リヴィウ州で新型コロナウイルス感染症初の死者(5日13:21付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/5/7246576/

警察によるマスク非着用者取り締まり開始(6日23:49付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/6/7246776/

日本、ウクライナに抗ウイルス薬を提供(8日18:29付発表)
https://www.kmu.gov.ua/news/yaponiya-peredast-ukrayini-partiyu-protivirusnogo-preparatu

政府、検疫措置の規制を修正(9日18:18付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/9/7247082/

ウクライナ正教会エピファーニイ府主教、信徒に聖土曜日の自宅待機を要請(11日20:55付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/11/7247495/

チェルニウツィーの聖堂でのネコヤナギの成聖(12日10:31付報道)
https://acc.cv.ua/news/chernivtsi/osvyachennya-verbi-u-hramah-chernivciv-fotoreportazh-57253

リーウネで検疫措置に拘らず儀式とネコヤナギの成聖を実施。高齢者マスクなしで集合(12日13:40付報道)
https://zik.ua/news/crime/bez_zakhysnykh_masok_i_dystantsii_u_rivnomu_provely_sluzhbu_ta_osviachennia_verby_nezvazhaiuchy_na_karantyn_965191

キーウ洞窟大修道院のクラスターで2人目の死者(13日15:04付報道)
https://www.prada.com.ua/news/2020/04/13/7247674/

ポチャーイウ大修道院の聖職者がコロナウイルスで死亡(13日18:20付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/13/7247706/

モスクワ総主教庁ウクライナ正教会トップ、復活祭には聖堂で儀式を実施と宣言(14日15:33付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/14/7247846/

ゼレーンシケィイ大統領「洞窟大修道院にはすでに100名以上のコロナウイルス感染者」(14日20:26付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/14/7247893/

リヴィウ州、全市場(いちば)の営業を禁止(15日付報道)
https://zaxid.net/na_lvivshhini_zaboronili_diyalnist_usih_rinkiv_n1500933

ウクライナ・グレコ=カトリック教会スウャトスラーウ猊下「今日、我らが聖職者たちは涙ながらにこう言う“皆さんは教会へ入ってはなりません”と」(16日10:30付報道)
https://www.pravda.com.ua/articles/2020/04/16/7248102/

キーウ洞窟大修道院とポチャーイウ大修道院の復活祭儀式の模様(18日23:00付報道)
https://zik.ua/news/ludyna/velykodnie_bohosluzhinnia_u_kyievo_pecherskii_ta_pochaivskii_lavrakh_onlain_transliatsiia_965956

ドネーツィク州のスウャトヒールシク大修道院でマスクをせず密集した群衆が復活祭を迎える(19日10:48付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/19/7248526/

ヘルソーンのモスクワ総主教庁の聖堂は群衆に満ちる、州知事も参加(19日13:21付報道)
http://most.ks.ua/news/url/nochju_manger_so_svjaschennikami_moskovskogo_patriarhata_narushali_karantinnye_ogranichenija

ウクライナの感染者93%は国内で感染(23日付報道)
https://life.pravda.com.ua/health/2020/04/23/240716/

リヴィウは市場を開業し、バーとレストランの部分的開業を要請(29日19:49付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/29/7249913/

シュメィハーリ首相、検疫措置の新しい緩和条件を次の閣議で予告(29日20:00付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/29/7249914/

ゼレーンシケィイ大統領、検疫措置完了の必要性に言及(30日15:41付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/30/7250035/

●国際協力関係

ウクライナの「ルスラーン」5機が中国から欧州へ医療品を輸送中(4月1日19:21付報道)
https://www.epravda.com.ua/news/2020/04/1/658850/

リヴィウ~リーガ~リヴィウ間に貨物便が就航(3日付報道)
http://www.wing.com.ua/content/view/25190/37/

ワルシャワでウクライナの人道物資輸送機を見学に行かないよう呼び掛け(10日21:05付報道)
https://www.eurointegration.com.ua/news/2020/04/10/7108631/

ウクライナのAn-225「ムリーヤ」、中国からポーランドへ医療物資を輸送(14日21:49付報道)
https://uprom.info/news/other/logistika/ukrayinskyj-an-225-mriya-pryviz-medychnyj-vantazh-z-kytayu-do-polshhi/

北大西洋条約機構事務総長「ウクライナは航空機によりNATOのコロナウイルスとの戦いを支援」(14日21:58付報道)
https://ukrainian.voanews.com/a/ukraina-dopomagae-nato-u-borotbi-z-koronavirusom/5371441.html

2機のウクライナ軍機Il-76、ルーマニアへ中国から医療物資を輸送(15日11:38付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/15/7247963/

「アントーノウ」の世界最大のプロペラ輸送機、貨物輸送を再開(16日09:45付報道)
https://uprom.info/news/other/logistika/najbilshyj-u-sviti-turbogvyntovyj-vantazhnyj-litak-z-flotu-antonova-vidnovlyuye-vantazhoperevezennya/

「ムリーヤ」、フランスへ150トンのマスクを届ける(19日21:36付報道)
https://uprom.info/news/other/logistika/mriya-dostavyla-do-francziyi-150-tonn-masok/

EUは中国に「病的に依存」 欧州委員、医療物資調達面で指摘(20日20:54付報道)
https://www.afpbb.com/articles/-/3279467

ポーランド、中国から品質保証書の偽装されたマスクを受領(23日10:18付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/23/7249018/

An-225「ムリーヤ」、ウクライナへ医療機器と抗ウイルス薬を輸送(23日11:45付報道)
https://uprom.info/news/other/logistika/an-225-mriya-dostavyla-do-ukrayiny-partiyu-medychnogo-obladnannya-ta-preparativ-dlya-borotby-z-koronavirusom/

ウクライナの医療従事者、イタリアから帰国(23日付報道)
http://www.wing.com.ua/content/view/25359/37/

ウクライナの医者、イタリアから帰国(24日10:25付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/24/7249169/

An-124「ルスラーン」、医療物資を運びアメリカ合衆国へ着陸(24日23:59付報道)
https://www.pravda.com.ua/news/2020/04/24/7249310/

An-225「ムリーヤ」、ドイツへ対新型コロナウイルス感染症手段を輸送(27日21:10付報道)
https://uprom.info/news/other/logistika/an-225-mriya-dostavyla-do-nimechchyny-zasoby-borotby-proty-covid-19/

ウクライナのAn-124、中国からアメリカ合衆国へ人道医療物資を輸送(27日23:08付報道)
https://uprom.info/news/other/logistika/ukrayinskyj-an-124-dostavyv-medychnyj-gumanitarnyj-vantazh-z-kytayu-v-ssha/

アントノフ、An-225ムリーヤでコロナウイルス対策の医療機器を空輸(28日22:25付報道)
https://flyteam.jp/news/article/124222

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