2017年度 活動日誌

3月 活動日誌

2018年3月
GJOコーディネーター 小澤 咲

一か月を通して雨が続き、霰まで降るなど、真冬に戻ったかのような寒さが続いた3月ですが、下旬にはスペインでもサマータイムが始まりました。サマータイムの開始とともに一気に春めき、夜遅くまで明るい空が、夏の気配さえ感じさせます。

そんな今月は、3月26日に神奈川県立神奈川総合高校の生徒さんが団体でサラマンカ大学を訪問し、本学で日本語を主専攻語として勉強している学生たちと、約2時間半にわたり交流を行いました。

神奈川総合高校からは約20名、本学からは、1年生から3年生まで約40名の学生が参加し、総勢60名余りとなり大賑わいの交流会となりました。

交流会では、はじめに高校生のみなさんがスペイン語での日本紹介を行いました。「かごめかごめ」を実際に遊ぶ様子を見せたり、空手の型の実演をしたりと個性豊かなプレゼンテーションを披露すると、学生たちからは大きな拍手が上がりました。武道や遊びなど、知識としては知っていても、実際に目にするのは初めての学生も多かったようで、よい刺激となったようです。

また、本学の学生たちは、日本語で大学の案内を行いました。5グループに分けた学生たちの中に、高校生のみなさんに加わってもらい、グループごとにアイスブレーキングおよび交流、顔合わせの時間を設けたのち、グループごとに本学文献学部の校舎であるアナヤ広場を囲んだ3つの建物“Palacio”、“Anallita”そして“Hospedería”を中心とした学内の散策を行いました。学生たちも事前に用意したメモを見ながら、一生懸命日本語で案内し、日本語でのコミュニケーションにも積極的に挑戦しました。たいへん実りある経験になったようで、「たくさん話せた、うまく説明できた、わかってもらえた」等と、原稿の準備や日本語の練習が実を結んだ達成感に顔が輝いていました。

交流の最後には、校舎の中心にあるアナヤ広場で、カテドラルを背に神奈川県立神奈川総合高校のみなさんによる「ソーラン節」の踊りをプレゼントしていただきました。参加していた本学学生たちばかりではなく、広場に居合わせた一般の人々からも注目を浴び、大盛況のうちに交流が終了しました。

交流終了後には、学内にある“Cielo de Salamanca”(「サラマンカの空」)という天井画に皆様を案内させていただき、生徒のみなさんは感慨深げにサラマンカとの別れを惜しんでいました。

このような交流の機会は大変ありがたく、普段机の上で学んでいる日本語を実際に用いて日本人と交流する体験は、学生たちの思い出にも残り、また自信にも、学習へのモチベーションにも繋がりました。

これからも、高校や大学との交流を積極的に設け、活発な学びにつなげていくとともに、サラマンカに留学中の日本人学生との交流についても、ますます活発な支援をしていきたいと思っています。

生徒さんたちの説明に、熱心に聞き入ります。
学内案内の様子1
学内案内の様子2 グループがまとまると、教師も圧倒される人数です。うまくできるかな。
カテドラルを背に。

2月 活動日誌

2018年2月
GJOコーディネーター 小澤 咲

年が明けてから、もう2か月が経ちました。今月、とくに後半は、本当に天気が崩れやすく、日本の梅雨のように雨の降りやすい、珍しい月となりました。普段、傘をさす習慣があまりないため、アウターのフードをかぶってびしょ濡れになって歩く人もちらほら見受けられます。2月末になっても、小道で若者たちが雪合戦できてしまうほどの雪も降り、寒さの中で、春が本当に待ち遠しく感じます。

今月は、主にスペイン日本語教師会総会、マドリード自治大学での漢字授業への参加等を行いました。

スペイン日本語教師会総会に伴って、早稲田大学の笹原宏之先生をお迎えし、前日にはマドリード自治大学での漢字模擬授業も開かれました。

マドリード自治大学での漢字模擬授業では、同大学の学生たちも10名以上参加し、大変盛り上がりを見せました。日本人でも楽しめる内容の授業は、「嬲」という漢字の意味を考えるトークや、先生の考案した漢字の象形文字リレーといったゲームも含め、大変な盛り上がりを見せました。特に、先生の所属されている早稲田大学や、慶応義塾大学といった大学の名前をもじった表記についての解説等を通して、日本語が持っている文字表記の多様性を具体的に目の当たりにすることができ、漢字とひらがな、カタカナ、そしてアルファベット等の型を破った表記の多様性に、学生たちも大変関心を寄せているようでした。

翌日のスペイン日本語教師会総会では、現会長が任期を終え、新会長が選出されました。同時に、役員のみなさんも新しく構成され、若手役員も選出されていく中で、教師会が年功序列ばかりではなく、新しい風も取り入れながら成長していくのだなと、スペイン日本語教師会らしくもあり、また、同年代の新役員たちには、心からエールを送りたい気持ちです。

スペイン日本語教師会総会後には、もちろん、早稲田大学の笹原宏之先生の講演を頂戴し、前日同様、日本人だけでの象形文字リレー、漢字をひらがなに、ひらがなを漢字にしていくリレーなどのゲームを通して、漢字への理解を深め、さらに、書き順にこだわる必要はないこと、また、ハネの方向や、「吉/��」といった異形字等にも漢字、ひらがなともにこだわる必要はなく、おおらかな気持ちで指導に臨めるように、現場の教師たちにとって、耳が痛いような、希望を与えてもらったような、本当に参加してよかったと思え、すぐに授業に反映してみたいと思えるような講演でした。

さっそく、講演で教わったことについて交えながら漢字の部首やなりたち、そして使い分け等に関する小さなレクチャーをもってみたところ、大変好評で、学生たちが本当に知りたいと思っていたツボを突く授業を作ることの意義を感じましたし、これからも自分自身も刺激しながら、学生たちにも刺激のある授業のため、勉強を深めていきたいと思います。

また、2月初旬からは後期が始まりました。授業は、5月中旬に試験準備期間を迎えるまで、約15週間続きます。語学の授業は、東京外国語大学はじめ日本の一般的な授業体系とは異なり、一つの科目につき、週に2回、合計4時間勉強します。休みの期間を考慮すると、一学期間に約26回の授業を行うことができる計算なので、この授業期間のなかで、もちろん、こなさなければならない課を進むばかりではなくて、学生たちの小さな気づき、語学学習に対するモチベーションや希望を育てられるような教員になりたいと、改めて身の引き締まる思いです。

今学期は、今までに教えたことのある顔なじみの学生たちのみを担当するので、その分学生たちとの関係も、ゼロからのスタートよりも大分出来ているため、各クラスの希望にあった授業づくりに対応できるよう、今学期も頑張っていきたいと思います。

マドリード自治大学での模擬授業の様子。

スペイン日本語教師会総会の様子。Japan Foundation Madridの吉田所長も参加なさっています。
教師会総会後の講演において、先生がたはみな、配布されたレジュメを熟読しながら聞き入っています。

1月 活動日誌

2018年1月
GJOコーディネーター 小澤 咲

明けましておめでとうございます!
¡Feliz Año Nuevo!

サラマンカも、新年を迎えました。スペインのクリスマスは、毎年、翌年の1月6日、Reyes Magos「レジェス・マゴス」と呼ばれる日まで続きます。この日は、東方の三賢人の日として、スペインのクリスマスのメイン・イベントとなっています。なぜなら……宗教的な理由もありますが、この日は、子供たちが、ついにクリスマスプレゼントをもらえる日だから!

子供たちは、この日を待ちに待って、クリスマスの期間じゅう、いい子にして過ごします。いい子にしていると、クリスマスの最後のこの日、晴れて三賢人(レジェス)からプレゼントをもらうことができるそうです。つまり、日本で知られているクリスマスでは、サンタクロースが持ってきてくれたプレゼントを12月25日の朝にもらうことができるのに対して、スペインのクリスマスでは、1月6日の朝まで、レジェスがプレゼントを持ってきてくれるのを待ちます。そのため、いつもなら閉店時間きっかりに閉まるデパートや商店も、1月5日の夜に限っては、“レジェス”たちのかけこみ需要に応えるため、スペインでは本当に珍しく、閉店時間返上で、深夜まで営業を続けています……。

最近は、国際化の流れに伴って、12月25日にプレゼントをもらえる家庭も増えているようですが、スペインならではの風習がいまだにとても根強く残っていて、固有の文化と歴史を感じさせます。

例年通り、大学では、1月中旬から試験期間がスタートしました。大学生は、クリスマスも返上で、厳しい試験期間に備えて勉強を続けています。

サラマンカ大学は、1月末までみっちり試験期間があり、成績の提出は2月頭、そして次の月曜からは休む間もなく新学期がスタートします。試験が終わって息つく間もなく、学生たちも大変ですが、気を緩めずにしっかり新しい学期の授業に食いついてきてほしいと思います。

1月18日には、日西文化センターにおいて“Japanese Design Today – 100 Examples / Diseño Japonés Actual – 100 Ejemplos”というエクスポジションの開会式が開かれました。日西文化センター内、美智子さまホールで開かれた開会式には、新学長であるRicardo Rivero先生をはじめとする大学関係者、日西文化センター所長、また国際交流基金マドリードの吉田所長もお見えになりました。当日は、会場での身動きが難しくなるほどたくさんの人が参加し、100例のデザインを思い思いに見学していました。本物の自転車や、木製の繊細なつくりの仏像、地方の工場のデザイン家具、懐かしの家電から、雑誌に載っているような最新のデザイン、そしてISSEY MIYAKEまで、とても見ごたえのある展示でした。もちろん、日西文化センターで学ぶ学生、そして試験期間中にも関わらず、文献学部の日本専攻の学生も来ており、イベントに注目が集まっていることがわかります。

また、開会式にも見えていた新学長と、副学長たちによる新体制も、新年を迎えていよいよ本格的に始動したようです。これまで、たまっていた連絡事項等も、スムーズに進むことと期待しています。

来月は、月初より新学期を迎えるため、一学期を終えた後の目標も見据えながら、よい学期のスタートとなるよう、学びの機会をたくさん設け、学生たち、そして教員同士でも還元していきたいと思います。

“Japanese Design Today – 100 Examples / Diseño Japonés Actual – 100 Ejemplos”開会式の様子
開会式後、たくさんの人たちが真剣に見入っています。
吉田所長も見入っています。
新旧のさまざまなデザインに触れることができます。

12月 活動日誌

2017年12月
GJOコーディネーター 小澤 咲

今年のサラマンカも、12月を迎え、街中がクリスマス一色となりました。例年通りの道路のアーケードのイルミネーション装飾や、マヨール広場のクリスマスの巨大イルミネーションをはじめ、今年はなんと、カテドラルやサラマンカ大学文献学部が面しているアナヤ広場において、クリスマスマーケットが行われ、より一層クリスマスムードを高めています。

今月は、クリスマスばかりではなく学期の終わりの月でもあり、学生たちにとっても、学期のまとめの大切な月となりました。

私の授業では、今年は入門クラスでも教科書から少しはみ出してみることを目標にCM鑑賞や様々な歌や早口言葉等にチャレンジしてきましたが、最後はジングルベルを歌い、今年の夏、初めて日本語に触れ、ひらがなやカタカナを一文字ずつ練習するところから始めたことを振り返って、厳しい日本語の特訓を乗り切ったことを実感し、学生たちも感慨深そうでした。

期末試験は年明けに行われますが、日本語は例年通り履修者が大変多く、筆記試験と口頭試験を同時に行うことが難しいため、今年も例年通り、口頭試験のみ年内に行いましたが、学生たちが一生懸命練習してきて口頭試験に臨んでいることがよく伝わり、努力する学生たちには本当に誇らしく、またこれからも一生懸命支えたい気持ちでいっぱいにさせられます。

他にも、今学期は主専攻だけではなく、第二外国語日本語のクラスも持っており、これらの授業には他大学からの留学生も参加していますが、大学によっては成績の締め切り日が異なっており、それに伴い試験形態なども変えなければならないため、それらの対応も行いました。

また今月は、昨年度、東京外国語大学より寄贈していただいた図書の配架状況について、本学図書館、GJO(研究室)、また日西文化センターにおける状況の確認も行いました。本当にたくさんの本を寄贈いただき、こちらでも処理に時間がかかっている様子ですが、日本語で書かれた本に限りがあるサラマンカでは、学生たちにとって、大変貴重なものです。これから、学生たちにも積極的に日本語の本を読むように働きかけ、有効活用してもらいたいと思っています。

霧に包まれたカテドラルとクリスマスマーケット
今年のマヨール広場は、プレゼントです。なんと、プレゼントの中に入れます!
研究室内GJOに寄贈くださった本

11月 活動日誌

2017年11月
GJOコーディネーター 小澤 咲

サラマンカも、最低気温がマイナスとなることが増え、本格的な冬の訪れを感じる時期となりました。今年の秋冬は、去年に比べて冷え込みが強いようで、皆、寒さに震えながら通学しています。

11月3日には、本学学部生向けの留学相談会が開かれ、GJOも参加しました。国際交流部長、並びに日本留学のお世話もしてくださっている同じく国際交流部のモニカさんが講師として、日本、中国、韓国の3か国への留学について、留学の概要、また締め切りや条件等について説明しました。

第二言語として日本語を学んでいる他言語専攻の学生も含め、それぞれの言語専攻の学生が一堂に会し、みな大変熱心に話を聞きました。今年の留学応募締め切りを目前に控え、学生たちは応募したい大学や制度についての知識を深めたり、質問をしたり、真剣な面持ちです。中国語専攻では応募できる大学が台湾の一校しかないのに対し、日本語専攻では大変多くの大学に応募できるため、専攻語によって、留学のチャンスにも大きな差があることも踏まえ、自分の専攻語以外の国への留学の可能性も含めた、3か国への留学に関する包括的な説明が行われました。まだ留学が目前の課題ではない新入生たちにとっても、留学に対する視野を広げる機会となったようです。

11月半ば、留学応募期間は終了し、ひと段落となりましたが、来年のはじめごろ、結果を受けて合格した学生たちは留学に向けて準備を進めていきます。今年から交換留学可能となった東京外国語大学を第一希望とした学生もおり、今年も、たくさんの学生たちが留学のチャンスをつかめるよう願っています。

また今月は、4年ぶりにサラマンカ大学の学長選挙が行われ、4名の候補者の中から、二度にわたる選挙を経て、新学長および新副学長の面々が選出されました。800周年を迎えるサラマンカ大学において、新しい学長の体制が整うまで、これから各部署で引継ぎに伴う足踏みが続き、新年より本格始動となる見込みです。

一方、日々の授業においては学期の半分を過ぎ、これまで新学期だと悠々と過ごしていた学生たちも、期末が徐々に近づくにつれ、冬休み明けとなる試験や最終成績がどうなるのかと、早くも気を揉み始めたようです。サラマンカ大学の学生たちは今年も真面目な傾向にあるようで、今月は学生たちから成績の配点等に関する問い合わせが相次ぎ、今年もついにシビアな時期がやってきたのだと感じます。

明るく頑張っている学習意欲旺盛な新入生たちも、教科書外のアクティビティに大変興味を持ち、実践日本語のクラスでは早口言葉にチャレンジしたり、さまざまな歌を歌ってみたりして、とても日本語を楽しんでいるところです。これからも、積極的に教科書の外に飛び出しながら、様々な表現を味わい、楽しみながらも、先輩たちを見習って、期末に向けてしっかりと学んだことを振り返ってもらいたいと思います。

1年生は、日本語を学び始めて、はじめての学期末に向けて、また、2,3年生はこれまで積み上げてきたものや少しずつ取り逃してきたことを総ざらいしながら、勉強面でも有意義な冬休みを過ごせるように、来月は学期まとめのブラッシュアップの月とすることができるよう、教員ともども頑張っていきたいと思います。

留学説明会の様子。学年を問わず前からびっしりと座って真剣に聞いています。
学長選挙の案内。ブースに分かれて投票を行います。
サラマンカの地方新聞。サラマンカ大学学長選が一面となっています。(La Gaceta, 2017年11月20日月曜日, 表紙)

10月 活動日誌

2017年10月
GJOコーディネーター 小澤 咲

新学期が始まって一か月半ほどが経過し、早くも学期の半分を過ぎようとしています。

スペインでは10月の最終日曜にサマータイムが終了し、冬の訪れを感じています。

朝晩の寒暖差も激しく、20度の差があることもしばしばで、着ていく服が難しい時期にもなりました。

そんな10月、サラマンカ大学の学生たちは、新しい授業にも慣れ、勉強に励んでおり、教員もいよいよ授業が軌道に乗ったことを感じています。

今月の25日には、在スペイン日本大使館の平田公使および外語会幹事で在スペイン日本大使館の下越様をサラマンカ大学日本学オフィスにお迎えし、来年の日西外交関係樹立150周年に向け、日西大学間交流の促進について会合を行いました。

会合には本学アルフォンソ・ファレロ先生と一緒に参加し、また久保先生にも授業後に途中参加していただき、大学間における交流の需要や実情などについて話し合いを行いました。

また翌26日には上智大学名誉教授の清水先生の講演「ロルカと日本人外交官の知られざる文学的交流」があり、先生に文献学部からのご挨拶を申し上げ、講演を拝聴しました。講演はスペイン語で行われたため、客席には本学日本語専攻の1年生や、日本専攻の院生達、また日本語を勉強している留学生などの姿もチラホラ見られ、学生からの本講演への関心の高さも伺えました。

来月には、留学のための出願締め切りも控えているため、学生たちからの問い合わせも出始めています。

11月も引き続き、これらの学生たちへの対応も含め、支援を継続していきたいと思います。

清水先生の講演の様子

9月 活動日誌

2017年9月
GJOコーディネーター 小澤 咲

サラマンカ大学も、今年も新学期を迎えました。今年は、創立800周年に向けて、一層力の入った滑り出しです。

9月18日の月曜日には、17時より文献学部の入学式が開催されました。文献学部に入学した多くの新入生が一同に会し、学部長先生はじめ、大学関係者からの激励に耳を傾けました。

学部長先生は、文献学部は800年続くサラマンカ大学の中でも創立当時からある歴史ある学部であること、その文献学部を選んだ学生たちに、正しい選択をしたと激励し、これから一生懸命勉学に励み、学業以外の大学生活、活動にも自律的に取り組み、有意義な学生生活を送ってくださいという前向きなメッセージを送りました。

続いて18時からは各専攻別のガイダンスに移り、東アジア専攻の学生たちは別教室において、ガイダンスに臨みました。

東アジア専攻の各専攻語の構成や教員などについての概要を共有したり、質問を受け付けたりして、新学期の準備を行いました。

今年の新入生は、とてもやる気があり、ついつい教員にも力が入ってしまいます。

今年も、一年生の授業では言語ばかりではなく文化面にもスポットライトを当てながら、文献学部の修学の基礎として、聞く力や文字を認識する力、そして文化をとらえる力にも適度に重点を置きながら、勉強していきたいと思います。希望に胸を膨らませた新入生の力になれるように、今年も頑張ります。

また、GJOとしても、新しい先生も入った新体制で、より連携を図りながら学生のサポート業務に取り組んでいきたいと思っています。

入学式の様子。中央で学部長先生が激励しています。

6月 活動日誌

2017年6月
GJOコーディネーター 小澤 咲

今年のサラマンカは、6月になり、毎日のように37℃を記録するような猛暑日の後、最高気温が14度になる日もあるような寒い日が続き、非常に体調管理の難しい、異常気象に見舞われました。半そでやノースリーブの毎日のあとに冬のコートを着るようになるとは、予想していなかったので、スペイン人の先生方もとても驚いていました。

6月は、サラマンカ大学の試験期間です。先月の日誌にも書いたとおり、サラマンカ大学には追試制度があり、一度試験に不合格となっても、もう一度試験を受けることができます。日本とは全く異なる試験制度ですが、前期分の追試と後期分の追試が全て後期試験後にまとめて行われるため、学生たちにとっても教員たちにとっても、年度末は試験祭りといった状態になります。試験だけではなく、試験の後に学生たちがRevisionといって、試験内容を照会するために研究室を訪れるなど、本当に慌ただしく毎日が過ぎていきます。

この"試験祭り"は5月下旬から6月いっぱいまで一カ月以上も続き、スペインでの追試を初めて行った私にとっては、日本の試験制度とスペインの試験制度の違いをとても痛感する一カ月になりました。

今月は、GJOで初めて受け入れることになったインターンの学生と相談し、GJOオフィスとして、スペイン人の視点から、日本の文化を見つめなおすイベントを構想することになりました。日本人の私たちではなかなか気がつかない視点のアイデアを提案してくれるので、とても興味深く、こちらも楽しくアイデアを練っています。9月の新入生たちの歓迎に合わせて、実行することができるように、調整しています。

また、今月の23、24日には、GJOオフィスのあるサラマンカで、第4回目となる「スペイン日本語教師会シンポジウム」が開催されました。これは、APJE(アプへ、スペイン日本語教師会)によるシンポジウムで、2年に一度、開催されるようです。私たちは、サラマンカ大学での文献学部の設置に伴い行っている、カリキュラムづくりについての発表を行いました。 前任の守屋久美子さんも参加され、皆で刺激しあえる機会となったと思います。他の先生方の発表からも、これから、3年生までが出来て大きくなってきたGradoの、今後の授業に関するインスピレーションを受けることができ、大変貴重な機会になりました。

来年からは、更に学年が増え、クラス数も増えていくGradoですが、学生たちの目標に添えるように、これからも教員同士協力しながら頑張って行きたいと考えています。

シンポジウム基調講演の様子
基調講演後、ワークショップの様子。真剣に取り組んでいます。
各発表での質疑も活発です。

5月 活動日誌

2017年5月
GJOコーディネーター 小澤 咲

サラマンカも5月になると、ほとんど半袖で過ごせるようになり、長かった冬の終わりを感じさせます。

5月の第1週には、サラマンカ大学文献学部での東アジア文化週間が開催されました。サラマンカには文献学部の他にも日西文化センターや大学院のある社会科学部といった日本関連の機関がありますが、このアジア週間は、文献学部独自で開催されるもので、文献学部が始まって2年目の今年、初開催となったものです。文献学部のアジア週間は学生の声で始まったもので、学生主体での開催となり、初回の今年は学生たちの一生懸命準備した成果が花開く初回となりました。

日本専攻の学生たちは、教員の手引きを得ながら海苔巻きを作ったり、自分たちで選んだ歌「翼をください」を合唱したり、一生懸命準備したり練習してきたものを発揮していました。中でも学生たちの日本語劇「ももたろう」は、ほとんどが一年生というメンバーで、慣れない日本語ながら、小道具、大道具、演出、衣装まで、少人数にも関わらず自分たちの力で成し遂げた学生たちの姿に、本当に感動しました。

自分たちのアパートに夜集まって海苔巻きを作ったり、衣装やメイク、小道具大道具まで自分たちの力で語劇をしたり、アジアの衣装の体験があったり……どこか外語祭を思い出させる内容で、外大が懐かしくもなりました。

何より、わたしは海苔巻きの買い出しや作り方のデモンストレーション、また劇の選定や、歌と劇の練習を見ることこそすれ、そのほかは一切手伝っていないのに、日本の古い家屋を再現した小道具、大道具、桃や川、そして衣装とメイクまで行った学生たちには本当に感動しました。

学生たちにとっても、やり遂げたこと、学生同士での団結、全てがいい思い出であり、これからの日本語そして副専攻の言語の学びの場においても糧ともなるに違いないと思っています。

今月は、学期末ということもあり、教務そして試験関連業務が中心的な業務となりました。サラマンカ大学には追試制度があり、一度試験に不合格となっても、もう一度試験を受けることができるのですが、前期分の追試と後期分の追試が全て後期試験後にまとめて行われるため、学生たちにとっても教員たちにとっても、年度末は試験祭りといった状態になります。この"試験祭り"は5月下旬から6月いっぱいまで一カ月以上も続きます。学生たちはそれを終えて、晴れて夏休みに突入となります。私も、担当授業数が多いため、後期試験、前期追試、後期追試とテスト祭りに飲まれながら過ごしています。

日本に関しての学生を主体とした企画は、来年度前期からの本格始動を目標に調整中です。サラマンカで、日本に関連する情報を発信し参加できる場を、来年度から開始できるのがとても楽しみです。

また、来年度からのカリキュラムの作成についても、引き続き行っています。

加えて、相談業務に関して、これまではファイルに蓄積していましたが、効率化とシステム化を進めるため、相談記録シートを作成しました。これまでの方法では、継続相談の時など前回相談を振り返って見ることができないため、非効率的でした。相談中に話を整理しながら手書きで残せる相談記録シートによって、学生の相談中にも話が整理しやすくなることに加え、特に継続相談の時など、役に立つと思っています。

尚、学生の所属や初回、継続等も記録に残せるようにしたので、今後相談の傾向などを分析するのにも役立てられたらと思っています。

開会式の様子
折り紙と書道ブース
アジアの衣装と記念撮影のブース
大人気!!食べ物ブース 日本からは海苔巻き、韓国からはキンパッ、中国からは揚げ餃子です。ずらっと並ぶと迫力たっぷり美味しそうです。
東アジア労働市場の公演の後は、カラオケ! AKBを力いっぱい歌っています!
迫力いっぱいの桃太郎劇。 BGMも照明も完璧でした!他の専攻の出し物も勿論あり、KPOPも盛り上がりました。会場は満員御礼、立ち見もたくさんいました。
桃太郎劇チーム記念撮影

4月 活動日誌

2017年4月
GJOコーディネーター 小澤 咲

サラマンカも4月になり、イースターを迎えました。

カトリックのカテドラルを中心とした街であるサラマンカでは、イースター祭りはSemana Santa/聖週間として、とても大切にされています。大学も休みとなり、カテドラルを中心に、イエス様やマリア様、聖人や天使たちをかたどったPaso/パソと呼ばれる山車型の神輿のようなものが、Semana Santaの期間中、昼も夜も街を練り歩きます。山車のように見えるPasoは、実は中に人が入っています。肩から血が出るほどの重労働のようで、数分おきにPasoを降ろして休憩するため、Pasoに合わせてパレードはとてもゆっくりと進みます。また、たくさんの人々がPasoのパレードで歩き、中にはNazareno/ナサレノと呼ばれる、コーンのような帽子を被った人々が要所要所において、パレードをまとめています。

人々が苦痛をおして担ぐPaso、そして様々なグループの人々、そしてNazarenoたちのパレードを、ブラスバンドの感動的な音楽が盛り上げます。

サラマンカのSemana Santaは例年雨天で非常に寒いようなのですが、今年は天候にも恵まれ、Palm Sundayには椰子の葉を持ったパレードが、そして前夜祭にはマリア様のPasoが厳かに行進し、キリスト教徒でなくとも感動すること間違いなしの、Semana Santaでした。

今月は、学期の中盤ということもあり、教務が中心的な業務となりましたが、学生を主体とした日本に関する企画を考案中であり、引き続きその会議・相談等を行いました。サラマンカでは、日本に関わるグループが学部にも、また日西文化センターにもあることから、サラマンカ中の、そうした日本に関係のある人々をつなげるのが狙いです。

また、来年度からのカリキュラムの作成についても、引き続き行っています。

5月の第一週には、文献学部でのアジア文化週間も控えているため、その準備も行いました。

サラマンカでは日本に関係のある文化週間として、日西センターの日本週間と、文献学部のアジア週間、そして社会科学部のアジア週間の3つがあります。今回の文献学部でのアジア文化週間は今年初開催となり、学生の声で始まったもので、学生主体で企画しているものです。

今回の文献学部のアジア週間では、それぞれの語科の学生たちが、歌や劇、アジアの食べ物などの出し物をするのですが、日本専攻の学生たちも、有志で出し物をします。

今月は主に、学生が主体となって行っている日本の歌、劇、そして料理について、指導やアドバイスを行いました。学生が欠員の場合は、教員も犬役として(!) 練習に参加しながら学生の成長を間近に感じ、嬉しい気持ちになりました。

今年が初の開催となる文献学部のアジア文化週間、学生主体の文化習慣なのですが、今年度の文化週間のようすを見て、来年度以降の、GJOとしての出し物の可否についても検討していけたらと思っています。

詳しい内容は来月報告までのお楽しみですが、各語科の学生たちが、一生懸命に準備しているようすが伺え、開催が今からとても楽しみです。

春が訪れたサラマンカ
カテドラルから出てくるPasoを、群衆が見守ります。
Palm SundayのPaso。イエス様が子ロバに乗っています。
マリアさまのPaso。煌びやかで荘厳です。
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