外国人被害者からの法律相談対応研修開催

2018.02.28

2018年2月8日(木)・10日(土)の2日間の日程で、言語文化サポーター登録者(*)及び、通訳に関心を持つ本学学生を対象に、「法律相談におけるDV・児童虐待事案への対応研修」(主催:多言語・多文化教育研究センター)を開催しました。
日本に在住する外国人は238万人と急増しており、自治体や国際交流協会などではコミュニティ通訳の育成が急務となっています。言語文化サポーターにも法律相談における通訳の依頼が多く寄せられており、その中でも緊急性が高く、且つ専門的な知識が必要となるDV被害や児童虐待事案については、通訳者は法律や支援の現場についての知識を身に付けておくことが求められます。
研修には延べ16名が参加し、公的機関のDV被害者支援制度、民間団体による外国人被害者支援の現状、弁護士からDVの定義や法律などを学びました。
初日の8日(木)は、DV被害者支援に関する法律や、東京都の支援体制について、参考資料を交えながら学びました。2日目の10日(土)は講師の石井ナナヱ氏(特定非営利活動法人ふじみの国際交流センター理事長)が、在住外国人支援の現場について、坂下裕一弁護士(埼玉弁護士会)はDV・児童虐待事案に関する法律について講演しました。
*言語文化サポーターは、本学卒業生、大学院生(正規留学生を含む)、教職員等で構成された組織です。

受講者感想:

・専門家の方のお話を聞く機会を提供頂けて、とても勉強になりました。レイプ被害・人身取引に絡む通訳をしましたが、こうした背景の知識をもてるだけでも心構えの参考になります。またボランティアでできることがあれば積極的に参加してみようと思いました。
・ふじみの国際交流センターのお話では、具体的な現場のお話が聞けて、大変参考になった。海外のサポート体制との比較も参考になりました。坂下弁護士のお話では、"自治体によって法律外の対応をしてくれる"など、進んでいるところとそうでないところの差を感じました。日本人に起こっている問題は同じく外国人にも起こるということは常に戒めていたいです。
・ふじみの国際交流センターはシェルターもあってDV被害者支援にきめ細かく対応していることが分かり、とても心強い存在だと思いました。DVや離婚の法律や手続きの基礎知識と現状、外国人の場合注意しなければならない点も教えていただき勉強になりました。通訳者として過不足なく正確に訳すことの重要性、相談者や被害者に寄り添いながらも依存され過ぎないよう中立性を保つことが大切であると感じました。

内藤稔講師(大学院総合国際学研究院、コミュニティ通訳研究)の感想

今回の研修を通して、DV被害者をめぐる問題におけるコミュニティ通訳の必要性やそのあり方について、参加者全員で確認することができました。またDV被害者の先には児童虐待の問題が存在していることも多く、よりよい予防策を検討していく上で、大学・大学院などの教育機関がその他の専門機関と力を合わせていく重要性をあらためて認識しました。


PAGE TOP