2017年度 活動日誌

3月 活動日誌

2018年3月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

満開の桜の季節です。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

上海では桃の花があちこちで咲き乱れ、日に日に春の訪れを感じています。

さて、この3月には、毎年恒例の東京外国語大学からの実習生をお迎えしました!

今年は博士課程の学生、張さんと金さんの2人が来てくれました。受け持った授業は第二学年の「精読」という科目で、読解教材を用いて文法や単語を習得し、日本文化への理解を深める授業です。この科目は全部で6クラスあるので、2人は1週目に1,2,4,5組を、2週目に2,3,5,6組を担当してくれました。

今年の第二学年はおとなしい学生が多く、授業中もいささか緊張しているように見えました。実習生のお二人も、1週目は少し表情が固かったのですが、2週目になると、ずいぶんリラックスしたようすで、説明も流暢にできるようになっていました。

学生たちからの感想では、「二人とも真面目にしっかり授業準備をしてきていたのでよかった」「日本語がとても上手だった」「二人のようになれるよう、がんばりたい」などの声が聞かれました。

以下は実習生のお二人からの感想です。

張季媛さん:

この度上海外国語大学で実習ができて、本当に良かったと思います。充実した実習でした。上海外大のキャンパスはとても広くて、世界各国の特徴のある講義棟が並べており、外国語大学の雰囲気が溢れています。

学生の日本語レベルが高かったし、教壇に立つのも初めてですので、最初は不安や緊張感がありました。しかし、上海外国語大学の先生たちや鈴木さんからたくさんのアドバイスをいただき、学生たちも非常に熱心に授業を聞いてくれており、どんどん質問してくれたおかげで、だんだん慣れてきました。最後の授業の日には、学生たちと記念写真を撮っており、学生たちと連絡先も交換しました。今回の実習を通し、日本語教師になる決意も更に強くなりました。

金鑫さん:

今回の上海外国語大学での二週間の実習は短いですがとても有意義で充実でした。

担当クラスの先生がたと可愛い学生たちに大変御世話になりました。

学校のキャンパスはとても広くてきれいです。図書館の施設も完備して勉強も生活も便利でした。

今回の実習を通じて、上海外国語大学の皆さんが日本そして日本語に対する情熱を強く感じました。

一生懸命日本語を勉強する姿がとても素敵です。日本語を教えにいきましたが、むしろ勉強になりました。

東京外国語大学にも負けない学習態度と情熱そして生活の便利さがあるので、上海外国語大学の皆さんも是非TUFSの留学生活を体験しに来てください。東京外国語大学で待っています〜

(中央黒いコートを着ているのが金さんです)

さて、今学期の日本語コーナーは、学生たちの時間割を考慮して、隔週で行うことにしました。

1.日本のお風呂事情

日本のお風呂の友といえば、あの黄色いアヒルですよね。先日、スイスと米国の研究者チームによって発表された衝撃のニュースは、こちらでも話題になりました。もっとも、中国の一般的な家庭には湯船はないそうで、学生たちはみな日本のドラマやアニメでその存在を知ったようです。日本の温泉での体験やおもちゃの話で盛り上がりました。

2.児童文学

2018年国際アンデルセン賞に角野栄子さんが選ばれたことをうけて、児童文学について語りあいました。学生たちの深く印象に残っている児童文学といえば、やはりアンデルセン童話、グリム童話などだそうです。おそらく日本の学生たちも同様だと思われますが、国境を越えて同じ物語を楽しむことができるというのはなんとも不思議で、素敵なことだと感じます。

3.aiboとペット

aiboはソニーが開発したロボットの犬です。学生たちはAIやロボットに絶大な関心がありますが、一方で犬や猫などの動物の姿をした機械はあまり好きではないようで、なぜそのようなロボットが開発されているのか、興味があるようでした。ちなみに、学生たちがAIに望むことは掃除と洗濯だそうです。ロボット犬にはできそうもありませんね。

4.ゲーム『狩歌』

今学期から、新たな試みとして、言葉や文化を学べる簡単なゲームをすることにしました。まずは『狩歌』というゲームです。これはたくさんの単語が書かれたカードを並べて、j-popを流し、聞こえてきた単語の書かれたカードを取る、というゲームです。今回は2018年の人気曲を使いました。「夢」「心」「月」などの単語はよく歌詞に使われていましたが、「愛してる」「大丈夫」「瞳を閉じて」などのフレーズはありそうでありませんでした。ポップスの好まれる歌詞も変化しているのでしょうか。

5.ゲーム『たほいや』

ゲーム2つめは、『たほいや』です。これは広辞苑を使います。1人が辞書をランダムに開いて、「たぶん誰も知らない単語」を読み上げます。ほかの人たちはその単語がどんな意味なのか当てる、というゲームです。これが意外と盛り上がりました。みなさん、「二食(にじき)」を知っていますか?「御高祖頭巾(おこそずきん)」はどうですか?悩みながら得た情報は忘れにくいですから、楽しみながら新たな日本語を習得することができますね。

以上、2つのゲームは、またぜひやりたい、とのことでした。今後も定期的に行いたいと思います。

4月は歌合戦の模様や、日本語コーナーの様子をお届けする予定です。

来月もお楽しみに!

2月 活動日誌

2018年2月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

新学期が始まりました!

春節休みで閑散としていた上海の街にも活気が戻ってきました。

まだまだ寒い日が続きますが、学生のみなさんには、寒さに負けずに頑張って勉強してほしいところです。

さて、この冬休みを利用して、東京外国語大学に短期留学していた学生からの感想をお届けします。

樊星雨 (Fan Xing Yu)さん:

東京外国語大学での留学生活は短かったですけど、いろいろ勉強になりました。先生たちはとても親切に指導してくれました。授業の内容は日本教育や住宅や若者言葉など、日本社会に関する話題で、役に立つと思います。茶道体験や日光研修旅行などを通じて、日本文化も深く知るようになりました。

自由時間に、私は友達と一緒に吉祥寺へ行ったり、おいしい店で料理を食べたりしました。新宿、浅草、上野動物園、スカイツリー…あちらこちら遊びました。

今学期も前学期同様、留学相談や学習相談を受け付けたり、日本語コーナーを開いたりする予定です。

また、来月は東京外国語大学からの教育実習生の奮闘ぶりをご報告いたします。お楽しみに!

1月 活動日誌

2018年1月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

あけましておめでとうございます。

本年もなにとぞよろしくお願いいたします。

今月はなんと上海にも雪が降りました!

上海の冬は、気温はマイナスに下がることも珍しくなく、とても寒いのですが、雪が降るのは本当に久しぶりだそうです。

雪化粧をした校舎はとても美しいものでした。

さて、1月は期末試験があり、その後すぐに春節休みがはじまります。

この春節休みを利用して日本に短期留学や旅行に行く学生がたくさんいます。

もちろん、東京外国語大学 ショートスティ ウィンタープログラムにも3人の学生が参加しています。

来月、彼らの体験記を載せますので、お楽しみに!

また、きたる新学期に備えて準備をしています。

①本貸し出しサービス
②学習・留学相談室
③日本語コーナー

来学期はいよいよ卒業論文を仕上げる時期でもあり、留学に行く学生も多くいます。

そのため、特に①と②を強化するべく、呼びかけをしていくつもりです。

12月 活動日誌

2017年12月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

みなさま、こんにちは。

本格的な冬の到来です。12月には卒論タイトル審査があり、留学面接があり、また年明けすぐに行われる期末試験の準備などで、学生たちは体調を崩しがちのようです。寒い冬に人気の火鍋(huo guo/Hot pot)は、安くてボリュームがあり種類も豊富で、友達と楽しく食べることができるので、学生たちに大人気です。

今月もスピーチコンテストや日本語コーナーの話題をお届けします。

1.スピーチコンテスト

12月9日、浙江大学で行われた華東地区大学生日本語スピーチコンテストに参加してまいりました。このコンテストは今年で10回目を迎えますが、上海外国語大学は初の参加となります。予選では「壁を超えるために私たちができること」「人間と動物との共存について」のどちらか一つを選びプレゼンをします。決勝戦では「グローバル化の良い点と悪い点」「個性的とはどのようなことか」というテーマでスピーチが行われました。華東地区の様々な地域から集まった学生たちが一生懸命考えたスピーチは、とても興味深いものでした。上海外国語大学からは3年生の胡嘉鑫(Hu Jia Xin)さんが出場し、みごと二等賞を獲得しました。おめでとうございます!

写真中央が胡嘉鑫さん

2.日本語コーナー

12月ももちろん日本語コーナーを行いました!以下がその詳細です。

①1日:インスタ映え/流行語/血液型占い

…2017年度ユーキャン新語・流行語大賞を受賞した「インスタ映え」は、もちろん、上海の学生たちはよく知っています。中国では微博(weibo)や微信(we chat)がよく利用されていますが、近年の学生たちは写真を撮ることが好きな人がとても多く、SNSでシェアしあっています。上海外国語大学の松江(Song Jiang)キャンパスの近くには、明代から続く水郷「朱家角(Zhu Jia Jiao)」や、ヨーロッパの町並みを再現した「泰晤士小镇(Tai Wu Shi Xiao Zhen)」があり、きれいな写真をたくさん撮ることができます。親元を離れて寮生活をするのが一般的な中国の大学生のスタイルなので、学生たちの生活の様子がわかって良いなと思う反面、不特定多数が閲覧できるSNSに無防備に写真をアップロードする危険もあります。学生たちもそのことについて少し心配しているようで、どうすれば安全にSNSを楽しむことができるか、ということについても話し合われました。

人間の性格がたった四種類に分けられるはずもなく、ナンセンスであることはわかりきっているのですが、それでも血液型占いをなんとなく信じている日本人は多いですよね。学生たちはそもそも自分の血液型が何型なのか知らない人も多く、不思議だと思っているようでした。その代わりに、中国では星座による占いが根強く信じられているそうです。乙女座でB型の学生がひどく落ち込んでいましたが、何事も二つの面を持っているものです。潔癖すぎて自己中心的とは、言い換えれば、綺麗好きで確固たる自分を持つ人ということなのです。

②8日:日本式英語/幼稚園と保育園/冬の絶景/おにぎり

…日本式英語とは、「ノートパソコン」や「スキンシップ」といった和製英語や、「マクドナルド」「コーヒー」など英語の日本語発音という意味です。11月19日に黃明志(Namewee)がリリースした「Tokyo Bon 東京盆踊り2020」という楽曲はジャパングリッシュと盆踊りをテーマにしていて、「洗脳ソング」だと中国で大いに話題になりました。「世界の文化の違いと面白さを愛と敬意とユーモアで表現」し、「盆踊りで世界が輪を作って欲しい」との願いが込められた楽曲です。学生たちにも人気のこの楽曲、みなさまもぜひ一度聞いてみてください。

中国での一般的な乳幼児の保育・教育は、「0歳から3歳までの子どもは、衛生部門が管轄する託児所が保育し、3歳から6歳の子どもは、教育部門の管轄する幼児園が保育・教育する」と定められているそうで、年令によって明確に役割が分かれているそうです。学生たちに実体験を聞いたところ、託児所の記憶のある学生はおらず、みな幼児園に通っていました。また、中国では仕事の忙しい両親に変わって祖父母が子供の世話をすることも珍しくありません。そのような事情から、日本の保育園・幼稚園制度に関心を持ったようでした。

冬の絶景といえば、やはり雪景色でしょう。学生たちのなかには南方出身で雪を見たことがない人もいますので、日本の雪の写真を見ながら、いつか絶対に自分の目で見たい、と決意を新たにしていました。雪と聞いてまず思いつくのは北海道などの北国ですが、この日は京都や岐阜、鳥取などの冬の情景も紹介され、大いに盛り上がりました。

また、先日おにぎり大会が行われたことで、おにぎりに興味をもった学生が数名いました。彼らの一番の関心事は、「なぜおにぎりは三角形なのか」です。みなさま、説明できますか?(『日本おにぎり協会』のウェブサイトで詳しく解説されています。ぜひご一読ください!) そのほか、好きなおにぎりの具は何か、などが話題になりました。一番人気はツナで、次点がサーモンでした。日本食といえば海の魚、というイメージが先行していることと、コンビニなどで気軽に手に入れることができるおにぎりであることが理由のようです。

③15日:本/マンガ/日本語を学ぶ時の良いこと悪いこと/七五三

…今年の書籍人気ランキングが出揃いました。もちろん日本で買うよりも割高ですが、上海でも紙の日本の書籍が買えますし、最近は電子書籍がとても人気ですから、学生たちは日本の新刊を驚くほどのはやさで入手しています。とくに学生たちに人気の書籍は、映像化された作品の原作で、『告白』や『Nのために』の湊かなえ、『火花』の又吉直樹などが読まれているようです。東野圭吾は翻訳版が豊富なこともあってか、根強い人気がありました。

中国語を母語とする学生たちにとって、日本語を学ぶ上でのメリットとデメリットを聞いてみました。メリットは「漢字がわかるので、読解はよくできる」「本が読める」「中国語よりも発音が単純なので、話しやすい」「日本語由来の単語が現代中国語には多いので、概念の理解が容易である」などが挙げられました。デメリットとしては、「中国語には活用がないので、日本語の活用形を覚えるのが大変」「話し言葉と書き言葉が違うので、よく間違える」「敬語を間違って使っていないか心配で、あまり話せない」などが挙げられました。

中国で年齢にしたがって行われるイベントは、1歳の時に行う「抓周歳(Zhua Zhou Sui)」や花甲(Hua Jia/還暦)だそうです。3歳5歳7歳と小刻みに祝う習慣がないそうで、学生たちは興味津々でした。

④22日:今年一年を振り返って

今年も早いもので、一年が終わろうとしています。一年生にとっては上海外国語大学に入学した思い出深い年であり、二年生にとっては無事に進級できた年です。学生たちに聞いたところ、「夏休みに日本へ旅行したのが楽しかった」「ずっと勉強していた」「2年生になって、新しい勉強を始めたので、チャレンジの年だった」などの感想が寄せられました。

(12月15日の日本語コーナーにて。一番左がコーディネーター、右から3番目が今学期まとめ役の蒋怡沁(Jiang Yi Qin)さん)

来月は冬休みに入ります。冬休みはメールとWeChatで相談を受け付ける予定です。

11月 活動日誌

2017年11月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

みなさま、こんにちは。

11月の上海はすでに寒く、風が吹くたびに体が縮こまる季節です。でも、そんな寒さに負けないほどの、さまざまなイベントでの学生たちの熱気をお届けします。

1.スピーチコンテスト

秋はコンテストの季節です。上海外国語大学の学生たちも、もちろんさまざまなコンテストに参加しています。そして今年は、11月11日に行われた第30回上海市大学生日本語スピーチコンテストと、25日に行われた第10回上海外国語大学カシオ杯中国日本語専攻学部生・院生スピーチ弁論大会が、上海外国語大学で開催されました。前者は「日中国交正常化45周年―更なる発展に向けて」というタイトルで、後者は「ボランティアの意義」「日本語で学ぶことの意義」「週末の意義」「大学の食堂の意義」という4つのテーマから一つ与えられ、スピーチを行いました。

後者では更に「ダブルイレブン(11月11日の「爆買いの日」)について」「シェア自転車について」「モバイル決済について」という三つのテーマでディベートを行いました。どの学生もテーマに真摯に向き合い、一生懸命考えて、すばらしいスピーチをしていました。学生たちの頑張りの甲斐あって、上海市大学生日本語スピーチコンテストでは2年7組の張思(Zhang Si)さんが3等賞を、カシオ杯では院生の卜妍杨(Bu Yanyang)さんが3等賞を、張思さんが2等賞を受賞しました。以下に張思さんの感想を載せます。

中日関係の更なる発展というテーマで、自分なりの思いをみんなに伝えられて本当によかったです!これからも日本語を勉強している中国人大学生として、国際交流に力を入れていきたいと思います!

日ごろの学習の成果が評価されるのももちろん大事なのですが、ちょっと大変ですがこのようなコンテストに参加して、色々なことを深く考えてみたり、同じ志を持った同年代の子と交流してみたり、さまざまな経験を積むということが何よりも重要なのではないかと思います。幸いなことに上海は大都市で、そのような機会は他の都市に比べて多いと思われますので、学生たちにはこれからもチャレンジしていってほしいと思います。

2.会話大会&おにぎり大会

今年もこの季節がやってまいりました。そう、会話大会とおにぎり大会です!会話大会は演劇大会で、2年生が日ごろの学習の成果を劇の形で披露する会です。ほとんどのクラスがオリジナルの台本を作っていて、それだけでもこの大会に対する意気込みを感じました。おにぎり大会は物語コーポレーションさまの支援のもと、日本の食文化の一端であるおにぎりを学生たちに体験してもらおうというものです。今年は偶然同日に行われることになり、慌ただしい一日でしたが、この日のために授業の合間をぬって一生懸命練習してきた学生たちの演劇はどれもとてもおもしろく、またおにぎりはとてもおいしく、楽しい一日でした。

3.日本語コーナー

11月ももちろん日本語コーナーを行いました!以下がその詳細です。

①10日:流行語/葬式文化

…日本社会で流行する言葉に、学生たちは敏感です。当然、「ユーキャン新語・流行語大賞」も、毎年欠かさずチェックしています。しかし、中国の流行語と、日本の流行語は、どうも少し違うようです。スマートフォンによるコミュニケーションが発達している中国では、流行語といえばSNSでやりとりされる「打ち言葉」のことを指します。「你的良心不会痛吗(あなたの良心は痛まないのですか?)」や「皮皮虾,我们走(シャコ、行くぞ)」などがそれにあたります。元ネタはテレビ番組や動画サイトなどから来ることが多いようですが、大人も子供も本当によく使用しているようです。

また、学生から日本の葬式文化について知りたいというリクエストがあったので、それについて少し話しました。人口の多い中国では、お墓の値段も年々つり上がっているらしく、お墓にお金をかけるぐらいなら海に散骨してほしい、とか、鳥葬にしてほしい、という意見が冗談交じりに交わされました。

②17日:11月11日/紅白歌合戦/一人旅

…日本では11月11日は「ポッキー&プリッツの日」ですが、中国ではネット通販の「爆買いの日」です。この日のために何ヶ月も前から貯金して、欲しい商品をチェックして…という学生もいました。消費が拡大することは経済を活性化するためには良いことなのでしょうが、同時に質の低下や詐欺、輸送のトラブルなど、弊害も起きています。それらをどうクリアしていくか、学生たちも真剣に議論していました。

流行に敏感な上海の学生たちは、日本の流行歌ももちろんチェックしています。発表された出場歌手リストを見ながら、「この歌手は知らない」「この歌手はきっとあの歌を歌うだろう」「このグループの衣装はどんなのだろうか」などと盛り上がりました。

さらに、近年の中国の学生の傾向として、「お一人様」を好む、というものが挙げられると思います。一人っ子政策が関係しているかどうか、きちんと調べていないのでわかりませんが、「友達と一緒に旅行するのも楽しいけれど、一人のほうが気楽で良い」という若者が、以前よりも多くなっている気がします。女性が一人で気軽に旅行できる場所としては、日本の人気はなかなかのもので、毎年多くの「お一人様」観光客が日本を訪れており、学生たちはその様子をSNSで追いかけ、参考にしているのだそうです。特に日本食は一人一膳で出てくることが多く、一人で出かけても美味しいものを食べ逃がすことがない、と好評でした。

③24日:ご当地グルメ/屋形船/紅葉

…日本食と言えば何でしょうか?すし?てんぷら?いいえ、吉祥寺のメンチカツと江ノ島のタコせんべいです!日本に何度か行ったことのある学生がいろいろなおいしいものをプレゼンしてくれました。日本とのつながりが深く日本料理店も数多く存在する上海の学生たちは、従来のわかりやすく濃縮された日本文化よりも、現実に即した、本当の日本文化を体験したがっているように思います。ご当地グルメはその最たるものではないでしょうか。日本を訪れたらぜひ食べてみてほしいと思います。

水の国・日本としては、ぜひもっともっと屋形船を諸外国にアピールしてほしいところです。遊覧船に乗って観光すること自体はさほどめずらしくもありませんが、その船の中で美味しい料理が食べられて、楽しい宴会ができる船はそう多くはありません。夏には花火を見ることができるなど、季節ごとの楽しみ方があるのもおもしろいところで、学生たちは興味津々でした。

また、秋といえば紅葉です。もちろん秋になれば色を変える植物は、上海にもたくさんありますが、日本のそれとはやはりだいぶ違います。インターネットの発達した現在では、さまざまな紅葉の美しい写真を見つけることができますが、やはり当地に赴いて自分の目で見る感動は何にも代えがたいものです。この日は「どこの紅葉を見たいか」で盛り上がりました。

来月は日本語コーナーなどのご報告をお届けする予定です。お楽しみに!

10月 活動日誌

2017年10月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

みなさま、こんにちは。

モクセイの花のよい香りもあっという間に終わってしまいました。本格的な冬の到来です。ですが、まだ日中は暑い日が多いので、寒暖差についていけず、体調を崩す学生もちらほら見えます。ちゃんとお湯を飲んで、暖かくしてお過ごしください。

さて、予告通り、10月に行われたイベントのご報告をお届けします。

1.日本語コーナー

10月は13日、20日、27日に日本語コーナーを開きました。それぞれの内容は以下のとおりです。

①13日:学生オスカー賞受賞の短編映像『低頭人生』について/好きな映画

…『低頭人生』は、スマートフォンに夢中になっている現代人についてのフィルムです。特に中国では、超キャッシュレス社会を実現させたスマートフォンはもうなくてはならない存在になっていて、それに伴う弊害も問題になっています。学生たちからは、「映像はとても意味深いものだ」「言いたいことはわかるが、これが現実なので、仕方ない」「このような映像を作ったのが学生なのはすばらしい」などの意見が出ました。

また、中国では海外制作の映画の国内上映上限数が決まっているそうで、日本の映画も年によってあったりなかったりするのですが、ここ最近は『君の名は。(Your name.)』『劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール(Sword Art Online the Movie -ordinal scale-)』など、アニメ映画が多く上映されています。学生たちの中には日本語科以外の友達を誘って見に行くこともあるらしく、文化交流の重要さを改めて感じました。

②20日:伝統工芸体験/ペット

…日本に旅行あるいは留学に行った学生たちが驚くことのひとつに、日本には「体験型観光」が数多く存在するということが挙げられます。東京だけでも、東京七宝や江戸切子、江戸風鈴や江戸更紗など、実にたくさんの伝統工芸を体験できる場所があります。伝統工芸を見るだけではなく、自分で作ることができるというところに、学生たちは大いに興味をもったようで、「いつかこんなものを作ってみたい」、「こんな模様はどうか」、など、話が盛り上がりました。

また、ツイッターやCMなどで人気を博したアイドル犬「俊介くん」が死んだというニュースは、学生たちに少なからず衝撃を与えていました。中国版ツイッターである微博(Weibo)には多くのアイドル犬やアイドル猫がおり、勉強や仕事に疲れた人々の癒やしになっているようです。「別れに耐えられないのでペットは飼わない」という学生もいました。

③27日:中国マクドナルド、改名/「君死にたまふことなかれ」紹介

…今まで中国マクドナルドは、「麦当労(mai dang lao)」という名前でした。元の発音にできるかぎり近づけ、使われている漢字もよく考えられている表記だったのです。しかし、これから更なる現地化を進めるためか、「金拱門(jin gong men)」という名前に改名するとのこと。学生たちからは戸惑う声が多く聞こえてきました。しかし、最近ではそもそもファスト・フードを食べない学生も少なくないようで、「もっと色々な種類のファスト・フード店がほしい」「健康的なファスト・フードなら食べる」「ファスト・フードは値段が高すぎる」などの意見がありました。

それから、今回は初の試みとして、学生からのリクエストにより、与謝野晶子「君しにたまふことなかれ」を紹介しました。詩で使われているのは古語で、少し難しいので、中国語も交えながら音読し、七五調の美しい旋律を味わいました。

2.新入生歓迎会

12日に新入生歓迎会が行われました。この9月に入学したばかりの1年生たちが、日本に関係のある歌を歌って競う合唱祭です。GJOコーディネーターは審査員として参加しました。出会ってから1ヶ月ほどしか経っていない学生たちが、それでも一生懸命に演出を考え、練習し、クラスとしてまとまっていこうとする姿は、とても輝かしく、懐かしい気持ちになりました。またなんといってもこの時期の1年生は期待と希望に満ち溢れていますから、これからもその気持ちを忘れずに、しっかり勉強してほしいと思います。

来月も日本語コーナーやおにぎり大会など、イベントに関するご報告をする予定です。お楽しみに!

9月 活動日誌

2017年9月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

みなさま、こんにちは。

新年度が始まりました!新入生たちの期待と緊張が入り混じった表情を見て、先輩たちが懐かしがっていました。今年は雨の多い9月でしたが、憂鬱な天気にも負けないぐらい、良いスタートを切れたことと思います。

さて、予告通り、東京外国語大学のサマーキャンプに参加した学生たちの感想をお届けします。(以下原文ママ)

①覃荟庚(シン カイコウ)さん

夏休みに東京外大のサマーキャンプに参加して、たいへん有意義な思い出をとりました。日本は初めてだから、最も重要な成果は、その三週間を通じて、日本語での交流のテクニックをたくさん勉強しました。授業では敬語の使用や会話の能力もアップしたと思います。日本人学生も全部かわいくて付き合いやすいおじょうさんです。東京江戸博物館で見学することとか、茶道や華道や着物を体験することとか、様々な楽しい活動を参加できました。

そのプログラムの間、ちょうどよく私の二十歳の誕生日を迎えました。毎日授業を担当する先生は違う方だので、先生たちは誕生日の歌を私に全で三回歌ってくれました。確かに一番面白いことだったと言えるでしょう。SSSPの先生はいつも優しい笑顔で話し合い、ほんとうに素晴らしい記憶を与えてくれました。

②舒舒(シュー シュー)さん

夏休みに東京外国語大学で三週間ぐらい勉強していた。東京滞在中に、とても楽しい時間を過ごした。

東外大は府中県にあって、面積があまり広くないが、校庭がきれいだった。この間、昼ごはんがだいたい学校の食堂に食べて、その中であったあんかけ豆腐が一番おいしいと思った。そして、学校の先生たちがほんとうにやさしい人だと感じていた。授業の時ばかりでなく、授業が終わったあと、先生たちも親切で、ずっと温かい心がひしひしと感じられた。日本にいた間、ちょうど私の誕生日が来た。その日の朝、先生からチョコレートをいただいて、うれしくて、心から感謝していた。

授業の後、ひとりであちこちで旅行するのはおもしろい経験だった。新宿、池袋、原宿、渋谷、吉祥寺、四ツ谷などに遊びつくした。原宿の表参道に沿いに散歩しながら日本の女の子がすごくかわいいと思った。東京大学にも行った。道の両側に高い樹木があって、地上に陰影を落として、暑い日にすこし涼しかった。およそキャンパスの中心に樹冠が広い木があって、木の下に椅子があって、人たちはそこで休むとか写真をとるとか、幸せな生活をするという感じを与えた。とにかく、東京の通りを歩くことは気持ちがいいことだね。

それから、チャンスがあればもう一度日本に行きたい。京都や大阪や奈良などに旅行するように望んでいて、日本人の友たちとの再会も待ち望んでいるね。

③卢敬仪(ロ ケイギ)さん

この夏休みに、私は、東京外国語大学のSSPに参加しました。とても楽しかったです。そのプログラムは、21日です。その時、毎日、日本語の授業があるし、日本文化についての体験もあるし、本当にいろいろ習いました。例えば、茶道と華道のクラスで、みんなは自分でお茶と花を作りました。そのほか、浴衣を着るのも、とても楽しかったです。

世界の学生たちは、そのプログラムに参加しました。私のクラスに、カザフスタンから学生もいました、ラオスから学生もいました、HKと台湾から学生もいました。毎日の授業で、みんなは自分の国について話しました、私は勉強になりました。

授業のほか、立川防災館で防災訓練に行ったことありますが、東京江戸博物館に行ったこともあります。でも、私にとって、一番楽しかったのは、授業の後、原宿や渋谷や高円寺や吉祥寺などのところに行くのです。食べ物を食べたり、ショッピングをしたり、写真を撮ったりしました。日本にいた23日に、私は日本がもっと好きになりました。

④毛丽敏(モウ レイメン)さん

今年、夏休みに東京外国語大学のショートステイプログラムに参加しました。短い間ですが、みんなと仲良くなったのはすばらしいです。先生方にいただいた暖かさが心に残しました。いろいろなご指導をいただいたのを心から感謝します。親切な人々にお世話になりました。この間に、知識だけでなく日本の文化を体験することもできました。茶道と華道の体験に初めて日本文化の特別さをよくわかるようになりました。博物館と防災館の見学はクラスで学ばないものを詳しく了解しました。クラスに自分で発表する機会がたくさんありますので、発表を練習したら、自信を持って日本語で話すことはちょっと緊張しないようになりました。三週間はあっという間に過ぎていきましたが、勉強になるのは本当に楽しかったです。おいしい食堂の料理とか、立派な寮とか、このプログラムは日本への留学生活を具体的に教えてくださいました。これからも、日本への留学に対する憧れを胸に抱き、日本語を勉強していきます。

街全体の雰囲気やちょっとした文化の違いを味わうには、現地に行くほかありません。この夏に派遣された学生たちも、それぞれが自分の目で日本を見て、感じて、考えてきたようです。冬のプログラムの選考はすでに終わりましたが、後輩たちにはぜひ先輩たちからたくさん話を聞いたうえで日本へ行って、色々学んできてほしいと思います。

来月は日本語コーナーやスピーチ大会やおにぎり大会など、イベントに関するご報告をする予定です。お楽しみに!

8月 活動日誌

2017年8月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

みなさま、こんにちは。日本は何十年ぶりかに涼しく雨の多い夏でしたが、上海は40度を記録した日もあり、中国で1番暑い夏だったそうです。

さて、夏休みを利用して訪日した学生は少なくありません。来月、帰国した学生たちの体験記を載せますので、お楽しみに!

また、この秋から半年間、二人の学生が東京外国語大学に留学します。そのうちの一人から、学びたいこと・行ってみたい場所を聞きました。

「勉強したいことなら、日本語、英語と中国語の通訳や国際関係と公共関係についての学科を勉強したいのです。本来なら、翻訳者になりたいので、外大に行ったら、必ず翻訳を練習したいのです。実際に卒業してからどんな仕事をするのかはわかりません。この夏休みは長いので、PRについての仕事を探しました。実習中、こういう仕事、悪くない、自分の性格などに合うと思います。だから、外大で公共関係についての学科を勉強したいです。」

「行ってみたいところなら、日本ではどこにでも行きたいです!東京で全部のラーメン店に行きたいです!」(陳李妍(チン リケン/Chen li yan)さん・原文ママ)

二人ともとても優秀で、好奇心の強い学生です。色々な学びをしてきてくれることと思います。

それから、きたる新学期に備えて準備をしています。

①本貸し出しサービス
②学習・留学相談室
③日本語コーナー

このうち、②相談室と③日本語コーナーは去年から引き継ぎ行うものですが、去年よりもさらにパワーアップさせる予定です。

ご期待ください。

7月 活動日誌

2017年7月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

みなさま、こんにちは。夏休みが始まりました。上海外国語大学の夏休みは7月と8月の約2ヶ月で、寮生活をしている学生たちにとっては帰省して一息つくことのできる貴重な時間です。とはいえ大学生らしく旅行したりアルバイトをしたりと、夏を満喫しているようです。

1.進路相談

7月はメールとWeChatで相談を受け付けたほか、旅行で東京を訪れていた学生と会って進路について話し合いました。

近年、中国の日本語教育現場では「日本語+(日语加)」をスローガンに、日本語能力のほかにもう一つ専門を持つことを推奨しており、学生たちも自らの興味関心にしたがって、あるいは将来必要とされる専門分野を調査して、二つの専攻を持つようになっています。そして日院の学生の就職率や進学率は非常に高く、各方面から良い評価をもらっているのですが、経済・金融が重視される昨今の風潮もあいまって、色々と不安があるようです。  7月初めに行われた日本語能力試験でも、「不安だ」という学生が多かったので、まずは学生たちが自信をもって「日本語専攻です」と言える日本語能力をしっかりと固めることが必要だと感じました。

8月はサマースクールや旅行などで来日している学生もいるため、要望があれば引き続き相談に乗る予定です。

6月 活動日誌

2017年6月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

みなさま、こんにちは。上海も梅雨入りし、洗濯物が乾かないと学生たちも嘆く日々が続いています。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。6月は学生たちにとって試験の月なので、常に緊張感に溢れていました。

1.川柳大会

5月に投票を呼びかけた川柳大会の結果が出ました!この川柳大会は毎年3年生の作文の授業にてきちんと鑑賞したうえで創作した川柳たちをクラスで2,3句選び、最優秀作品を選ぶものです。投票は上海外国語大学日本語学院の公式SNS上で行われました。また、今年も東京外国語大学賞を設けました。

上海外大での最優秀作品は「彼氏いる?上外にいて ありえない」「「愛してる」 母に言ったら 「お金ない」」「期末試験 正確なのは 名前だけ」の三句でした。

東外大での最優秀作品は「買う欲は 買ったものから 生まれてる」でした。授業で川柳を紹介したときは、「本当に自分たちが川柳を作れるのか」と心配していた学生たちでしたが、蓋を開けてみると、良い作品をたくさん作ってくれました。とくに川柳は気軽に作れるので、川柳大会が終わってもブログなどで五七五調で投稿している学生が見受けられます。今後もぜひ続けていってほしいと思います。

2.卒業セレモニー

6月15日、上海外国語大学日本文化経済学院の2017年卒業生たちのための卒業セレモニーが行われました。4年間の学生生活に終止符を打ち、それぞれの道に歩んでいく学生たちの表情はみな一様に輝いていて、とても頼もしく見えました。私にとっては上海外大に就職するきっかけとなったインターンシップで教育実習をさせてもらった学年なので、とても感慨深いものがありました。

上海外大の卒業セレモニーでは、学生たちはみな揃いのガウンを着て、角帽を被ります。壇上で卒業論文の指導教官たちから卒業証書をもらい、右側に垂らしたタッセルを左側に動かしてもらいます。これを「拨穗(bōsuì)」と呼ぶそうで、これをもって学士の称号を得て、卒業したことになります。壇上で少し話したかぎりでは、大学院に進学する人、就職する人、まだ進路が決まっていない人…、さまざまでしたが、これからのみなさまの輝かしい前途を祈念しております。

卒業、おめでとうございます!

5月 活動日誌

2017年5月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

みなさま、こんにちは。上海では毎日30度前後の暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

1.スピーチ大会、朗読大会、和風盛典…イベント盛りだくさん!

5月の上海外大はさまざまなイベントがあったので、1,2年生たちはとても忙しい日々を送っていたようです。

①スピーチ大会

主として2年生が参加したスピーチ大会は、「私の自主学習」「バーチャルリアリティー」の二つがテーマでした。今回のスピーチ大会では、試験的にpptでスライドショーを写しながら話すというプレゼンテーションのような形式で行われました。コーディネーターは審査員として参加し、質疑応答を担当しました。段取りなど課題もありましたが、参加した学生たちはそれぞれの興味関心や習慣からテーマについて語ってくれました。中国はさまざまな日本語スピーチ大会が開かれているスピーチ大国でもあるので、学内でも今以上に盛り上げていきたいと思います。

②朗読大会

5月9日に行われた朗読大会は、1年生全員計7クラスによって行われ、コーディネーターは審査員として参加しました。「さるかに合戦」「一寸法師」「かぐや姫」「そろーり、そろーり、来たわいな」の4つの演目があり、クラスによってさまざまな演出がなされ、甲乙つけがたい朗読劇でした。

③和風盛典

主に1年生と2年生によってさまざまな出店が運営される和風盛典は、日本における文化祭であり、日本語科以外の学生はもちろん近隣の大学の学生も訪れる日本語学院の一大イベントです。基本的にはクラスごとの出店となっており、ミニゲームで遊んだり、日本食を体験できたりします。また、日本風ホラーテイストのお化け屋敷は毎年恒例の目玉となっており、あまり和ホラーに耐性のない学生たちの悲鳴が響いていて、今年も大盛況でした。

④アフレコ大会

アニメやドラマなどの吹き替えの完成度を競うアフレコ大会は、1年生と2年生の混合チームによって行われます。『STEINS;GATE』、『月刊少女野崎くん』といった人気アニメや、『月曜から夜ふかし』などというバラエティ番組なども対象となっていて、さまざまなジャンルの日本語に触れているのだな、と感心しました。このような吹き替え活動の良いところは、もちろん日本文化に触れるという面もありますが、より聞き取りやすい発音を学べるというところにあります。これからもさまざまな作品に接して、良いところをどんどん吸収していってほしいと思います。

2.日本語コーナー

今月も日本語コーナーを週に一度、計3回実施しました。トピックは以下のとおりです。

①「日本企業の新人歓迎会」「駄菓子」

もちろん日本でも全ての会社が行っているわけではありませんが、中国の学生たちにとっては面白いと感じる「入社式」がたくさんあるようです。特に鳥羽水族館で行われた「水中入社式」などが人気でした。

中国にも安価なお菓子があり、駄菓子と同じように子どもたちだけでなく大人にも大人気です。日本の駄菓子を紹介し、中国の駄菓子を紹介してもらい、違いなどを考えてみたのですが、実際に食べ比べてみないとわからない、という結論になりました。

②「花札」

5月16日は日本の室内遊び・花札の回でした。日本語コーナーで花札を扱うのはこれで二回目なので、みんなもう慣れた手つきで札を扱っていました。

③「博物館」「小説」

日本にあるちょっと変わった博物館を紹介しました。上海にも立派な美術館と博物館があり、上海市の中学生は必ず一度は学校の行事で訪れるそうです。

中国で人気のある日本の小説について話しました。渡辺淳一、村上春樹などに続いて、東野圭吾が圧倒的な知名度を誇っているそうです。ドラマや映画などを見たあとで、その原作を読みたいと思って探した時に、中国語版がたくさんあるのが東野圭吾作品なのだそう。また、学生たちは紙の本よりも電子書籍を好む傾向があるようです。

4月 活動日誌

2017年4月
GJOコーディネーター 鈴木 祐己

みなさま、はじめまして。この4月から山岸愛美さんに代わり、わたくし鈴木祐己が、上海外国語大学GJOコーディネーターとして活動いたします。上海の学生たちのリアルな姿と、日本語学習状況について、しっかりお伝えできるよう、努力いたします。なにとぞよろしくお願いいたします。

4月の上海は例年雨が多いのですが、今年は予報が外れて、暖かく過ごしやすい晴れの日が多い4月でした。上海外国語大学には、残念ながら桜並木はないのですが、上海植物園や中心地に位置する同済大学には見事なソメイヨシノの並木があります。今年の清明節は珍しく良い天気だったので、これらの桜の見物に出かけた学生も多かったようです。

1.2017年度秋学期派遣交換留学生決定

今年の秋から日本へ留学する学生たちが決定しました。選抜担当によると、日本語学習への意欲はもちろんのこと、「日本語以外に何を学びたいのか」が明確に定まっている学生たちが選ばれたとのことです。

これにともなって、数名の学生から留学に関して個別相談を受けました。もちろん自身の日本語力に対する不安や一人暮らしに対する不安(中国のだいたいの大学生は大学寮で数名のルームメイトとの共同生活を送っています)などは自分で解決してもらうしかないのですが、派遣先の大学や街の情報が少ない、情報があってもカリキュラムやシステムが大きく違うためにいまいちイメージしにくいという相談も少なくありませんでした。

相談に乗るなかで判明したのですが、意外と縦のつながりが弱く、先輩の経験談が後輩に共有されていない実態があるようです。たしかに部活動や委員会活動などが日本のそれと比べると盛んではありませんし、留学から帰ってきた学部3年生は企業実習などで忙しく、留学経験について話してもらう機会もあまりないようです。ここにGJOが寄与できる点があると考え、現在、留学体験を共有できるような仕組みを構想中です。

2.日本語コーナー

今月も日本語コーナーを週に一度、計3回実施しました。トピックは以下のとおりです。

①かるたで遊ぼう!

いろはかるた、都道府県かるた、四字熟語かるたで遊びました。四字熟語は漢字だから簡単かと思いきや、みんなまず中国語の発音で読んでしまうので、意外と苦戦していました。

②「ツケ払い」「秋田美人・九州男児」

中国ではデビットカードなど先払いが主流なので、日常的な買い物を「ツケ」にする、ということには危機感を持っている学生が多かったです。一方で、何でもネットで買えてしまうという現状は便利であると思いつつも、やはりお金の流れが昔より見えにくくなっていて、無駄遣いをしてしまう、と反省していました。

「秋田美人・九州男児」に代表される「県民性」は、もちろん中国にも存在します。「河南美人」や「東北男児」がそうですが、出身地域が褒められることを誇りに思う一方で、「自分はそうではない」と悲しくなるということも話してくれました。

③「5月病」「獣害問題」

「病気ではないのになんとなくだるくてやる気が起きない」という症状は、名前こそないものの、中国の学生たちも深く共感していました。特に今年の4月は本当に良い天気の日が続いたので、「どうして私は教室で勉強しているんだろう?」と思ったことがある学生も少なくありませんでした。

大阪から発信された獣害についてのトピックでは、「中国では獣害は問題にならない。全部食べるから。」という、冗談混じりの意見にみな納得してしまいました。

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