2021年度 活動日誌

3月 活動日誌

2022年3月30日
GJOコーディネーター 宮本 冬美花

3月に入り、ようやく春らしい季節がやってきました。月の前半は寒かったのですが、後半は室内だと半袖の人をちらほら見かけるほど暖かい月になりました。夜はまだ寒いですが、カフェも続々と外のテラス席を整え、外で人々が歓談している様子を見て春の訪れを感じています。セルビアでは、屋内でのマスク着用義務も今月解禁されました。気休めなのかもしれませんが、コロナ前のような状態に戻りつつあるのかもしれません。天気は良くなっても、今月からは本格的に授業となり、学生は遊ぶ暇もなく忙しそうにしています。そんな今月もGJOの活動を行ったので、以下に報告いたします。

去年の11月に行っていた夜間日本語クラスを再開しました。これは学年関係なく、好きなレベルの授業を受けられるように設けた活動です。どうしても試験という目標があるため、文法ベースになってしまう平常授業とは別に、日本の文化として生活の日本語を勉強してほしいという思いから行っています。レベルは、前回と同じく「いろどり」A1,A 2-1, A2-2、中級以上の4つを設けました。1年生に向け、新しいA1の授業を増やし、残りのクラスでは11月からの続きを教えています。ですが、教えているペース的に教科書を一周するレベルもあるので、今後は次の教科書に進むか、他の教材を使って勉強するか学生と相談しながら決めていきたいと思います。

また、今月のイベントとしては、Japan Cafeを2回とペラペラカフェを1回開催しました。

1回目のJapan Café は3月12日土曜日の11:00-12:00に開催しました。この回のテーマは春にちなんで「Ceremony」にしました。参加者は2名。この時期は寒暖の差が激しく、来る予定にしていた学生の多くが体調を崩してしまったようでした。セルビアの卒業式は夏、入学式は秋ですが、日本では春の行事の代名詞でもある入学式と卒業式。これらの行事の日本とセルビアの比較からはじめました。そこから式典などでの服装の話になり、卒業式の袴の話から着物の話に派生して結婚式の形式の違いや異なる着物の違い、指輪の文化や既婚・未婚の見分け方という話になっていきました。学生から質問を受けると、日本について自分も知らないことがあるのを発見できて毎回おもしろいイベントです。もうすぐセルビアに来て2年になるのですが、セルビアについてもまだまだ知らないことがあるもので、私も学生に質問できるよい機会となりました。

3月19日土曜日の11:00-12:00に行った今月2回目のJapan caféでは、日本の中部地方の講座を行いました。なぜこのトピックになったかというと、次の日がBalkan Japan Bowlという日本についてのクイズ大会が開催される予定で、そのうち出題されるテーマの一つだったからです。参加者は7名。中部地方の歴史や特産物、地理の話などについて少しクイズ形式にしながら参加者と話をしました。この回はかなり講座形式になってしまいましたが、地域ごとに分けて日本を見ることも少ないので良い機会になったと学生が話していました。次の日のクイズ大会では、Japan caféで話した内容がクイズに出たと言って学生もよろこんでいました。新しいことを知りたい学生がこのイベントにはよく来るので、時には講義形式で話をするのも良いのかもしれません。

今月最後のイベントは3月26日土曜日のペラペラカフェでした。今回の参加者は9名で、ベオグラード大学から3名、台湾から1名、日本人学生が5名でした。ほぼ初対面だったので、自己紹介からはじめ、自分の趣味などについて話をしていました。春にすることといえば、という話題も事前に与えてはいたのですが、それは話につまった時にしていたようで、それ以外の話を多くしていたように思います。今回も1時間では足りなかったようで、最初に提示していた時間を過ぎてもセルビアについての質問や、各国のおすすめの音楽を話し合ったり、リンクを共有したりしていました。

一番はじめに書いたように、セルビアでの屋内マスク義務解禁も受けて、直接会って話したいとの声も多く聞かれるようになってきました。ですが、ペラペラカフェはオンラインで行っているからこそ、日本にいる日本人の学生と話す機会を設けることができています。また、スケジュール的には教室の空きがないベオグラード大学では、オンラインで授業ができるのは、少人数であれば効率的かつ便利な方法だったりします。どこで折り合いをつけるのか悩ましいところなのですが、今後少しずつ対面で行うイベントもしていければと思っています。

2月 活動日誌

2022年2月28日
GJOコーディネーター 宮本 冬美花

ベオグラード大学の2月はなかなか微妙な月です。ベオグラード大学の学生にはテスト期間が月のほとんどを占めます。一学期に9科目とったりする学生などもおり、テストがいつまでも続いてしまうのです。もちろん、中には早々にテストに合格して済ませてしまう学生もいるのですが、そのような学生はお休みモードに入ります。そしてテスト期間が終わっても一週間後には授業が始まります。お休みのようで休みでない、なんとも微妙な時期なのですが、今月もGJOの活動も行いましたので、紹介させていただこうと思います。

今月はテスト期間と学外のイベントもあったので、読書の会1回とペラペラカフェを一回開催しました。

先に2月12日(土)に読書の会をZoomで開催しました。今回は参加者3名と少数でした。しかし、だからこそ、たくさんものを読む時間が取れて、かつ自分が何を読んだのか人に話すアウトプットの時間が確保できたように思います。今回参加してくれた学生同士のレベルも高かったため、会話としては短い時間でしたが、久しぶりに日本語を話したり、読んだりする時間を半強制的にでもとれてよかったと学生は話していました。このイベントはほとんど自主学習の場を提供するだけです。早く日本語のテストに合格し、日本語からしばらく離れている学生もいたりします。そんな学生にある意味休み期間でも少しだけ日本語にふれていく時間を今後も企画し作っていきたいです。

月の最後に行ったのは2月26日(土)のペラペラカフェです。今回の参加者は5名でした。人数こそ少なかったですが、だからこそ密に話すことができたと思います。参加者はベオグラード大学から1名、台湾の大学から1名、日本の大学に通う日本人学生が3名いらっしゃいました。全員初対面だったので、自己紹介から始め、自分の趣味や、現在住んでいるところの状況、どうして今回この会に参加してくれたのかを話してくれました。参加理由が日本の短期留学でいた大学のホームページで見たからという方や、たまたま読んでいた本にベオグラードが出てきたからという方がいて興味深かったです。話は最初に設定していた1時間では足りなかったようで、当初提示していた時間を過ぎてもセルビアについての質問や、各国のおすすめの音楽を話し合ったり、リンクを共有したりしていました。やはり、多国籍、且つ日本国内でも異なる環境にいる人々が集まると、違いが顕著になり、会話も非常に多様になります。また時間が合えば来たいと学生さんたちも言ってくれたので、今後もいろいろな人が集まれる場所としてこのイベントを続けていきたいと思います。

今月はベオグラードGJOの外でも日本文化のイベントがありました。日本大使館や国際交流基金の主催で2月18日から21日にかけて日本映画レビュー会がベオグラードで開かれていました。個人的には参加できなかったのですが、近くでこのようなイベントがあると、学生も積極的に外に出て日本文化を体験しにいくようです。

ということで、今月の活動は以上です。後期の授業も始まり、また忙しくなりますが、来月からは、ミニクラス、図書の貸し出し、夜間クラスなども復活させていきます。忙しくても、学生と対面できる時間が増えるのは嬉しい限りです。この何気ない幸せを噛み締めて来月も頑張っていこうと思います。

1月 活動日誌

2022年1月31日
GJOコーディネーター 宮本 冬美花

日本人にとって1月といえば、正月!ですが、セルビアでの元旦は年明けの花火はありますが、やはり日本ほど盛り上がる行事ではありません。メインイベントは1月7日のクリスマスです。それから、1月14日のセルビア旧正月もお祝いするご家庭が多い日だそう。昨今の事情から少し大人しめではありますが、お祝いをみなさん楽しんでいる様子が見られました。そんな家族と過ごすイベントが多い月。また、ベオグラード大学の学生にとってはテスト期間の忙しい月ではありますが、GJOの活動も行いましたので、紹介させていただこうと思います。

今月は「Japan Café」2回と「読書の会」の3つの活動を行いました。

新年1回目のイベントは1月5日のJapan Caféでした。参加者は8名。休暇中に顔を出してくれる学生に感謝です。今回は日本の正月をテーマにした会にしました。イベントを始めるまでは日本の正月の音楽を流してみました。このような季節ものは、普段聞くJ-popなどとは違うため、少しいつもと違った雰囲気を楽しんでいたようです。参加者が揃った時点でしっかり新年の挨拶をして、イベントを始めました。昨年末の授業で正月の基本的なことについては一緒に学習していたので、今回の話題は少し「これ知っていますか?」というトピックを提示しました。例えば、簡単なものは「Do you know Red vs White singoff?(紅白歌合戦:こうはくうたがっせん)」から、少しコアな「Do you know a common homework that is given for winter holidays from elementary schools?」(答えは新年の抱負の作文、書き初めですね。)など、最近日本語に触れ始めた学生も、しばらく日本文化に触れている学生も何か考えられるような内容にしました。ZoomのBreakout roomでは、質問の答えが分かる学生と分からない学生とがやはりいたようですが、インターネットで少し調べたりしながら答えが分かる学生が色々と解説してくれていました。

今月2つ目のイベントは1月19日(水)に行った「読書の会」でした。今回の参加者は4名でした。今回はイベント開始後、すぐにオンラインでアクセスできる様々な多読・多聴のリソースを共有しました。その後45分間は黙々と読む時間をとり、最後の10分で何を読んだか共有する時間を設けました。事前に参加者が把握できていたので、学生に合ったレベルの読み物を提示できたのがよかったと思います。学生に感想を聞いてみるとやはり、日本語で何を読めばいいのか分からなくなる時があるとのこと。このような会に来ることで意図的に日本語を読む時間を作れたのでよかった、と話していました。去年の読書の会では、ほぼ学生に読み聞かせをするような状態でした。ですが、今年は読書の会に参加できる日本語教師は私一人です。なので、このように学生に任せた多読活動にシフトせざるをえませんでした。しかし、この形態でも十分に学生は楽しめたようですし、満足してもらえたようでした。なので、次回開催する際もこの自習後共有形式を採用していきたいと思います。

今月最後のイベントは1月27日(木)に行ったJapan Caféです。この回も8名の参加者がいました。学生からのリクエストがあり、今月2回目のJapan Cafeを開催となりました。テーマもその学生が提案してくれてものを採用し、「妖怪」としました。参加者が集まるまでは、妖怪の解説をしている英語のビデオを流していました。参加者入室後、日本でも有名な妖怪名や怪談話のトークテーマを提示。グループに別れてからは、それぞれ知っていることを紹介したり、知らないこと調べたりしながら会話をしていました。グループをまわって話を聞いていると、元々リクエストをしてくれた学生が授業で発表をしたトピックだったそう。日本人である私でも聞いたことがない細かな話まで知っており、始終会話をリードしてくれ、半分勉強会のようになっていました。これが妖怪についてあまり知らなかったという他の学生にも好評で、新しい知識を得ることができて面白かったという感想をもらいました。学生も普段は忙しいのですが、今回のように、授業期間でなければ、学生にリクエストを募り、会話をリードしてくれる人たちを募集するのも一つの手かもしれません。

ということで、今月の活動は以上です。来月から後期が始まります。また授業で忙しくなりますが、GJOの活動も活発にしていこうと思います。

12月 活動日誌

2021年12月31日
GJOコーディネーター 宮本 冬美花

セルビアでの12月は、5日には日本語能力試験、そして月末に行われる「中間テスト」とテスト尽くしの忙しい月となりました。私も、GJOのイベントに参加してくれる学生もスケジュールは似たようなものです。なので、11月と比べたらGJO主催のイベントは減ってしまいましたが、細々とでも活動は行えたので、今回もここに今月の活動を紹介させていただこうと思います。

今月は「本の貸し出し」、と「Japan Café」の2つの活動を行いました。

1つ目の本の貸し出しでは、今月は延べ22冊の本が借りられていきました。先月は学生も、借りていた本を返却した後に新しい本を借りていました。しかし、今月は期末、そして年明けのテストがあるため、学生も「忙しいから」と言って、新しい本を借りるのは辞退した学生が多かったです。これは授業ではありませんから、本を読むことは強制できません。ですが、学生が読みたいときに本が手元にあるよう、これからも地道に本を紹介していきたいと思います。

今月2つ目の活動はJapan Caféです。今月は11月25日土曜日の11時から12時に行いました。12月25日にイベントをするなど、クリスマスじゃない?大丈夫なの?と思われるかもしれませんが、セルビア正教会の信者が多いこの国では至って普通の日です。今回は8名の参加者がいました。今月は大晦日と言えば紅白歌合戦!ということで、日本の音楽をテーマにした会にしました。イベントを始めるまではもちろん、日本の音楽を流しました。イベント開始後は大きな日本での音楽ジャンル、や流行の音楽、そして個人的にお気に入りの音楽の話をし、その後、聞いたことがある音楽、他の人におすすめしたい音楽の共有などをZoomのBreakoutroomを使って行ってもらいました。学生同士はセルビア語で話しているため、私が理解できない部分も多々ありましたが、総じて様々な音楽の話で盛りあがっていたようです。

今回のイベントは1時間の予定でしたが、学生が全員気が済むまでZoomを解放しておきました。すると、学期末とあってか、日本語や、日本文化をどのように吸収すべきか、上級生に聞く進路相談会のようになっていました。イベントの最初の趣旨からは外れていますが、これもなかなか上下の交流がない現在の状況を考えると、このイベントを行う意義になっていると思っています。

GJO主催のイベントではありませんが、この他にも、今月は文学部で東洋学科の創立95週年の学祭を兼ねたイベントが開催されました。東洋学科の各専攻の先生方が二週間に亘って特別授業を行っていました。今回、私は同じ日本語の主専攻を担当をしているセルビア人の先生と共に、日本舞踊と茶道を紹介する実演と講義を行いました。このイベントは、学長の開幕の挨拶後に行われたこともあり、実際の会議室に学生含めた観客が30名ほど、あとはオンラインからの参加でイベントが行われました。今回は、講義を通して、私が簡単な日本語での説明をし、それをもう一人の先生にセルビア語訳で話していただく形を取りました。私は、日本舞踊の部分を担当し、「さくら、さくら」の踊りの実演と歌を紹介しました。茶道に関しては盆手前をセルビア人の先生が披露してくれ、私は客として参加させていただきました。45分と短いイベントでしたが、学生からは、勉強になったし、興味深かったとの感想が得られました。実際にお抹茶を飲む体験は衛生面から、現在はなかなか実現しにくいのが現状です。ですが、学生には、いずれ自分自身で茶道を体験してもらいたいと願うばかりです。

師走というのは、日本国外でも、例外ではありません。ですが、振り返ってみると、とても充実した1ヶ月となりました。来年は GJO の活動にも、さらに一工夫して、充実させていこうと思います。

11月 活動日誌

2021年11月30日
GJOコーディネーター 宮本 冬美花

11月のセルビアは先月と比べ随分と寒くなりました。帽子とマフラーがそろそろ必要なぐらいです。夏の間の移動が多く、大きなイベント続きだったからか、10月は一日6000人だったコロナ感染者数も1日3000人弱まで減りました。ですが、今後もまだまだ注意が必要そうです。

今月は主に「本の貸し出し」「夜間日本語クラス」「Japan Café」、「書道の会」と「ペラペラカフェ」の5つの活動を行いました。

1つ目の本の貸し出しでは、JLPTや多読文庫の本などを学生に貸し出しています。今月は延べ49冊借りられていきました。ひらがな、カタカナを一通り学び終えた1年生が徐々に本を借りるようになったのが大きいようです。毎週何か借りていく学生も多く、「意外と読めたからうれしかった。」という声が大きいです。これからは学期末に向けて忙しくて本を読む暇がない!との意見もあるので、冬休みの間の長期の貸し出しも検討していきたいと思っています。

また、今月も継続して夜間クラスを行ないました。大学の授業も忙しくなり始めたようで、人数は増減していたものの、毎回必ず誰か来ていたのでよかったです。授業では少人数で話をするので、教科書外の話をする時間が確保できて、もっと学生のことを知ることができるので、私にとっては楽しい時間です。12月はJLPTや学期末の行事が多いため、今月で一旦中止にし、1・2月のテスト期間後に再開することにします。

今月3つ目の活動はJapan Café です。このイベントは「言語を問わず日本について話そう!」というイベントです。今月は11月6日土曜日の11時から12時に行いました。前回と同様に1年生の参加者が多かったこのイベント。今回は15名の参加者がいました。やはり、セルビア語・英語でもいいというのがハードルを下げる一因になったようで、継続して参加してくれる学生がいました。今月は「日本のドラマ」をテーマにした会にしました。イベントを始めるまではおすすめの日本ドラマを紹介する動画を流していました。知っているドラマ、見たことがあるドラマ、いろいろあったようで、話を始めるための準備になったようです。イベント開始後は私個人のお気に入りのドラマや流行ったドラマの話しをし、その後、見たことがあるドラマ、他の人におすすめしたいドラマや反対に個人的におすすめしないドラマの共有などをZoomのBreakoutroomを使って行ってもらいました。話は相当盛り上がったようで、イベント終了間際には学生主導の日本のドラマを見る会が結成されていました。今回のイベントのように、学年をこえて共通のことに興味を持っている学生がつながれる場所の提供を継続していきたいと思っています。

11月20日土曜日には、11時から12時の間、「書道の会」を開きました。

一昨年まで恒例で行なわれていた書道の会をオンラインで復活させた形です。書道道具を9セット貸し出し、当日はZoomでの書道の基本を説明して、どんなものを書いたのか学士同士見せ合ってもらいながら、1時間過ごしました。1時間の半分以上はZoomをつなげたまま、黙々と作業をする時間だったものの、あっという間に時間が過ぎたと学生は言っていました。遠隔でこのようなイベントをするというのは心苦しさもあったのですが、Zoom終了後も各々で気が済むまで続けられるというのは強みのようです。明らかにZoom終了直前に見せてもらった時よりも上達した力作を各自提出してくれました。このイベントについては貸し出し可能なセットの数が限られているものの、書道道具を触ってみたいという声は確実にあるので、定期的に行なって行きたいと思っています。


今月最後のイベントは「ペラペラカフェ」でした。11月27日土曜日の11時から12時に行い、今回は初めてペラペラカフェを複数の大学に開放しました。結果、ベオグラード大学から7名、日本の大学から3名の方が参加してくださいました。当日の内容としては、初めての顔合わせも多かったため、自己紹介と好きな音楽を話し合いのトピックとして提示しておきました。しかし、日本語だけに囚われず、思い思いに自分の話したいことを色々と話していたようです。イベント後のコメントには、Zoomを使ってできるゲームをしてはどうか、という意見もあったので、今後検討していきたいと思います。また、1時間で25分×2回でグループ変えをするのでは、ようやく打ち解けたところで時間切れとなり、足りないとの意見が2名から出ていたので、これについても検討していきます。

そして、GJO 主催のものではありませんが、今月は11月12日金曜日から15日月曜日までJapanese Serbian Film Festivalが行われていました。年に一回行われ、セルビアで日本語の映画を大きなスクリーンで見られるまたとない機会です。これには連日足繁く通う学生もおり、私もショートフィルムを見に行きました。一年セルビアにいて、はずかしながら初めてのセルビア語の映画を見ることに。今まで見聞きしてきたセルビアの文化の話がよく現れている映画たちでとても楽しく鑑賞させていただきました。ここでは、日本の文化も紹介させてもらう機会をたくさんいただいているので、現在住んでいるセルビアの歴史・文化を私自身も学んでいくべきだと再確認させられました。それと同時にこんなにも日本に興味を持ってくれる人がいるということも再確認できたので、これからも精進して行こうと思います。

10月 活動日誌

2021年10月31日
GJOコーディネーター 宮本 冬美花

まずは、簡単に自己紹介をさせていただきます。初めまして。10月からGJOベオグラードのコーディネーターを務めます、宮本と申します。私は秋田にあります、国際教養大学の大学院出身です。昨年の10月からベオグラード大学文学部日本語・日本文化専攻課程の日本人客員講師として現地で働いており、GJO活動のサポートも時々させていただいておりました。どうぞよろしくお願いいたします。

10月から新年度が始まりました。現地の状況としては、コロナウイルスの感染者数はまだ完全には収まりそうにありません。ですが、ベオグラード大学側からの「できれば対面の授業を行ってほしい」との要請により、私は対面とオンラインライブを同時に行うハイブリッド型で授業行っています。学生からは去年から対面で授業をしてほしいとの要望が出ていましたが、学生と学生のご家族の健康面などから対面では参加できない学生もいるので、このような形をとることになりました。1年生はまだひらがな、カタカナが完全に定着しておらず、学生同士の会話がままならないオンラインには限界があるので、対面授業に来る学生が多いです。最初に挫折せず、モチベーションを高く持ち続けてほしいです。

今月の課外活動は「本の貸し出し」「夜間日本語クラス」「Japan Cafe」「読書の会」「ペラペラカフェ」の5つを行いました。

「本の貸し出し」では、12月に行われるJLPTに向けての対策本や教員室に置いている多読文庫の本などを学生に貸し出しています。過去の活動では隔週で「読書の会」を対面で開いていましたが、対面での接触を最低限に止めるために、対面授業の前後で学生に個別で貸し出すことにしました。ひらがな・カタカナを勉強したばかりの1年生の貸し出しは少ないですが、2年生は毎週異なる本を借りていく学生がいます。今まで様々な形で支援をいただき、蓄えた貴重な日本語の情報源なので、宝の持ち腐れにならぬよう、有効活用する体制を整えていきたいです。

「夜間日本語クラス」は、火曜日から金曜日の午後6時ごろからオンラインで行っている夜の日本語のクラスです。日本語専攻の普段の授業ではどうしても試験に合格するという目標があるため、文法重視になってしまう傾向があります。また、日本語専攻ですから、新しい内容を早いペースで勉強していかなければなりません。他にも、高校で平常授業の内容はすでに学習済みだったり、独学で授業の進度よりも先の勉強をしている学生もいます。そこで、平常授業とは別に、復習も兼ねて、学年に関係なく日本の文化として生活の日本語を勉強してほしいという思いから夏休みに始めた活動です。初級の学生には国際交流基金から提供されている「いろどり」を使った授業をしています。また、中級以上の学生とは生教材の読解問題を解いて、それに関する話をしたり、日本人の会話を使った教材でディスカッションをしたりしています。少しでも日本について勉強する機会を増やしてほしいと思っています。

「Japan Café 」は、1年生がイベントに参加するハードルを下げるため、日本語で話すことを強制しない文化イベントとして企画しました。10月16日土曜日の11:00-12:00にオンラインで行いました。今月は「食欲の秋」ということで、食べ物をテーマにした会にしました。参加者は16名。学生が揃うのを待つ間はNHKの日本食についてのサイトの動画を見ました。(https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/2019277/)その後、どんな日本食を知っているか、食べたことがあるか、セルビアで食べられるものはないか、行けるレストランやお店情報の共有などをZoomのブレイクアウトルームを使って話し合ってもらいました。セルビアで食べられる日本食の情報共有は特に盛り上がっており、参加者も楽しかったという感想を残してくれました。来月からも続けていく予定です。

「読書の会」は、10月23日土曜日の11:00-12:00に行いました。今まで恒例だった読書の会を継続したものです。今回は45分時間をとり、オンラインでひたすら読書をする会にしてみました。今回はKCよむよむのサイトを使用させていただきました。読書の後は何を読んだか話し合い、学生のお気に入りの本を紹介してもらいました。「月見」(https://kansai.jpf.go.jp/clip/images/page/yomyom/002_tsukimi.pdf)という本について、世界各地域の月の見え方の話で特に盛り上がりました。本の中で、東ヨーロッパでは髪が長い女の人が見えると言われている、との紹介があったのですが、学生に聞いてみるとそうでもないとのこと。特に月をそのようにみたことがない、と言っていました。「月のうさぎ」という一般的に共有されている考えがあり、満月をかたどった団子を食べる日本とは大違い。文化の違いがこんなところでもみられました。今回の参加者は2名でした。今後の課題はオンラインにある読み物を読み尽くしてしまった学生がいることです。今後の対策としては2通り考えています。1つ目は大学の本を借りてもらい、オンラインでの読み物不足を解消する方法。2つ目は読書という括りをなくし、動画の共有とそれについて話す会にしていく「Watch party」のようなイベントに切り替えていく方法です。学生の反応も見ながらどうすべきか考えていこうと思います。

今月の最後のイベントは「ペラペラカフェ」でした。以前から継続している日本語を話す会です。10月30日土曜日の11:00-12:00に開催しました。10名での会で、今回は年度1回目ということもあり、1年生の参加があったので、自己紹介からはじめました。好きなもの、好きなことについて話してもらいました。自己紹介から派生した趣味の話や日本の文化についての質問で盛り上がっていました。英語やセルビア語も混ざった会話でしたが、日本からの方と話す良い機会なので、これから日本語を勉強するモチベーションにしていってほしいです。

ということで、今月の活動は以上です。今後も自分ができる限り日本に関わるイベント・活動を続け、少しずつ輪を広げて行ければと思っています。

9月 活動日誌

2021年9月30日
GJOコーディネーター 八木 はるか

9月はベオグラード大学日本語専攻の学年末であり、最後の期末試験が行われました。長かった試験期間もこれで終わり、10月からは新年度が始まります。

今月の「ペラペラカフェ」は、9月12日(日)18時~19時(日本時間)にzoomで実施しました。参加者は計10名で、日本語母語話者が7名(ベオグラード大学への留学経験がある本学の学生・卒業生2名、在セルビア邦人の方2名、元教員1名、教員2名)、セルビア語母語話者2名(ベオグラード大学日本語専攻の学生1名、教員1名)、中国語母語話者1名(以前ベオグラード大学に留学し、日本語も勉強中の大学生)でした。

今回も、zoomの投票機能を使い、話したいトピックを参加者に選んでもらいました。その結果、1回目のブレイクアウトセッションでは「コロナのパンデミックが終わったら、したいこと」、2回目は「私が不思議だと思う日本・外国の文化」と「フリートーク」が同率で選ばれました。

「コロナのパンデミックが終わったら、したいこと」について話した際、学生は「教室に戻りたい」と言っていました。昨年3月にセルビアで初めての感染者が確認されて以降、ベオグラード大学日本語専攻では、今も全面的にオンライン授業が続けられています。この意見を言ってくれた学生はコロナ禍の前に対面授業を経験していることもあり、やはり教室に戻りたいという気持ちが大きいのかもしれません。以前は、学生たちは教室で友達と一緒に授業を受け、授業の前後にはカフェで友達と話すことができていましたが、感染が拡大してからはベオグラードにある学生寮に入らず、故郷の実家からオンライン授業を受ける人も少なくありません。

他には、「旅行に行きたい」という意見がありました。セルビアは内陸国なので、夏休みは近隣諸国の海へ行きたいという学生が多いです。日本人の参加者からは、温泉に行きたいという意見もありました。自由に遠くまで移動することが制限されている今、やはり非日常的な場所に行ってリフレッシュしたいという人は、日本にもセルビアにも多いのかもしれません。参加者たち一人ひとりに「コロナのパンデミックが終わったら、したいこと」があることが分かりましたが、少しでも早くコロナ禍が世界で収まることを祈るばかりです。

また、「私が不思議だと思う日本・外国の文化」について話したときは、在セルビア邦人の方から、セルビアのスーパーなどで会計をするとき、おつりの計算がざっくりしていること(例えば103ディナールの買い物をしたとき、200ディナールを払ったら、正確には97ディナールのおつりであるところ、100ディナールのおつりが来ることがある。2,3ディナールくらいであれば、実際の計算よりもお客さんに多くおつりを渡すことがある。)が挙げられました。これには、セルビアでは細かい小銭を扱うのが嫌われているのかもしれないという意見がありましたが、日本ではありえないということも話されました。一方、日本の先輩・後輩文化は、セルビアの学生にとって理解しにくいようです。日本語専攻の学生たちは、日本のアニメやマンガを通して、先輩・後輩という上下関係の存在を知ってはいますが、実際に大学の先輩・後輩に対して、敬語やため口など言葉遣いを変えることはないそうです。

他にも、各国のワクチン接種状況や、秋に食べたいものについて話しました。今回の参加者は、日本・セルビア・中国・ハンガリーの4か国から集まりましたが、場所を越えてリアルタイムで話すことができるのは、オンラインの魅力の一つでもあると思います。コロナ禍以前は、大学の近くのカフェで行っていた「ペラペラカフェ」ですが、オンラインになってからも、細々とではありますが、活動を続けることができました。人との交流が減り、雑談をするような機会も少なくなる中で、「ペラペラカフェ」で日本語を使って様々なお話ができたことは、セルビアの学生たちにとって貴重な経験だったと思いますし、私にとっても毎回新たな発見がありました。参加してくださった全てのみなさまに心より感謝申し上げます。

また、この他の活動としては、日本での留学の情報を学生たちに共有しました。昨年秋から今年の8月まで、ベオグラード大学日本語専攻の学生1名が、岡山大学に留学していて、日本での留学生活で経験したことをレポートにしてくれたので、ベオグラード大学の1~4年生に共有しました。新型コロナウイルスの影響で、留学生活は大きな制限と共にありましたが、そんな状況下でも学生は日本語・日本文化について最大限のことを吸収したようです。

以前は、留学から帰国したベオグラード大学の学生が「留学報告会」を対面で行っていたそうですが、大学に集まることができない今、このようなレポートという形で留学生活についての情報を共有することになりました。レポートは日本語を勉強し始めたばかりの1年生も理解できるようにセルビア語・日本語の両言語で書き、日本での写真も載せてもらいました。依然として日本への留学をすることが難しい状況が続いていますが、ベオグラード大学の先輩からの情報ということで、学生たちには、より親近感を持って日本の様子を知ってもらうきっかけになればと思います。

そして、今月末をもって、私はベオグラード大学の日本語講師、及びベオグラードGJOのコーディネーターの任期を終えることになりました。新型コロナウイルスの影響で、昨年3月に緊急帰国をしてから約1年半は日本からのリモートワークとなり、授業や課外活動は全て試行錯誤を重ねながら行ってきましたが、ベオグラード大学の先生方や学生たち、課外活動に参加してくださる皆さん、関係者の皆様にご協力いただき、とても貴重な時間を過ごすことができました。セルビアにいた約半年の間は、自分も外国人として暮らす経験をし、外国語を学び、外国の文化に触れることはどんなことなのか、改めて考えさせられました。そして、日本に帰国してからは、オンラインだからできること、私が日本にいるからこそできることは何か、考え続けた日々でした。まだ世界中で困難な状況が続いていますが、今後のセルビアでの日本語教育の益々の発展と、セルビアと日本の人々の温かいつながりが続いていくことを願っています。

写真1:ペラペラカフェの宣伝ポスター
写真2:ペラペラカフェの様子

8月 活動日誌

2021年8月31日
GJOコーディネーター 八木 はるか

今月はベオグラード大学日本語専攻の夏休み期間のため、オンラインのイベントは実施しませんでした。同期型のイベントは行わなかったものの、非同期型のツールを使うことによって、夏休み期間であっても学生たちが日本語の自律学習が行えるように、そして日本に対する興味を持ち続けられるように、次のような取り組みを行いました。

まず、以前、私が授業や「読書の会」で扱っていた、「日本語多読道場」(https://yomujp.com/)が7月末にリニューアルしたことを学生たちへお知らせしました。このサイトは、くろしお出版が制作し、現在無料で公開されているもので、日本の食べものや、歴史、自然、地理など、様々なテーマについての多読用の読み物があります。写真も豊富にあるので、初級の学生も内容が理解しやすいと思います。コロナ禍の影響で日本へ行くことが難しい現在、セルビアの学生たちにとっては、このような多読のサイトを利用することが、様々な角度から日本のリアルな様子を知るきっかけになっているかもしれません。

そして、学生たちには「日本語多読道場」で何を読んだか、任意で簡単なアンケートを取っています。その結果、以下のようなコメントがあり、これを学生たちにも共有しました(写真1)。他の学生からのコメントを読むことで、「自分もこの読み物を読んでみたい」という気持ちになったり、学生が1人で読んだときにはなかった気づきを得たりすることができればと思います。

また、多読以外の活動としては、私の趣味である長唄三味線を紹介するビデオを作成し、学生たちに共有しました(写真2)。「三味線」という単語自体は、ベオグラード大学の1年生が使う教科書『大学の日本語 初級 ともだちVol.1』(東京外国語大学留学生日本語教育センター)の「名前というN」という文型で「これは三味線という楽器です。」という練習問題があり、ここで勉強します。そのため、ベオグラードの学生たちも、その「三味線」の存在をなんとなく知ってはいますが、実際にどんな音がするのか聞いてもらえればと思い、今回ビデオを作成しました。ビデオでは、長唄「鏡獅子」から「髪洗い」の合方を演奏しました。一口に「三味線」と言っても、主に歌舞伎で演奏される長唄だけでなく、津軽三味線や義太夫節など多くの種類がありますが、その中の一つとして、セルビアの学生たちが日本の伝統的な音楽に興味を持つきっかけになれば嬉しいです。

夏休みということで、GJOとしては普段とは少し違う活動となりました。学生たちには、夏を楽しみつつ、様々な角度から日本語や日本への興味を持ち続けてもらえればと思います。

写真1:「日本語多読道場」を読んだ人たちのコメント
写真2:三味線を紹介するビデオの中で

7月 活動日誌

2021年7月31日
GJOコーディネーター 八木 はるか

今月、ベオグラード大学の日本語専攻は2回目の期末試験が終わり、夏休みに入りました。東京オリンピックの男子テニスに出場したセルビアのノバク・ジョコビッチ選手は、東京の蒸し暑さに驚いていたようですが、今年はセルビアでも連日暑い日が続いているそうです。

今月の日本語専攻の課外活動は、「ペラペラカフェ」と「タンデムの会」を行いました。

「ペラペラカフェ」は、7月11日(日)18時~19時(日本時間)にzoomで実施しました。参加者は計12名で、日本語母語話者が5名(ベオグラード大学への留学経験がある本学の学生・卒業生2名、元教員1名、教員2名)、セルビア語母語話者6名(ベオグラード大学日本語専攻の学生5名、教員1名)、中国語母語話者1名(以前ベオグラード大学に留学し、日本語も勉強中の大学生)でした。

今月、日本語専攻は2回目の期末試験が終わったこともあり、今回のペラペラカフェには4年生がたくさん参加していました。また、現在岡山大学に留学しているベオグラード大学の学生1名も、久しぶりに参加してくれました。

今回も、zoomの投票機能を使い、話したいトピックを参加者に選んでもらいました。その結果、1回目のブレイクアウトセッションでは「暑い日に食べたいもの・飲みたいもの」、2回目は「私が不思議だと思う日本・外国の文化」というトピックが選ばれました。

「暑い日に食べたいもの・飲みたいもの」について話した際、私が参加したグループでは、カレーライスや中国の火鍋が挙げられました。夏に辛いものを食べて、汗をかいてすっきりしたい、という気持ちは世界各国に共通するのかもしれません。また、飲みたいものにはアイスコーヒーやビールが挙げられました。最近、ベオグラードのスーパーでは日本のビールが売られているそうで、日本のビールメーカーに詳しい学生もいました。

次に「私が不思議だと思う日本・外国の文化」について話した際は、セルビアのプロマヤ(2つの窓が開いているところにいると体調を崩すという言い伝え)や、日本の職場の文化、特に上下関係についても話題になりました。

「タンデムの会」は、7月24日(土)18時~19時半(日本時間)にzoomで実施しました。参加者は計7名で、日本語母語話者が5名(ベオグラード大学への留学経験がある本学の学生・卒業生2名、元教員1名、教員2名)、セルビア語母語話者1名(ベオグラード大学日本語専攻の学生1名)、中国語母語話者1名(以前ベオグラード大学に留学し、日本語も勉強中の大学生)でした。

今回のトピックの投票では、「今年の夏にしたいこと・子どものころ、夏にしたこと」と、「私が行きたい日本・セルビアの町」が選ばれました。投票では、5つのトピック候補の中から多数決で決めるのですが、この候補は事前アンケートで参加者から募っています。今回の投票で選ばれたトピックも、参加者から事前にリクエストされたものでした。

「今年の夏にしたいこと・子どものころ、夏にしたこと」について話した際は、本学の学生から、子どものころ、神社などで行われる夏祭りによく行ったという話があり、お神輿や盆踊りについても話題になりました。

そして、「私が行きたい日本・セルビアの町」について話した時は、セルビアのニシュで行われるジャズフェスティバルについて話されていました。セルビアの学生によれば、このフェスティバルには日本人のミュージシャンも参加するそうです。

また、フリートークの時間には、各国のワクチン接種状況や、開幕したばかりの東京オリンピックで注目している競技などについて話しました。

コロナ禍によって、世界中の教育現場でオンライン化が進んだ結果、自宅にいながら外国にいる人たちとやり取りできるようになりました。このようなオンラインでの交流は、学習している言語圏に住む人からその国のリアルな情報を得る機会になると考えられます。依然として、留学をすることが困難な状況が続いていますが、これらの活動が言語学習のモチベーションを維持するきっかけになればと思います。

また、7月13日(火)、第2回GJOコーディネーター交流会を実施させていただきました。参加者はソウルGJOのアンさん、上海GJOの高田さん、淡江GJOの岩澤さん、ヤンゴンGJOの今井さん、サラマンカGJOの久保さん、グアナファトGJOのマルコさん、本学トビタセンターの小松さん、国際化拠点室の田中さん、ベオグラードGJOの八木の計9名でした。

今回は、まず本学の留学派遣、受入状況について小松さんからお話しいただいた後、各拠点から近況報告をしていただき、その後質疑応答の時間を設けました。コーディネーターのみなさんからは、とても貴重なお話をしていただき、大変勉強になりました。対面での活動を再開した拠点がある一方、オンラインでの活動を続けている拠点も多くあり、各拠点の状況は様々ではありますが、イベントの実施方法や、参加者を集める方法など共通する課題もあることが分かりました。質疑応答の時間では活発な情報交換が行われており、今後もコーディネーター同士の横のつながりを持つことで、各拠点のより良い活動につながればと思いました。

写真1:ペラペラカフェの宣伝ポスター
写真2:タンデムの会の宣伝ポスター

6月 活動日誌

2021年6月30日
GJOコーディネーター 八木 はるか

今月は、ベオグラード大学日本語専攻の1回目の期末試験がありました。今学期も授業は全面的にオンラインでしたが、試験だけは大学に集まって、対面で行われました。今も日本にいる私は、試験問題の作成を担当しました。とりあえず、1回目の試験が無事に終わったそうで一安心しましたが、来月初旬には2回目の試験が行われます。

今月の日本語専攻の課外活動は、「ペラペラカフェ」と「読書の会」を行いました。

写真1:ペラペラカフェの宣伝ポスター

「ペラペラカフェ」は、6月20日(日)18時~19時(日本時間)にzoomで実施しました。参加者は計11名で、日本語母語話者が8名(ベオグラード大学への留学経験のある本学の学生・卒業生2名、在セルビア邦人の方2名、JICA関係の方1名、元教員1名、教員2名)、セルビア語母語話者2名(ベオグラード大学の教員1名、カルロブツイ高校の日本語専攻の学生1名)、中国語母語話者1名(以前ベオグラード大学に留学し、日本語も勉強中の大学生)でした。

今回も、zoomの投票機能を使い、話したいトピックを参加者に選んでもらいました。その結果、1回目のブレイクアウトセッションでは「夏休みにしたいこと」、2回目は「ストレス解消のしかた」というトピックが選ばれました。

ストレス解消のしかたについて話した際、私が参加したグループでは、YouTubeでビデオを見ながら、家でラジオ体操やエクササイズをするという人がいました。新型コロナウイルスの影響で、日本でもセルビアでも運動不足になる人が多い中、ビデオに合わせて体を動かすことは、心身の健康に良いだろうという意見がありました。その後、どんなYouTubeチャンネルが良いか、どれぐらいの頻度で体を動かすかなどについて話しました。また、事後アンケートでは、次のペラペラカフェのときに何かエクササイズのビデオを画面共有で見せて、みんなで体を動かしたら面白いかもしれないという意見がありました。新たな試みとして、今後の活動にも取り入れていければと思います。

なお、現在行っている3つの課外活動(ペラペラカフェ、タンデムの会、読書の会)は、いずれも参加者に事後アンケートをお願いしています。活動の回数が増え、アンケートの回答数も増えてきたため、今月、今までペラペラカフェに来た人たちからのコメントをまとめたものを作成しました(写真2・3)。これは、ベオグラード大学日本語専攻の学生たちにも共有しました。今までペラペラカフェに参加しなかった学生でも、このコメントを読んで、活動に興味を持ってくれる人が一人でも増えればと思います。

「読書の会」は、6月26日(土)18時~19時(日本時間)に行いました。参加者は、ベオグラード大学の学生3名(全員1年生)、教員2名の計5名でした。

最初に読書のルールを確認したあと、「今日のおすすめ」として、「ひろがる」(https://hirogaru-nihongo.jp/)というWebサイトを紹介しました。ここでは様々な日本文化について、ビデオや写真、記事などで紹介されています。その中から、書道家へのインタビューのビデオを見たあと、筆ペンに関する記事を読みました。参加した学生の中には、美術の店で買った筆ペンを普段からよく使っているという人もいて、書道への強い関心がうかがえました。

次に、ブレイクアウトルームで、教員と学生が小さなグループになって活動しました。今回は新しい試みとして、事前アンケートで、複数の候補の中から学生たちが読書の会で見たいWebサイトやYouTubeチャンネルを聞きました。私が参加したグループの学生は、「Tiki’s kitchen ティヤナのセルビア料理」(https://www.youtube.com/channel/UC1ZD5tmkDzsCazBf0xaOtqg)と「アニメ・マンガの日本語」(https://anime-manga.jp/en/)をリクエストしていたので、これら2つのサイトを見ました。まず、「Tiki’s kitchen ティヤナのセルビア料理」では、セルビアのクレープ「パラチンケ」の作り方のビデオを見ました。パラチンケはセルビアの国民的なおやつなので、学生たちも家でよく作るそうで、これにどんなジャムを入れるかなどについて話しました。

その後、「アニメ・マンガの日本語」では、役割語について紹介されているページを見ました。ここでは、アニメやマンガによく出てくる男の子や女の子、侍、執事、おじいさん、大阪人など、各キャラクターによる表現が紹介されています。それぞれの表現は、文字だけでなく、声優による音声も聞けるので、学生たちはこれを聞くのも楽しんでいたようです。初級の授業では役割語を扱う機会が少ないですが、学生たちはアニメやマンガを通して、授業外では日常的に役割語に触れている可能性があります。このサイトを通して、改めて、日本語にはキャラクターによってバリエーションがあることを確認できたのではないかと思います。

最後に、もう一度全員で集まり、各グループで何を読んだか、新しく覚えた言葉などについて話しました。別のグループの学生は、「ひろがる」から、日本の小学校の音楽の授業についての記事を読んだそうで、セルビアの小学校と比較しながらコメントしてくれました。オンラインで読み物を読んだり、ビデオを見たりしたあと、参加者同士が日本語や英語でやりとりができるのも、zoomによる同期型のイベントならではのことです。1人で本を読むだけではなく、友達や教員とコミュニケーションをとりながら読み進めることは、全面的にオンライン授業が続いている今、より必要なことかもしれません。

写真2:ペラペラカフェに来た人たちのコメント1
写真3:ペラペラカフェに来た人たちのコメント2

5月 活動日誌

2021年5月31日
GJOコーディネーター 八木 はるか

今月で、今年度のベオグラード大学日本語専攻の授業期間が終わりました。これからは、試験期間が始まります。ベオグラード大学では、6月から9月までの間、期末試験を複数回受けることができるという少し珍しいシステムがあります。教員は試験作りに、学生たちは試験勉強に追われる日々が続きます。

そして、今月は日本語専攻の中間試験があったので、課外活動は「読書の会」のみ実施しました。

「読書の会」は、5月30日(日)18時~19時(日本時間)にzoomで行いました。今回は、ゲストとして、以前ベオグラード大学の日本語講師をしていた、高橋亘先生が参加してくださいました。(高橋先生は東京外大を修了し、ベオグラード大学で「読書の会」を始めた方でもあります。現在は、神田外語大学留学生別科の講師を務めていらっしゃいます。)他の参加者は、学生2名(いずれも1年生)、教員2名で、計5名が参加しました。

今回も、最初に読書のルールを確認し、その後「今日のおすすめ」として、八木から「たぷの里」(https://www.takutaro.com/tapunosato/tameshiyomi/)という絵本を紹介しました。この本の特徴は、日本語のオノマトペがたくさん出てくることです。文字だけでは内容を理解することが難しくても、作品の中のインパクトのある絵と共に読むことによって、そのオノマトペの意味が推測しやすくなると思われます。

次に、「DELISH KITCHEN―デリッシュキッチン」(https://www.youtube.com/c/DELISHKITCHEN_tv/featured)というYouTubeチャンネルを紹介しました。こちらは、高橋先生から教えていただいたもので、いろいろな料理のレシピ動画が掲載されています。料理を作る実際の映像に、日本語の字幕がつけられていて、初級の学生にとっても内容が把握しやすいものだったと思います。

その後、2つのブレイクアウトルームに分かれ、学生と教員がペアになって活動しました。私が参加したグループでは、まず、現在日本で流行っているYouTuberの紹介として、竹脇まりなさんのチャンネルから、肩こり解消のための運動のビデオ(https://youtu.be/oWHPQgdqVcQ)を見て、学生と共にエクササイズをしました。このビデオでは、3分間の座ったままできる簡単な運動が紹介されています。日本語の字幕には、運動が苦手な人でも励まされる応援の言葉があります。このようなカジュアルな日本語について、特に初級の授業で指導することは少ないですが、学生にとっては、日本語の指示文を読み、励まされながら運動をすることは新しい経験になったと思われます。

その後、NPO多言語多読の『無料の読み物』から、レベル3『ふしぎだな―ぼくが感じた不思議なこと』(https://tadoku.org/japanese/book/4160/)を読みました。この本は、中国からの留学生が、日本で不思議に思ったことをテーマに書いた本です。私が担当した学生は、高校時代に日本での留学経験があるので、学生の場合はどうだったか、話をしながら本を読み進めていきました。この本では、日本人が夏でもマスクをつけることについて紹介されていますが、参加者の中には、コロナのパンデミック以前はマスクをつけたことがなかった、という人が日本人にもセルビア人にもいました。

最後に、全員で集まり、各グループで何を読んだり見たりしたか、どんなストーリーだったかについて話しました。もう一つのグループでは、日本の昔話のビデオを見たそうで、「うさぎとかめ」の話はセルビアにもあるということも話題になりました。

ベオグラード大学日本語専攻の「読書の会」は、高橋先生がその活動を始められてから約10年が経ちます。現在はオンラインでの開催になってはいるものの、ビデオの視聴など、オンラインだからこそできることもあります。授業期間が終わった今、学生たちが少しでも日本語に触れる機会を作り続けるために、そしてこれからもより多くの学生に日本語多読を楽しんでもらえるように、工夫を重ねていきたいと思います。

写真:読書の会の宣伝ポスター

4月 活動日誌

2021年4月30日
GJOコーディネーター 八木 はるか

今学期の日本語専攻の授業は、残り1ヶ月を切りました。セルビアでは新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいるようですが、日本語専攻では、現在も全面的にオンライン授業が続いています。引き続き、私は日本でzoomによる授業と、ビデオによる授業を行う中で、最近は同期型・非同期型それぞれの良さを感じています。オンライン授業が始まってから、様々なアプリやMoodleの機能を使ってみて、便利なものがたくさんあることにありがたいと思う一方、ツールは変わっても、学生とどんなことをやり取りするかが大切なのではないかと思うようになり、改めて自分の授業を見つめ直すきっかけになりました。

今月も、ベオグラード大学の課外活動として、「ペラペラカフェ」「読書の会」「タンデムの会」を行いました。

「ペラペラカフェ」は、4月4日(日)18時~19時(日本時間)にzoomで実施しました。参加者は計13名で、その内訳は日本語母語話者が7名(本学学生でベオグラード留学経験のある学生1名、JICA関係の方1名、在セルビア邦人の方2名、元教員1名、教員2名)、セルビア語母語話者5名(ベオグラード大学の学生2名、カルロブツイ高校の日本語の先生2名、カルロブツイ高校の日本語専攻の学生1名)、中国語母語話者1名(以前ベオグラード大学に留学し、日本語も勉強中の大学生)でした。

今回も、zoomの投票機能を使い、日本語で話したいトピックを参加者に選んでもらいました。その結果、1回目のブレイクアウトセッションでは「私のふるさと」、2回目は「私の好きなドラマ・映画」について話すことになりました。

今回のペラペラカフェには、ベオグラード大学の1年生やカルロブツイ高校の先生・学生さんなど、初めて参加した方が多く、ブレイクアウトルームではまず自己紹介をしてもらうようお願いしました。日本語を勉強し始めたばかりの学生も多く、おそらく会話の全てを理解するのはかなり難しかったと思われます。しかし、日本語母語話者と実際にコミュニケーションをする中で、授業で習ったことを使う機会になったのは良かったと思います。また、それぞれのブレイクアウトルームでは、画面共有も積極的に使われていて、会話の音声による情報だけでなく、映像による情報も得ることで、会話の内容が理解しやすくなったかもしれません。

事後アンケートでは、コロナ禍によって、セルビアも日本も外出や交流が控えられる中、定期的におしゃべりをする機会があるのは嬉しい、という意見がありました。セルビアの学生にとっても、教師以外の日本語母語話者と会話をする機会は貴重だったと思われます。

「読書の会」は4月11日(日)18時~19時(日本時間)にzoomで行いました。参加者はベオグラード大学の学生3名(3人とも1年生)と、教員2名の計5名でした。この日は、まず、もう一人の教員からおすすめの動画が紹介されました。『ゆめある』から、金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」の朗読のビデオを見た後、『NHK for School』から山口県の仙崎弁による「私と小鳥と鈴と」の朗読のビデオを見ました。普段、特に初級の授業においては、日本語の方言を指導することは少ないですが、今回のような課外活動で、2つのビデオを比較して見ることで、日本語に多くのバリエーションがあることを知るきっかけになったと思われます。

その後、2人(学生と教員各1人)と3人(学生2人と教員1人)のグループに分かれて活動をしました。私が参加したグループでは、最初にNPO多言語多読の『無料の読みもの』の中から一番易しいレベル0の本を読みましたが、その後学生から「一番難しいレベルの本を1ページだけ見てみたい」というリクエストがあったので、レベル5の本の最初のページだけを読みました。日本語の学習を始めたばかりの1年生にとって、レベル5の本はやはりとても難しいものでしたが、漢字にはふりがなもあるため理解できる部分もあり、「レベル5の本が読めるようになる」という目標が今後の学習のモチベーションの一つになるかもしれません。

次に、『アニメ・マンガの日本語』から、学校での日本語表現が紹介されているマンガを読み、日本とセルビアの学校における習慣の違いについて話しました。また、このサイトには日本語のオノマトペが数多く登場しています。普段の授業でオノマトペを指導することは少ないですが、学生はマンガという視覚による情報からその語が使われる場面を知り、さらにオノマトペの部分をクリックすることで聞こえる実際の音(風の音や学校のチャイムの音など、オノマトペが表す実際の音)から、そのオノマトペが表す意味を推測できたのではないかと思います。

その後、もう一度全体で集まり、各グループで何を読んだか、どんなストーリーだったか、新しく覚えた言葉などについて話しました。自分が読んだ本やビデオについて、他のグループの学生や教員に日本語で伝えるということは、日本語をインプットするだけでなく、アウトプットする練習として良い経験になったと思われます。

「タンデムの会」は、4月24日(土)18時~19時30分(日本時間)にzoomで行いました。参加者は日本語母語話者が5名(本学卒業生でベオグラード大学留学経験者1名、在セルビア邦人の方1名、元教員1名、教員2名)、セルビア語母語話者が6名(ベオグラード大学の学部生4名、博士課程の学生1名、カルロブツイ高校の日本語の先生1名)の計11名でした。

今回も、話したいトピックを参加者に選んでもらった結果、日本語の時間の投票では「私の好きなアニメ・マンガ・音楽」、セルビア語の時間の投票では「日本語・セルビア語のおすすめの勉強のしかた」が選ばれました。1回目のブレイクアウトセッションのとき、私が参加したグループでは、セルビアのテレビで放送される日本のアニメについての話がありました。しかも、それはセルビア語の吹替版だそうです。セルビアでも、子供の頃に日本のアニメを吹替版で見たことがきっかけで、日本や日本語への興味を持つ学生は多いようです。

また、最近はセルビアも日本も新型コロナウイルスの流行が再拡大する中で、散歩やハイキングをする人が多いということも話題になりました。新型コロナウイルスの影響で、セルビアも日本も日常生活が大きく変わりましたが、参加者のみなさんがそれぞれ工夫しながら過ごしていることが分かりました。外国への渡航が難しい現在、このようなオンラインでの交流が、それぞれの言語学習のモチベーションを維持するきっかけになっていれば嬉しいです。

写真:タンデムの会の宣伝ポスター
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