2016年度 活動日誌

3月 活動日誌

2017年3月
GJOコーディネーター 正木 みゆ

みなさま、こんにちは!東京では桜の季節になりましたが、ベオグラードにも春がやってきました。こちらでも桜やモクレン、たんぽぽが咲いていますよ。あたたかい日が多いです。町中にはアイスの露店が復活してきましたが、食べ過ぎには要注意です。50~150円ほどなので、つい気軽に買ってしまいます。

【TUFSからのゲスト①:藤森弘子先生のご講演】

3月17日、留学生日本語教育センター(以下留日センター)の藤森弘子先生をお招きし、日本語教育に関するご講演を行っていただきました。

留日センターから4月に発行される新しい教科書について、実際の問題を見せながらご説明いただきました。

ほぼ全て日本語でしたが、学生たちにも分かりやすいようにご配慮いただき、集まった2~4年生たちも興味深そうに聞き入っていました。普段は疑問もなくただ眺めている「教科書」の開発意図や効果の検証などについて聞くことは、学生たちにとっては大層新鮮だったようです。

【課外クラブの活動:書道&読書】

3月は毎週の読書と、2回の書道を行いました。GJOコーディネーターの髙見先生が指導してくださる書道は、毎回とても人気があります。今月は「一」から始まった書道、今月は「水」「道」などに進んで、それぞれの学生が自分なりの字をしたためていました。

2月 活動日誌

2017年2月
コーディネーター 髙見 あずさ

2月上旬に冬学期の試験が終わり、夏の授業期間が始まりました。中旬からは天気のいい日も徐々に増えてきて、学生たちと共に和やかな雰囲気で授業や課外活動を行なっています。太陽が出た途端、にこにこ笑顔で元気になるセルビア人とともに暮らしてきて、ここ最近は私もすっかり「春を待つ人」になったなあと改めて気づきました。

【日本語普及プロジェクト 授業視察】

ベオグラード大学の日本語講師として、2014年度からこれまで、三菱商事および日本大使館と協力しながら「日本語普及プロジェクト」の運営に携わってきました。これは、セルビア各地の小学校・高校に日本語科の卒業生を派遣して日本語の授業をするというプロジェクトで、世界各地に拠点がある三菱商事および日本大使館では、日本語・日本文化をより一般に普及し、地方の若い世代にまで学びのチャンスを提供するプロジェクトとして非常に高い評価を受けています。

その中で、小学校および高校に派遣されて実際に日本語を教えている日本語科の卒業生たちを指導することが、私たちの重要な役割の一つとなっています。1月と2月には、大学の授業がない期間を利用して、ベオグラード郊外にある小学校一校と高校二校で授業の様子を視察してきました。日本人を始めて見る年少の学生も多く、驚いたり緊張したりしているようでしたが、一方で熱心に教える派遣講師と興味をもって日本語を勉強している若い学生たちの様子を見ることができました。派遣講師たちも自分なりの工夫をしながら授業を準備していて、私からのアドバイスにも耳を傾け、より良い授業を行なっていけるよう努力しています。現地の教員や地域の人々の助けもあって、有意義なプロジェクトになっています。

【課外活動「日本語で読書」の授業内プロモーション】

これまでも少しずつご紹介してきたように、私たちの日本語科では4年生の学生が中心となって、多読・会話・書道といった課外活動を行なっています。しかし、毎年1年生は日本語が上手な先輩に混じってそのような活動に参加することに引け目を感じ、積極的に参加する人が少ない傾向にありました。そこで、2月の新学期最初の授業時間を利用して1年生に「日本語で読書」のプロモーションをやってみました。

「日本語で読書」はいわゆる多読活動なので、まず簡単なスライドを使ってそのルールを説明し、60分好きな本を好きなように読ませました。非常に楽しい雰囲気である中、集中して本を読む姿が多く見られ、授業が終わった後、翌週からは多くの学生がリラックスして課外活動に気軽に参加できるようになりました。

これからも、学生と力を合わせて、授業内だけではできない活動をやっていきたいと思います。

1月 活動日誌

2017年1月
コーディネーター 正木 みゆ

2017年、あけましておめでとうございます。

この1月、ヨーロッパ全体が寒波の影響で寒さの大打撃を受けました。ベオグラードも例にもれず、例年にない冷えだそうです。私は昨年4月からの赴任ですので初めての冬で、「こんなに寒いなんて」とショックを受けましたが、次の冬はそうでもないことを願っています。

【冬学期 終了!】

さて、今年度授業の半分が終了しました。

ベオグラード大学は日本の多くの大学と同じく二学期制で、冬学期(前期)と夏学期(後期)があります。それぞれの学期終わりに二回ずつ試験期間があり、次の年度へ行く前にも、原則二回、試験があります。一年で最低六回の試験があるので、年中試験をしているような気にも…。学生たちは試験の結果により奨学金の受給可否が決まるので、懸命に勉強しています(もちろん、そのためにだけではありませんが)。努力に点数はつけられませんが、やっぱり日ごろから真面目な学生が良い点数をとると、こちらも自分のことのように嬉しく思います。

10月に入ってきた一年生にとっても、初めての学期が終わりました。新入生特有の、何がというわけではないけれど高揚したような雰囲気も落ち着いてきました。それぞれの勉強のペースもつかめてきたように思います。

文学の授業での取り組みで、1年生たちがそれぞれ好きな俳句や詩に絵をつけて教室を飾る、という活動がありました。日本語学科の学生たちは絵が上手な人が多く、どれも素敵な仕上がりです。

出来上がった絵を、上級生たちもしげしげと眺めていました。今まではあまり掲示などはしていませんでしたが、いつも同じ教室を使うので、こんな風にして飾り立てていくことも可能です。学生たちの評判もとても良く、これからは学生たちの作品で埋めていけたらいいなと思いました。

12月 活動日誌

2016年12月
コーディネーター 正木 みゆ

12月は、最高気温が氷点下のままの日も増え、日照時間も短く本格的な冬を迎えます。ベオグラード大学では、学期末にむけて、授業にも熱が入り、学生も教員も課題などに追われ、あっという間に2016年の最終月が過ぎていきました。セルビア正教では、クリスマスは1月7日なので、クリスマスや年末の雰囲気はあまり感じられず、例年通り12月30日の夜まで授業が行なわれました。

【ベオグラード大学 部活:日本語で読書】

これまでもベオグラード大学の「部活」について紹介してきましたが、最近は学生も運営に慣れてきて、参加する学生も増えてきました。

特に、初めは認知度が低く、参加者がまばらだった「日本語で読書!」という多読活動が軌道に乗ってきたように思います。

日本語科で貸し出したり、閲覧したりできる蔵書は、国際交流基金の教材助成や大使館からの寄贈によって近年著しくその数や種類が増加しました。多読教材として世界各地で広く用いられる「よむよむ文庫」のほかに、マンガ、絵本、小説、ファッション雑誌、旅行ガイドブック、趣味(料理、園芸、手芸等)の雑誌など幅広いジャンルの書籍があり、学生たちは目を輝かせて読む本を選んでいます。また、時間の都合が合わず活動に参加できない場合や自宅で少しずつ読みたい学生には、教員であるコーディネーターがその学生とレベルや好きなジャンルなどを相談して、貸し出しも行なっています。

一方、仲がいい友達と誘い合って活動に参加する学生も増えてきています。一人だとなかなか踏み出せない「日本語で読む」という作業も、友達と集まってわからない部分やおもしろい発見を共有することによって、笑いもあるリラックスした雰囲気になっています。

これまでもご紹介してきたように「ベオグラード大学の部活」では、読書のほかに、会話クラブ「日本語ぺらぺらカフェ」と「書道」を行なっていますが、12月はベオグラードでのウィルスの大流行と学業面の忙しさで、実施できない週もありました。1月の試験の終わるころには、学生に大人気の「書道」の活動や、日本人留学生との交流を兼ねた「ぺらぺら日本語カフェ」も活発に行なっていきたいと思っています。

11月 活動日誌

2016年11月
コーディネーター 正木 みゆ

11月、ベオグラードはぐっと寒くなっています。

まだ冬の風物詩である風はさほど吹いていませんが、咳をする学生たちも多くなってきました。ベオグラードのスーパーでも時々、みかんを売っているので(マンダリーナといいます)風邪予防に、とたくさん食べています!

【日本語 40周年記念学会】

2016年の11月は、ベオグラード大学で初めて日本語の授業が行われて40年という節目でした。それを記念した日本学・日本語学の学会が開催され、本学の教授陣だけでなく、近隣の国々や日本から先生方が来てくださって講演や研究発表をしていただきました。

平日の開催だったこともあり日本語科の学生たちも大勢聴きに来て、様々なジャンルの日本研究に触れることができました。

【ベオグラード大学 部活:読書】

先月から始まった「ぺらぺらカフェ」に続き、新しく読書の部活動も始まりました。

大学内の司書室から部活用の本を別の部屋に移動させて行っていますが、そんなに日本語の本があると知らなかった学生たちは「日本語の本がたくさんある!」と目を輝かせていました。各自が好きな本を手に取って、もくもくと読む姿が新鮮です。今のところ人気があるのは『日本語多読ライブラリー』シリーズとマンガです。時たま本を読んでクスッと笑う声が聞こえてくると、その場のみんなで笑ってしまいます。気兼ねなく自由に趣味として日本語に触れる時間を学生に提供でき、コーディネーターとしても嬉しく思っています。

【ベオグラード大学 部活:書道】

もう一つ、11月には新たな活動がありました。日本大使館の方のご厚意で書道セットをお借りすることができて、「書道」を始めることができました。コーディネーターの髙見指導による一回目の「書道」活動には、土曜日でしたが多くの学生が集まり、わいわい賑やかな活動になりました。

学生のほとんどが「書道は初めて」なので、まずは道具の名前や姿勢、腕の角度、墨の付け方…などなどの練習から始まって、「一」の書き方、右はらい、左はらい等パーツの練習をした後、最後は「木」の漢字を完成させてこの日の作品としました。セルビアでは、合気道や空手など、武道は多くの人に親しまれていますが、書道や茶道などの活動にはなかなか触れることができません。部活を通して体験してもらうことができるのは本当に貴重なことです。今後も、部活として続けていきたいと考えています。

10月 活動日誌

2016年10月
コーディネーター 髙見 あずさ

10月は、ベオグラード大学の新学期です。毎年日本語科にも大勢の新一年生が入学しますが、特に近年は日本語人気が著しく、今年度も70人を超える1年生が日本語の勉強を始めました。10月1日には、入学オリエンテーションがあり、日本語・日本文化の科目を担当する教員が一同に紹介され、新入生は不安と期待の混ざった眼差しで、真剣に話を聞いていました。ベオグラードの10月は、氷点下近くまで気温が下がる日もありますが、大勢の学生と汗をかきながら、勉強に取り組んでいます。学生にとっても、一クラスの人数が多すぎることや、場所が十分にないことなど不便なことも多々ありますが、それぞれ力を尽くして勉強している姿をみて、コーディネーターも教師として気を引き締めて授業や活動に臨んでいます。

【ベオグラード大学 部活:ぺらぺら日本語カフェ】

授業の開始にともなって、日本語科の学生とコーディネーターによる課外活動も徐々に始まりました。今年度は、4年生の学生の有志によって「ベオグラード大学部活」という名前でfacebookを利用したグループが作られ、多読、会話、書道といった活動でできる限り行なっていくことになりました。その活動の一つとして、毎週土曜日に二時間程度日本語だけで会話をする「ぺらぺら日本語カフェ」が始まり、日本語の練習はもちろん、日本からの留学生と交流する良い機会にもなっています。

コーディネーターもできるだけ参加し、普段の授業では個人的に話すことのできない学生たちと話したり、日本語の学生と日本人留学生が話しやすいようにサポートしたりしています。

これまでも課外活動は行なっていましたが、今年は学生主体で始まり、コーディネーターも教員として心強いです。11月以降は、場所や道具を確保次第、多読や書道などの活動も少しずつ増やしていく予定です。

【ベオグラード ブックフェア】

例年10月の最終週には、ベオグラードの Sajam (大規模なイベント会場)で、Sajam Knjigaというブックフェアが行なわれます。非常に大きな催し物で、ほぼ全ての書店・出版社が出展し、大きな割引もされるため、ベオグラードや近郊の市民から、毎年楽しみにされています。もちろん、言語や文学を専門とする日本語科の学生も会場に足を運び、学業に必要な書籍はもちろん、長い間ほしかった趣味の本や小説を購入しています。同様に毎年出展される日本大使館のブースでは、政府奨学金で日本へ留学した経験のある日本語科の卒業生たちがアルバイトとして、日本語の本を紹介したり、日本での生活の様子を来場者に話したりして経験を活かしていました。

9月 活動日誌

2016年9月
コーディネーター 正木 みゆ

暑さ寒さも彼岸までとは言いますが、ベオグラードの夏ももう終わり、朝晩は冷えるようになりました。今月、私は月頭から中旬にかけて2週間ほどセルビア国外に居ましたが、出た時はまだ夏だった季節が帰ってきた途端に秋めいていて驚きました。町にももうすっかり人が戻り、私たちコーディネーターの住む学生寮もだいぶ賑やかです。

学生たちは戻って来ていますがまだ学期開始前なので、毎晩のように外の中庭から楽しげな音楽とおしゃべりが聞こえてきます。

【日本語能力試験の受付】

8月29日~9月6日の一週間、ベオグラード大学にて日本語能力試験(以下、JLPT)の受付を行いました。

JLPTは世界規模で試験を実施していますが、日本語教育機関のあるすべての国・地域で、というわけではありません。セルビア国内ではベオグラード大学が唯一の実施場所です。国内はもちろん、国外からも受験者が申し込みにやって来きます。

連日、ベオグラード大学の在校生や卒業生、日本語を学んでいる高校生、また独学の学習者などが申し込みにやって来ました。普段書きなれない大規模試験の申込書は、練習してもきちんと書くのが難しいものです。セルビア式の数字と日本式の数字の違いに苦戦し、30分近くかかる人もいます。機械で読み取る部分の数字を書くのがこんなに難しいものなのかと、今回初めて知りました。

一生懸命に申し込んだ試験まで、あと2か月あります。それぞれの目標に向けて頑張ってほしいと思います。

【日本語教育国際研究大会(ICJLE)への参加】

9月9日~10日の日程でインドネシア・バリにて行われた国際大会に参加し、ポスター発表を行いました。バリは海も空も広く、まさにリゾート地でした!島なのでかなり湿度があり、ベオグラードとは違った、むっとする暑さに日本を思い出しました。

国際大会は世界各地から日本語教育に携わる研究者が集まる場ですが、終始雰囲気がとても和やかで、様々な研究分野の先生方と交流することができました。

もちろん東京外国語大学の留学生センター・大学院からいらっしゃった先生や、他のグローバルジャパンオフィスのコーディネーターとも会うことができ、オフィスのことや現地での日本語教育について報告しあうこともできました。

インドネシアは現在、日本語学習者数が世界第2位という多くの学習者を抱えた国です。今回の学会でも手伝いで日本語を勉強する学生たちがたくさん居ました。どこにいても日本語が聞こえてくるという状況は、観光大国インドネシアといえども多くの学生にとって初めてだったのではないでしょうか。

8月 活動日誌

2016年8月
コーディネーター 正木 みゆ

2016年のセルビアの8月は、リオデジャネイロオリンピックのおかげで、熱気にあふれた暑い一か月となりました。国家として決して「大きい」とは言えないセルビア共和国ですが、8つのメダルを獲得、最後の数日間はチームスポーツのメダルラッシュで、参加選手(103名)のうち54名がメダルを獲得したそうです。

ベオグラードの夏は、太陽が強く照りつけ日も長いため、非常に暑いです。一方、人々は「暑い暑い」と言いながらも、一年の中で短い夏を満喫しようと外出を楽しみます。公園を散歩しながらアイスクリームを食べたり、人工的に作ったビーチで日光浴をしたり、遅い時間になっても外でおしゃべりやビールを楽しむ姿が見られます。

7月から8月にかけては、ベオグラード大学をはじめ社会全体が、他のヨーロッパ文化圏と同様、夏の長期休暇になります。学生の多くは帰省し、人々は海のある国へ長期休暇に行くため、一か月ほどは街に人が少なく、ちょうどお盆の東京のようになります。そして、8月末になると、静かだったベオグラードの街に学生や人々が戻り、再びにぎやかな雰囲気になります。大学でも試験期間に入りました。

一方、例年8月下旬には、15名ほどの学習院女子大学の学生がバルカン半島の研修旅行に訪れ、そのプログラムの一部として、ベオグラード大学日本語科の学生との交流を楽しみます。

【学習院女子大学学生と日本語専攻学生の交流会】

今年は8月25日(木)の午後、学習院女子大学の一行がベオグラード市を訪問し、卒業生を含む日本語科の学生と交流会を行いました。天候に恵まれたため、大学の近くにあるカレメグダン公園を散歩しました。カレメグダン公園は、観光地としてはもちろん、激動のバルカン半島の歴史を歩んできたセルビアにとって非常に重要な意味を持つ城壁・要塞です。同時に、観光客だけでなく現地の人々も普段からこの公園で散歩をしたり、ゆっくりと座ってドナウ川とサヴァ川の合流地点を見下ろしたりする、憩いの場所にもなっています。

散歩で打ち解けたあとは、街のカフェに座り、会話を楽しみました。同世代の若者同士、いろいろな文化の違いに触れて、おしゃべりがはずんでいました。また、ベオグラード大学の学生にとっては、数少ない日本語母語話者との交流が、日本語の練習はもちろん、今後新学期を迎えるにあたっての良い動機付けとなったようです。

7月 活動日誌

2016年7月
コーディネーター 正木 みゆ

7月になりました!

ベオグラードは夏、真っ盛りです。大学は6月に試験があり、そこで無事に進級できた学生は10月までの長い夏休みに入ります。

私たち大学講師は学生寮の講師用フロアに住んでいますが、試験が終わるとほとんどの学生がバカンス&里帰りです。私もせっかくなので、ベオグラード市内のサヴァ教会に行ってきました(大学から15分くらいのところですが…)。青い空に白い壁がきれいです。中はまだ建築中で完成していないのですが、それでも礼拝に来ている人がたくさんいました。セルビア正教の礼拝の仕方は、今までカトリックやプロテスタントの教会にしか行ったことがなかった私が知っているものとは少し違いました。

礼拝の仕方は宗教によってそれぞれですが、実際に現地に行かない限り、中々その作法を見ることはありません。夏休み明けの授業では、教会や神社、お寺の参拝マナーについて学生たちと話してみるのもいいかもしれないと思いました。

【Japanizam 2016】

今月の一大イベントは、バルカン地域でも有名なアニメ・マンガ・ゲーム関連イベント「Japanizam」です。ベオグラード市内のカルチャーセンターにて行われたこのイベント、近隣諸国からも日本のポップカルチャーファンたちが集まって来るようです。今回はハンガリーからのゲストスピーカーもいらっしゃって、まさに東欧地域のオタク交流会…といったところでしょうか。四日間行われて、連日大盛況でした。

主催はベオグラードで活動している、日本のポップカルチャー好きたちの交流団体「Sakurabana」ですが、日本語科の学生で参加している人もいます。一般参加だったり、黄色いスタッフTシャツを着て会場内の案内をしたり大忙しのよう。会場内では格闘ゲームの対戦コーナーや物販スペースの他に、ファンイラストやコスプレ衣装が飾られていました。

また、センター内の講堂ではアニメ映画上映会やレクチャーが行われていました。

私もVOCALOIDについての講演を聞きに行きましたが、大ホールが埋まる人気ぶり。日本国内で過ごしていると当たり前に入って来るような情報でも、遠いセルビアではこんな風に紹介の場がないと触れられないものなんですね。こういった交流の場があることの大事さを感じました。

6月 活動日誌

2016年6月
コーディネーター 髙見 あずさ

ベオグラードの6月は、冬日と夏日を繰り返しながら、数日間の春を楽しむかどうかのうちに、突然日差しの強い夏に変わります。大学では、5月末日までで今学期の授業を終え、6月は試験期間です。日照時間も長いこの時期、明るい太陽の下、街行く人も、学生たちや教員も、うれしそうな顔をしているように感じます。

大学内で試験を実施する一方、コーディネーターにとっては大学外のプロジェクトのまとめの月となりました。

【日本語普及プロジェクト2015-16 閉会式】

セルビアでは、2014年夏から二年間連続で「日本語普及プロジェクト」を行ってきました。このプロジェクトは、セルビアの初等・中等教育期間において課外科目として日本語・日本文化の授業を行うものです。この授業で派遣される講師は、ベオグラード大学日本語科の卒業生で、特に日本語能力や指導力のある若い人たちです。

このプロジェクトは、三菱商事の経済的支援のもと在セルビア日本大使館とベオグラード大学の日本語講師(コーディネーター)が協力して取り組んでいます。

コーディネーターは、主に日本語教育に関する専門知識を生かして、コースのデザインやシラバスの作成、派遣日本語講師(卒業生)の指導、相談などを行ってきました。一般の人への日本語日本文化の普及だけでなく、日本語を学んだ優秀な若い人材が、卒業後や留学後にはじめて教師としての仕事をする貴重な機会になっています。この二つの側面から、意義あるプロジェクトとして来年度の継続も決定しました。三年目も日本語の授業を希望する学校はますます増え、地方都市での開講希望も増加する一方で、セルビアでの日本人気がうかがえます。

6月13日には、本年度のプロジェクト閉会式が行われ、関係者と日本語を学んだ生徒たちが列席しました。セルビア日本国大使、ベオグラード大学日本語科教授のあいさつに続き、三菱商事ベオグラード駐在事務所所長よりプロジェクトの派遣講師9名に感謝の言葉と記念品が贈られました。

その後は、プロジェクト派遣講師の代表者により、日本語を教えることの喜び、苦労、またこの経験から学んだこと成長したことなどについての発表がありました。さらに、日本語を学んだ小学生や高校生による日本語での歌やスピーチも行われ、半年間授業を担当した派遣講師たちも感無量の様子でした。

コーディネーターをはじめとするベオグラード大学日本語科の教師陣としても、卒業生がこのような形で日本語に関わりながら成長していく姿に喜びを感じました。この閉会式には、教育省や各学校の教員をはじめとする教育関係者も多く出席し、プロジェクトの充実感を共有した和やかな時間となりました。

5月 活動日誌

2016年5月
コーディネーター 正木 みゆ

5月も終わりに近づき、最高気温が30度近い日が続くベオグラードです。オフィスのある場所周辺はセルビアで一番の都会ですが、例えば新宿や渋谷のように、高層ビルがひしめいているわけではありません。

晴れた日に見上げると、澄んだ空と青々とした木々がさわやかで、とても気持ちが良いところです。

【日本語科 年度末発表会】

さて、今月は1年生から4年生までの全員が一堂に会する、年度末の発表会が行われました。

この発表会では毎年、それぞれの学年が自由に出し物を発表します。また、その年の前の10月まで日本へ留学していた先輩たちからの留学報告プレゼンテーションも行われます。日本語科の教師はもちろん、ベオグラード大学に留学中の日本人学生や大使館の方もお招きして、学生たちが日本語の歌や自作の(!)日本語劇などを披露しました。

留学から帰国した学生からのプレゼンテーションは、コーディネーターが原稿のチェックから発表の練習までを一緒に準備して行いました。留学という大きな経験を経て、誇らしげに東京外大や岡山大学での生活について語る先輩の様子に、後輩たちも興味深げに耳を傾けていました。

コーディネーターからの紹介もいいのですが、こうして身近な先輩からの言葉に触れることも、普段は距離を感じてしまう「日本」への親しみや留学へのモチベーションを持つことには重要なのだと感じた時間でした。

4月 活動日誌

2016年4月
コーディネーター 髙見 あずさ

【ベオグラード大学Global Japan Office開所式】

ベオグラード大学では、2016年3月17日に、Global Japan Officeの開所式が行われました。同日の朝、大学間協定の調印式を終えた大学本部代表者と東京外国語大学代表団の一行がGlobal Japan Office(文学部330教室)へ入場する際には、学生による日本語での短いパフォーマンスも行われました。日本語専攻の1年生(約70名)は、廊下から教室まで花道を作り、俳句の朗読をしました。学生たちは、東京外国語大学のモニュメントカラーをモチーフにしたピンク色と紫色の毛糸を手に、花道を作っていました。さらに教室では、2年生(約40名)が自分たちで練習した日本の詩の朗読が行われ、たくさんの笑顔とともに式が始まりました。

式の中では、大学関係者から祝辞が述べられ、教師、学生を含め参加者全員で協定の調印とGJOの開設に至るまでの経緯や意義を確認しました。さらに大学間の今後のさらなる協力関係と発展が約束された後、GJOの開所を記念して除幕が行われました。日本語の学生が思い思いの漢字を書いた布が幕としてかけられた扉からGJOのプレートが現れると、参加者から大きな拍手が沸き起こりました。序幕後も、参加者同士の交流が行われ、和やかで温かい雰囲気で式が終了しました。

【東京外国語大学 教授陣による特別講義】

3月17日のGJOの開所式に併せて、ベオグラード大学日本語科の40周年を記念して、東京外国語大学で教鞭をとられる3名の先生方に特別講義をしていただきました。GJOとしては、初めてのイベントとなります。

3月14日には、ベオグラード大学文学部大講堂において、沼野恭子教授(ロシア語科)による世界文学科を対象としたオープンクラスが開かれました。『ドストエフスキー、トゥルゲーネフ、ゴーゴリの新訳と受容』というテーマで、日本語科の学生および世界文学クラス、ロシア語科の学生が出席し、様々な興味深い質問が出る特別授業となりました。

3月15日には、伊東祐郎教授(留学生日本語教育センター長)により、日本語主専攻の学生(2~4年生の約120名)およびセルビア日本語教師会メンバーを対象に特別講演が行われました。『これからの日本語教育と日本語力評価』という難しいテーマでしたが、伊東教授のよりわかりやすい日本語とリラックスした雰囲気で、普段なかなか日本語だけで講演会を聞く機会のないセルビアの学生にとって非常に刺激的で有意義な時間となりました。

3月16日には、大学本部の講堂で沼野恭子教授(ロシア語科)による特別講演『ジャポニズムの逆説 20世紀初頭ロシア文化のキモノ受容』が日本語(セルビア語通訳:ダリボル・クリチュコヴィッチ日本語科准教授)で行われ、一般の聴講者を含めて大盛況でした。日本語科の学生にとっても、新たな側面から文化や歴史を知る貴重な機会となったようです。同日の午後には、前田和泉准教授(ロシア語科)によりスラブ学科を対象としたオープンクラスが『マリーナ・ツヴェターエヴァ 今日と女流文学』というテーマで行われました。学生と教員がいっしょになって、ロシア語・セルビア語・日本語の三ヶ国語で活発な議論を行い、外語大とベオグラード大学外国語専攻の交流にふさわしい、にぎやかな授業となりました。

【東京外国語大学出版の『世界を食べよう!』の発表会】

3月15日には、ローズニツァ市の文化センターで、東京外国語大学出版の『世界を食べよう!』の発表会が行なわれました。そこには、地元メディアの取材や、市内で日本語を学ぶ中学生も見学に訪れ、日本の食文化とセルビアの食文化をテーマに和やかな雰囲気で、質疑応答が続きました。

【ベオグラード言語専門高等学校 日本語弁論大会】

3月16日には、伊東教授およびベオグラード大学日本語科の教員3名の計4名で、在ベオグラード大使館で行われたベオグラード言語専門高等学校の弁論大会に審査員として参加しました。この高等学校からベオグラード大学の日本語科に進学する学生は少なくなく、大学教員に加え日本からのゲストの特別訪問は、日本語を学ぶ高校生に非常に刺激的な経験となりました。審査の結果、上位3名の学生とは別に、4位の特別賞として、東京外国語大学のマスコットが描かれた手提げかばんが、伊東教授から手渡され、学生の新たな動機付けにつながったようです。

3月は、日本からのお客様も多く、様々な日本に関する行事が行われ学生にとっても良い経験となったようです。4月に入ってからは日本文化の科目をはじめとして中間試験が行われ、日本語の授業も期末に向けて大詰めとなってきました。復活祭の時期としては、かなり冷え込む日が多いベオグラードですが、日本語の教師と学生で厳しく楽しくがんばっています。

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